昨年のエリザベス女王杯を制したモズカッチャン

 8月19日、札幌競馬場では3歳以上による重賞・GII札幌記念(芝2000m)が行なわれる。夏シーズン(7〜8月)唯一のGII戦ということで、毎年GI馬も多く出走。今年も、ネオリアリズム(香港GIクイーンエリザベス2世C)、マカヒキ(GI日本ダービー)、モズカッチャン(GIエリザベス女王杯)と、3頭のGIホースが出走予定だ。

 果たしてどんなレースになるのか、まずは過去の傾向を振り返ってみよう。過去10年の1番人気馬は2勝、2着5回、3着1回、着外2回と、80%の複勝率(3着以内率)を誇り安定感はあるが「2着惜敗」が多い印象だ。1倍台の圧倒的人気馬も、2009年ブエナビスタ(1.5倍)、2012年ダークシャドウ(1.7倍)、2014年ゴールドシップ(1.8倍)、2016年モーリス(1.6倍)が、すべて2着に終わっている。

 札幌競馬場はほぼ平坦なコースで、直線も266m(参考:東京競馬場は525.9m)と短いため、差しタイプの人気馬が後ろから行きすぎると届かないことが多い。かといって、前での競馬を意識しすぎるとペースが速くなり、他の馬に差されてしまうという難しいコースなのだ。

 今年は単勝オッズ1倍台の人気になるような馬はいなそうだが、1番人気馬の単勝馬券はちょっと買いにくいということは覚えておこう。

 1番人気以外で成績がいいのは5番人気馬で、2008年タスカータソルテ、2015年ディサイファ、2016年ネオリアリズムが勝利している。

 また、前走レースがGIII函館記念の馬が延べ48頭と圧倒的で、4勝を挙げている。今年の函館記念からは、2着のサクラアンプルール、5着のスズカデヴィアス、8着のナイトオブナイツの3頭が参戦する。

 ここからは過去10年の札幌芝2000mの成績を見てみよう。騎手ではマカヒキに騎乗するルメール騎手が41戦14勝で、勝率34.1%、連対率(1着か2着に入る確率)56.1%と驚異的。その他の騎手では、ミッキースワローの横山典弘騎手、サングレーザーの福永祐一騎手が好成績を残している。

 種牡馬ではディープインパクトが122戦16勝でトップ。以下、ステイゴールド、マンハッタンカフェと続く。有力どころの種牡馬ではキングカメハメハが札幌芝2000mでは7位の6勝という数字だが、同産駒のサクラアンプルールが昨年の勝ち馬になっているため、あまり気にする必要は無さそうだ。

 今回最大の注目馬は、やはり2016年の日本ダービー馬マカヒキ(牡5歳/栗東・友道康夫厩舎)だろう。2016年9月にフランスのGIIニエル賞(芝2400m)を勝って以来勝利から遠ざかっているが、昨年はGI大阪杯4着、GI天皇賞・秋5着、GIジャパンC4着と、GIでも大崩れなく走っていた。

 父ディープインパクト、鞍上のルメール騎手は前述のようにこのコースと相性がいい。ただ、気になるのは骨折明けで約9カ月ぶりとなるレース間隔だ。札幌記念は、過去10年で半年以上のレース間隔で出走した馬は6頭いて、2011年レッドディザイアの3着が最高。比較的後方からレースを進める馬でもあり、このコースということも考えると信頼は置きづらい。秋のGIレースを目標としているように思われるだけに、今回は本命から外したい。

 そこで今回狙いたいのがマイスタイル(牡4歳/栗東・昆貢厩舎)だ。3歳時にGII弥生賞(中山・芝2000m)2着、GI日本ダービー(東京・芝2400m)4着と、クラシック戦線で好走を続けていた同馬は、この夏に1000万下に降級。函館の洞爺湖特別(1000万下、芝2000m)、五稜郭S(1600万下、芝2000m)を勝ってここに臨む。

 格下のレースとはいえ、函館の同距離で連勝してきたことから、パワーとスタミナが必要な洋芝(札幌、函館競馬場で使用されている寒地性の密度の濃い芝)コースに適性があるように感じられるし、勢いは申し分ない。ここ2戦は逃げ切りだが、3歳時のこぶし賞(500万下、京都・芝1600m)では3番手からの競馬で勝利しており、逃げにこだわる必要もない。父ハーツクライの産駒も、札幌芝2000mは70戦7勝と悪くない数字が残っているため、重賞初制覇の期待は大きくなる。

 2番手に挙げたいのがモズカッチャン(牝4歳/栗東・鮫島一歩厩舎)だ。昨年のGIエリザベス女王杯(京都・芝2200m)勝ち馬で、今年はGII京都記念(京都・芝2200m)で0秒2差の4着、GIドバイシーマクラシック(芝2410m)で0秒9差の6着と、牡馬の強豪相手にいい走りを続けている。

札幌でのレースは初めてとなるが、ハービンジャー産駒は札幌や函館の洋芝に強い。同期のディアドラも、7月29日のクイーンS(札幌・芝1800m)を3馬身差で制した。成長著しい4歳馬だけに、ディアドラ同様に成長力を発揮してくれそうだ。

 また、今年3月末にドバイのレースに出走した馬では、前述のディアドラの他に、マテラスカイがGIIIプロキオンS(中京・ダート1400m)で日本レコード勝ち。海外遠征で強い相手と戦うのは相当な経験値になるようで、本馬にもその効果が期待される。

 ともあれ、今年の札幌記念はマイスタイル、モズカッチャンの2頭に要注目だ。