Xperia XZ2の4K HDR撮影は動画撮影の救世主となるのか?
ソニーモバイルコミュニケーションズは今年5月に、2018年夏モデルのスマートフォン「Xperia XZ2」をNTTドコモおよびau、ソフトバンク向けに発売した。
Xperia XZ2はハイエンドスマートフォンらしく、最新のQualcommのチップセット「Snapdragon 845」、4GBのRAM、64GBの内蔵ストレージを搭載する。
これまでXperiaは「オムニバランス」デザインでガラス板のようなシンプルなデザインから始まり、側面をラウンドさせることで、持ちやすく使いやすいデザインへと進化させてきた。
Xperia XZ2は、これまでの板形状で構成されたデザインとは決別し、背面がラウンドした「アンビエントフロー」デザインを採用。
板形状のデザインは、薄さを際立たせることには成功した。
しかし果たして、利用者は本当に「薄さが欲しかった」のか?
といった疑問が大きくなる。
というのも、薄すぎた本体は、
・手にした時に側面が線のような細さであるため、手の一箇所に圧がかかる
・薄いが故に保持しづらい
など、デメリットもあったように思えるからだ。
一方、アンビエントフローデザインは、厚みが増しても手のひら全体で保持することができるため持ちやすくなっている。背面ガラスの強度を確保のための厚みでもあるわけだが、それを帳消しにするのが背面をラウンドさせた新デザインである。
こうした背面デザインはiPhoneが板状デザイントのレンドを作る以前には、当たり前のデザインであったように思う。
Xperia XZ2は、こうしたデザインへの原点回帰とでも言えるのではないだろうか。
そして画面は最近のトレンドである縦長のアスペクト比18:9「Triluminos Display for Mobile」を搭載している。
これまでのソニーは、他社のデザインやディスプレイに関して保守的であった。
しかし今回の進化ではXperiaらしさは継承しつつ他社の最新モデルと並んでも古さを感じることはなくなったというわけである。
一方で、ソニーはハードウェアに関しては保守的ではなく。貪欲に新しいデバイスを採用し続けている。
例えば、
・新しいイメージセンサーを搭載し4K動画撮影を可能にした
・4K表示に対応したディスプレイデバイスを搭載したモデルを発売した
最近では、
・メモリ積層型イメージセンサーを搭載
・CMOSセンサーの読み出しの時間差で移動する被写体が画面の上下歪んでしまうローリングシャッター減少を軽減
など、高速読みだしの利点を活かした秒間960コマのスーパースローモーション撮影を可能とした。
これらのデバイスはソニーのテクノロジーによるもので、最新のデバイスを搭載することで他社製品にはないメリットを訴求することができ、さらにソニーグループとしてのシナジー効果が生まれるのだ。
しかしながら、高精細だが視聴環境が少なく、データ容量が大きい4K動画や、スーパースローモーション撮影は、果たしてユーザーにとっては必要だったものなのか?
そこにソニーとユーザーとのニーズに相違があったように思う。ここではユーザーのテクノロジーに対する解釈について一つアドバイスをしておきたい。
例えば、4K動画は撮影側が4Kを見ることができないから、データが大きいからと言って避けてほしくない要素である。いざ、4Kのテレビを購入したときに、以前撮影した動画がFHDばかりで後悔する…なんてこともあるだろう。
Xperia XZ2は、全部を4Kで撮る必要はなく、旅行やイベント、家族や友人の誕生日など、残しておきたい動画だけを4Kで撮っておけばよい。
スーパースローモーション動画は、特に再生機器を選ばないのでメリットだけしかない。
ただしスーパースローモーション動画は、機能ではあるものの、どんなシーンでどう使うのかは完全にユーザーに委ねられている。
したがって使いこなすためには、ハードルがやや高い印象といえる。
とはいえ、短い動画であっても、インパクトの映像撮影ができることから、SNSとの相性もよく、スマートフォンならではの使い方を生み出す可能性を秘めている。
他社の2018年夏モデルのスマートフォンでも同機能を搭載するモデルもあり、今後盛り上がって行ってほしいところである。
さてXperia XZ2の魅力だが、「HDR動画」がある。
他社に先駆けて最新のイメージセンサーによる「HDR」動画の撮影を可能としている。HDR動画は、これまで動画撮影していたときに弱点と感じていた輝度差が激しく明るい部分が真っ白になっていたようなシーンにおいて、白飛びせずに明るい部分の情報も記録できるというもの。
Xperia XZ2 Premiumの説明会資料より
技術的には高速読み出しが可能なメモリ積層型イメージセンサーの最大限に活かし、映像の1コマ1コマに、通常の露光時間で撮影した映像と、短い露光時間で撮影した明るい部分の映像の2枚を合成して、暗い部分から明るい光までを取り込んでいる。
こうした2回の露光と合成処理には高いパフォーマンスが必要とされるため、Xperia XZ2では、1秒間に24回、つまり24コマの動画撮影までしかできない。とはいえ、この機能が手軽に使えるスマートフォンであることが最大の特徴である。
