Jリーグでもティーラトン(左)やチャナティップ(右)ら東南アジア出身選手の活躍が目立っている。

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[アジア大会]U-21日本代表0-1U-23ベトナム代表/8月19日/インドネシア

 率直に言って、ベトナムは強かった。まずこの大前提は共有しておきたい。
 
 いや、これは分かっていたことなのだが、しかし日本ではどうしても「ベトナムに負けるなんて」みたいな言われ方をされてしまうので、この際だから言っておきたい部分である。ベトナムに限らず、東南アジア諸国はもはやアウトサイダーではない。
 
 アジア大会第3戦、日本は0-1のスコアで敗れたが、守り倒されたような試合ではない。2倍打たれたシュート数が物語るとおりの力負けだった。
 
 Jリーグでも神戸のティーラトンや札幌のチャナティップら東南アジア出身選手の活躍が目に付くようになってきたが、遠からず欧州の舞台でも彼らの姿を観るようになると思う。そのくらい東南アジアのレベルアップは著しいものがある。アジア全体のレベルは正直それほど上がっていないと思うし、湾岸諸国などはむしろレベルダウンしているようにも思うのだが、この地域だけは明らかに例外だ。
 
 今年1月の U-23アジア選手権ではベトナムが快進撃を見せ、そうした印象をあらためて強くした。昨年のU-20ワールドカップにも出場し、国際舞台に顔を出す機会も増えてきており、かつての日本がそうだったように、こうした成功体験の蓄積は大きな意味を持つ。オーバーエイジ選手を加えた今大会は堂々メダル候補の一角を担うチームである。
 
 元より「サッカー人気」という絶対的かつ重要なベースはあった地域である。国が経済発展を遂げるなかで様々な環境が整い、国内リーグの競争力も出てきた。地味に大きいと思うのは、これまたかつての日本がそうだったように、栄養状態が改善されたことにより、体格の良い選手が増えてきたことだ。
 
 ただ、現地に来た記者の中にも「ベトナムってこんなに強いんですか?」と驚いていた人がいたように、まだまだそうした認識は薄い。森保一監督はもちろん、日本の選手たちも情報としては分かっていたと思うが、「思っていた以上だった」という反応も多かった。東南アジア勢を下に観るような感覚が、日本サッカー界としてまだまだ抜けきっていないのは感じられる。
 
 だが、このアジア大会も、前評判から高かったベトナムだけでなくマレーシアが最強メンバーを揃えた韓国を破るなど、地域としてのポテンシャルの高さをあらためて見せている。ついでに言えば、日本のラウンド16の相手は、そのマレーシアだ。油断などできるはずもないし、先を見据えて余力を残して勝てる相手でもない。
 
 東南アジア勢は第二次世界大戦以前の1938年大会に出場したオランダ領東インド(おおよそ現在のインドネシア)を最後にワールドカップへ出場していない。だが、これはある種の確信を持って言うのだが、遠からずその壁を破るチームが出てくるに違いない。アジア大会が行われるインドネシアの地でも、そうした風をあらためて感じている。
 
取材・文●川端暁彦(フリーライター)