みなさん、早起きは得意ですか。

私は、全く得意ではないです。夜中の2時に漫画を読むのが至福の時で、二度寝や寝坊なんて日常茶飯事。何度親に布団を引っぺがされたことかわかりません。

このままじゃダメだ…と思いつつ仕事も忙しいし、何度トライしても全然起きられない。

そんななか、日本中に早起きを広めるためだけに会社を辞めた26歳がいます。

朝活コミュニティ「朝渋」代表、『5時こーじ』さん。物心ついた頃から現在に至るまで、5時起き22時寝を徹底しつづけている彼は、なぜそこまでして早起きを広めようとしているのか。知られざる朝活の魅力を聞いてきました。

〈聞き手=いしかわゆき(新R25編集部)〉


【5時こーじ(ごじこーじ)】朝活コミュニティ『朝渋』代表の26歳。企業で働く傍ら、自身の早寝早起き習慣を基に、2017年にコミュニティを設立。「著者と語る読書会」を中心に話題を集める。7月末、「日本の朝を変える」を理念に掲げ、現職を辞めたばかり

会社の定時も変えた!? 早寝早起きを広めただけで、100人に感謝された原体験


まさかの朝5時半に渋谷集合で取材がスタート…

いしかわ:
うーん、普通に眠い…

5時こーじさんは、こんな感じで昔から5時起き22時寝の生活を続けているんですよね? なんでずっと早起きを継続できているんですか?

5時こーじ:
うちの家庭では昔から朝ごはんがデフォルトで5時半なんですよ。家族4人揃って飯を食う、というのが普通でした。

そうすると必然的に寝るのも早くなるから、ドラマやバラエティなんかは録画して朝6時から観たりしていましたね。

いしかわ:
生まれた時から当たり前のように朝活をしていたという(笑)。

5時こーじ:
そう。だから、社会人になってからいきなり10-23時で働くことになって大パニック。

1番頭の冴えている10時台はまわりの社員が眠そうでうまくコミュニケーションが取れないし、午後が長すぎて、18時以降だと自分は使い物にならないし…ボロボロでしたね。

いしかわ:
リズムが合わないとそんな感じになっちゃうんだ…

5時こーじ:
でもある日、2社目の会社の社長に「そんなに早起きっていいの?」と言われて、社長の早起きをサポートすることになって。

その結果、夜型だった社長が朝型に変わって。それから社員もだんだんとマネをするようになり、会社の定時が10-19時から9-18時に変更になったんです。

いしかわ:
え、すごい! 会社の就業規則を変えちゃうなんて…


“早起きの妖精”を名乗る5時こーじさん

5時こーじ:
それからある人に「僕は早起きしかできないんで!」とポロっと話したら、「それってすごいことだよ。習慣的にできている人ってほぼいない。世に広めないと!」と言ってくれて。ただ22時に寝て5時に起きているだけなのに(笑)。

でもそうやって、「早起きブートキャンプ」みたいな感じでみんなのお尻を叩いていたら、最終的に全員ちゃんと起きられるようになって。

「早起きで人生変わりました」と100人以上に感謝されたんです

いしかわ:
その原体験が早起きコミュニティをつくることにつながっていったんですね。

早起きは「自分の軸」で生きるための第一歩



いしかわ:
実は私も、新卒のときに少しだけ朝活をしていたんです。たしかに、早起きすると時間が長く感じられたり作業が捗ったりするな、とは感じました。

それ以外にもメリットってあるんですか?

5時こーじ:
そんな本に書いてあるような既視感のあるメリットだけじゃないですよ!

まず、早起きをすると「自分が本当にやりたいこと」にしっかりと向き合えるようになるんです。

いしかわ:
ほお…。どういうことですか?

