「厳しい人が『名将』みたいに呼ばれる時代じゃない」(画像はイメージ)

写真拡大

日本大学でアメリカンフットボール部に続き、応援リーダー部(競技チアリーディング)のパワハラ問題が発覚した。この1年ほど、日本のスポーツ界では、選手側が指導者側に対し声を上げる騒動が相次いでいる。渦中のボクシングをはじめ、女子レスリングなど問題は尽きない。

こうしたスポーツ界の現状に対し、タレントの武井壮さん(45)は警鐘を鳴らす。武井さんの考える指導者が本来あるべき姿とは――? テレビ番組での発言が共感を呼んでいる。

「地獄見る指導」は根絶しなければ

2018年8月12日放送の「サンデー・ジャポン」(TBS系)に出演した武井さんは、「もう辞めませんか?って思います」と、日本のスポーツ界に喝を入れた。番組で日大応援リーダー部のパワハラ問題について取り上げた直後のことだ。

「監督とかすごい厳しい人が『名将』みたいに呼ばれているのも、もうそんな時代じゃないし。指導者が怖いからとか厳しいから付いていくなんて、スポーツの本質からもう外れているんですよ」

では、武井さんの考える指導者のあるべき姿とは何か。それは「よりクオリティの高い指導をして、選手をより少ない努力で高いところまで連れて行く」こと。たとえば、選手に10時間練習をさせるのではなく、10時間かけないとできないことを8時間、6時間、2〜3時間にすることだという。そうした指導があるからこそ、「選手たちは『あの監督についていきたい』と思ってやる気が出る」と持論を展開した。

さらに日本のスポーツ界の将来を見据え、

「厳しい怖いだけで、付いて行かなきゃ地獄見るみたいな指導なんて、俺もうスポーツ界から根絶しないといけないと思うし。選手のために部活動なんてあるものだし、その中で選手が苦しんでいるなんてことがあっちゃいけないし、そろそろ日本のスポーツ界はそういったものから脱却して、新しいスポーツの時代を僕は作るべきじゃないかなと思っています」

と真剣な眼差しで訴えた。

武井さんの熱弁を受け、元衆院議員でタレントの杉村太蔵さん(38)は、各種目での指導者講習の徹底を提案。番組司会の爆笑問題・太田光さん(53)は、一部の種目を除いてスポーツと「武士道」を切り離して考える必要があるとし、武井さんもそれに同意した。

「高校の顧問に是非聞いてもらいたい」

武井さんの掲げた指導者像は多くの人の共感を呼び、ツイッター上には

「すごい共感したすげえ」
「めちゃくちゃ正論言っててすごい感心した」
「当たり前だけど改めてそう思った」
「やべー...今、テレビで、武井壮さんがめっちゃいいこといってるよ...」
「やば、、サンジャポの武井壮の言葉を昔の高校の顧問に是非聞いてもらいたい」

といった感想が相次いだ。

またスポーツ界だけでなく、すべての指導者においての理想像というコメントも。

「これって、スポーツだけじゃなく仕事もそう。監督する立場の人間がやるべきことを履き違えないようにしないと」
「めっちゃいいこと言うてる。 スポーツだけじゃなく仕事でも言えると思う。 我慢の美学とかクソ喰らえやで」
「仕事でもそうだ。 長時間や厳しさを乗り越える人が優秀なんじゃない。同じ仕事を短時間で易しく出来るようにしなきゃ。」

なお武井さんは、番組でボクシング問題を扱った際には、

「選手たちもただ黙っている時代は終わったと思うんで、自分の権利とか基本的人権とかもあるし、そういったものをきちんと学んで主張していける時代になってきている」

とも言及していた。スポーツ界の悪しき慣習を正すためには、選手が声を上げることも必要、という訴えだ。