5時こーじ:
僕は、『何かに依存している』人があまりに多すぎると思ってます。会社に依存したり、お金に依存したり、他人に依存したり。みんな気付かないうちに自分の軸から外れて、他の軸で生きてるんですよね。

平日は家と会社の往復で終わってしまったり、土日は疲れて休んでしまったり。みんな結局、いわゆる「時間があったらやりたいこと」に延々と向き合えないまま毎日を過ごしてしまったりするじゃないですか。



いしかわ:
たしかに、時間があったらやりたいことって、余裕がないとやろうとしないですよね。

5時こーじ:
でも、早起きができたら、会社が始まるまでの空いた7-9時に何をしようか、と考えるようになるんです。

そういえば、自分ってこういうことが好きだったな、こういうことがやりたかったなっていう素直な自分に向き合えるようになる

いしかわ:
時間に余裕ができると心にも余裕ができて、やりたかったことが見えてくるのか!

5時こーじ:
そうです。例えば、朝渋の中には社会人になってから、夜中に帰ってきてギリギリに起きるような生活を送っているメンバーがいました。

それが、早起きを始めてからは、かつて趣味だったボードゲームをみんなでやる会を立ち上げ、ついにはオリジナルのカードゲームを作って製品化までしてしまったんです。

このように、早起きをして自分と向き合うことが自己理解に繋がったり、夢を叶えることに繋がったりするんですよ。



5時こーじ:
そして、早起きという自分ルールができることで、「なんとなくやっていた他人軸のこと」に懐疑的になってきます。

だって、早く起きるためには飲み会を断ったりもしないといけないわけじゃないですか。まわりに混じってダラダラとしていた残業も、「早く来ればいいんだ!」と自分で決めて動くことができる。

それまでは他人軸でやっていたことが、自分との約束を守るために「自分軸」で取捨選択できるようになっていくんです。早起きは、そんな「自分軸」で生きるための第一歩だと思っています。

いしかわ:
習慣化してくると、早起きが最優先事項になるからまわりに流されなくなくなるっていう。

5時こーじ:
そう。それまで夜中の2時まで飲んでタクシーで帰っていたような人が、朝の7時からやりたいことができるようになる。これは革命ですよね。

僕はこれが、早起きができるようになった人が口を揃えて言う「早起きで人生変わった!」の本質だと思っています。

早起きをすると、自己肯定感と信頼感=「人間力」が高まる



5時こーじ:
さらにもうひとつ。早起きをするだけで「人間力」が高まります

いしかわ:
に、人間力? ちょっとおおげさでは…?

5時こーじ:
早起きって、自分との約束じゃないですか。だって、予定がないなら早起きする必要なんてない。ギリギリまで寝ていても、定時出社できれば何の問題もないわけだし。

いしかわ:
それ…! 私はずっとそんな感じでした。

5時こーじ:
でも、あえて自分で『早起きするぞ!』と決めてちゃんと起きられたら、それだけでひとつの小さな成功体験になる。これってすごく自己肯定感が高まることなんですよ。

いしかわ:
自己肯定感が上がる…!?

5時こーじ:
はい。そうやって毎日毎日自分との約束を守りつづけていたら、だんだんと自信がついてくるんですよ。

自信がついてきたら、何か新しいことに取り組むときも、「自分ならできる!」とポジティブにチャレンジできたり、『約束を守る』という習慣がついて時間や期限が守れるようになってきたりする

それと同時に、まわりからの信頼感も高まります。なんとなく「早起きはエラい」「早起きはすごい」みたいに、早起きしてる人に対するポジティブイメージって強いと思いません?

いしかわ:
たしかに。なんとなく真面目でちゃんとしている、というイメージがありますね。

5時こーじ:
早起きは自分との戦いでもある。誰しも一度は朝型になりたいと望んで早起きチャレンジをやったことがあるはずです。

だから、その辛さや継続することの大変さも知っている。

そうやって自分に打ち勝って目的を持って起きられる人は、意志の強い人だと思ってもらえる。それだけで信頼してもらえるんです。

いしかわ:
早起きするだけで勝手に印象がアップ! これは大きい…!

朝は忙しい人にも会えて、信頼関係を構築しやすい



いしかわ:
なんか単純に「頭が冴えて作業効率がアップするよ☆」みたいな話だと思っていたので、壮大なメリットにびっくりしているんですが(笑)。

5時こーじ:
いや、まだまだありますよ。

どんなに忙しい人でも、朝なら基本的にヒマじゃないですか。だから、普段はなかなか会えないような人にも会えるんです。

以前株式会社プロノバの岡島悦子さんにダメ元で「よろしければ、朝お時間いただけないでしょうか?」とお願いしてみたんです。

岡島さんはとても忙しい方ですけど、「私は1年半までアポが決まっているけれど、朝ならいつでも行けるわ!」って返事をくれました(笑)。

著者と語る朝渋読書会 岡島悦子さん | 朝渋(朝活コミュニティ)
http://asa-shibu.tokyo/2017/09/14/etsuko-okajima/
岡島さんを招いて実施したイベントの様子

いしかわ:
たしかに、朝にアポが入っている人は少ないかも。ビッグチャンスここにあり…!

5時こーじ:
「わざわざ予定をズラして調整してもらう」みたいなことも起きないし、すぐにアポが取れる気軽さもありますね。



5時こーじ:
それに、夜は延々と続いていくけれど、朝は「活動前」の時間なのでリミットがありますよね。

だから、ダラダラとした余計な会話をしないで、すぐ本題に入ることができる。さらに、お酒もないから頭が冴えたフラットな状態で会話ができるのも良い。

いしかわ:
限られた時間で濃い話し合いができる、と。

夜だと終電まで、下手したら朝までガッツリと話したりする割に、具体的には何を話したのか覚えていなかったりしますもんね。

5時こーじ:
そうなんです!

さらに、朝に会うと初対面でも信頼関係が構築されるというのも実感してます。

いしかわ:
初対面でも!?

5時こーじ:
昼や夜は会う前に他の予定があって遅れることもあるけど、朝は基本的にそういうことはなくて自分次第。

だから朝に会えることは、お互いがしっかり「早起き」という約束を守れたことでもある。ちゃんと時間通りに会うだけで信頼関係が構築されるんです

いしかわ:
たしかに、それは朝ならではのメリットかも…! 昼と夜に会うだけでは作れない、特別な関係が生まれそうですね。

「日本の朝を変えることは、社会を良くしていくことだと信じている」



いしかわ:
最後に、5時こーじさんは早起きを広めるために会社を辞めた(!)とのことですが、これからどんなことをやっていくんですか?

5時こーじ:
まず、兼業しながらだと実施が難しかった「早起きブートキャンプ」を本格的にやっていきます。

どうして早起きを挫折しちゃうかって、やっぱり強制力がないからなんですよね。なので、そんな人のために僕がお尻を叩くっていう(笑)。

あとは、現在渋谷だけを中心に活動をしていますが、徐々に全国的に活動を広げていこうと考えています。自分が理念として掲げているのは、渋谷だけじゃなく、「日本の朝を変える」ことなので。

いしかわ:
…日本の朝を変える。

5時こーじ:
「早起き革命」ですね。早起きをするだけで自信がついて、自分と向き合ってやりたいことを素直にやれて、会いたい人に会えて、夢を叶えられる

それは、社会を良くしていく活動なんじゃないかとシンプルに思ってます。

いしかわ:
間違いない…!

5時こーじ:
だから僕は、自分の生まれてきた使命として、本気で日本に早起きを広めていきたいんです。

いしかわ:
でも、やっぱり昔から本当に早起きが苦手なんですよね…。私でもできるかなあ。

5時こーじ:
できますよ! そんな「頑張りたいけど起きるのが苦手な人」のために、「朝渋」を作ったんですし。

とりあえず起きてみるだけで、人生変わりますから。そう思って、ぜひチャレンジしてみてください!



5時こーじ☀️/早起きの妖精(@kojijico)さん | Twitter
https://twitter.com/kojijico

「人生で勝てる習慣」をつくる朝活コミュニティ「朝渋NEXT」
https://camp-fire.jp/projects/view/37396

〈取材・文=いしかわゆき(@milkprincess17)/撮影=矢野拓実(@takumiYANO_〉