再生にはHDR対応の機器が必要となるが、Xperia XZ2自体がHDR再生に対応しているので、これまでにないリアルな映像体験が楽しめる。また、撮影したHDR動画はそのままYouTubeに投稿することで、HDR動画として共有することも可能だ。
HDR対応のTVや、他社製スマートフォンなどでも視聴可能なのでオススメしたい。
このように4K動画撮影やスーパースローモーション撮影、そして4Kでも撮影可能なHDR動画撮影は、それぞれの機能が実装された時点ではまだまだ業務用の機器およびハイエンドなビデオカメラなどにしか搭載されていなかったものであり、いち早く誰でもがその機能を使った撮影が楽しめるのがXperiaシリーズの強みである。
4K動画撮影は、残しておきたいシーンにすることを勧めたが、4K HDRにすることで例えば、イルミネーションが美しい夜景や、ろうそくの炎のもとで撮影するシーン、そして雲が影を落とすような晴天での撮影など、みたままの明るさを感じることができるリアルな動画撮影が可能となるのでオススメしたい。
Xperia XZ2 Premiumの説明会でのHDR映像(左)とSDR映像(右)との比較。我々がよく目にする映像は、明るい部分が白く飛んでしまっている右の映像だ。これはイメージセンサーの特性によるものだった
乱暴に言ってしまえば、4K HDRで撮影しておけばどんなシーンでも失敗することなく撮影できるのだ。
Xperia XZ2に限った話しではないが、スマートフォンには動画撮影や静止画撮影、そしてハイレゾオーディオ再生など、多彩な機能を搭載している。こうした機能は単体の機器を購入すると数万円以上するものばかりなので、楽しみながら一つ一つ使ってみてほしいと思う。
執筆 mi2_303
Xperia XZ2はハイエンドスマートフォンらしく、最新のQualcommのチップセット「Snapdragon 845」、4GBのRAM、64GBの内蔵ストレージを搭載する。
これまでXperiaは「オムニバランス」デザインでガラス板のようなシンプルなデザインから始まり、側面をラウンドさせることで、持ちやすく使いやすいデザインへと進化させてきた。
Xperia XZ2は、これまでの板形状で構成されたデザインとは決別し、背面がラウンドした「アンビエントフロー」デザインを採用。
板形状のデザインは、薄さを際立たせることには成功した。
しかし果たして、利用者は本当に「薄さが欲しかった」のか?
といった疑問が大きくなる。
というのも、薄すぎた本体は、
・手にした時に側面が線のような細さであるため、手の一箇所に圧がかかる
・薄いが故に保持しづらい
など、デメリットもあったように思えるからだ。
一方、アンビエントフローデザインは、厚みが増しても手のひら全体で保持することができるため持ちやすくなっている。背面ガラスの強度を確保のための厚みでもあるわけだが、それを帳消しにするのが背面をラウンドさせた新デザインである。
こうした背面デザインはiPhoneが板状デザイントのレンドを作る以前には、当たり前のデザインであったように思う。
Xperia XZ2は、こうしたデザインへの原点回帰とでも言えるのではないだろうか。
そして画面は最近のトレンドである縦長のアスペクト比18:9「Triluminos Display for Mobile」を搭載している。
これまでのソニーは、他社のデザインやディスプレイに関して保守的であった。
しかし今回の進化ではXperiaらしさは継承しつつ他社の最新モデルと並んでも古さを感じることはなくなったというわけである。
一方で、ソニーはハードウェアに関しては保守的ではなく。貪欲に新しいデバイスを採用し続けている。
例えば、
・新しいイメージセンサーを搭載し4K動画撮影を可能にした
・4K表示に対応したディスプレイデバイスを搭載したモデルを発売した
最近では、
・メモリ積層型イメージセンサーを搭載
・CMOSセンサーの読み出しの時間差で移動する被写体が画面の上下歪んでしまうローリングシャッター減少を軽減
など、高速読みだしの利点を活かした秒間960コマのスーパースローモーション撮影を可能とした。
これらのデバイスはソニーのテクノロジーによるもので、最新のデバイスを搭載することで他社製品にはないメリットを訴求することができ、さらにソニーグループとしてのシナジー効果が生まれるのだ。
しかしながら、高精細だが視聴環境が少なく、データ容量が大きい4K動画や、スーパースローモーション撮影は、果たしてユーザーにとっては必要だったものなのか?
そこにソニーとユーザーとのニーズに相違があったように思う。ここではユーザーのテクノロジーに対する解釈について一つアドバイスをしておきたい。
例えば、4K動画は撮影側が4Kを見ることができないから、データが大きいからと言って避けてほしくない要素である。いざ、4Kのテレビを購入したときに、以前撮影した動画がFHDばかりで後悔する…なんてこともあるだろう。
Xperia XZ2は、全部を4Kで撮る必要はなく、旅行やイベント、家族や友人の誕生日など、残しておきたい動画だけを4Kで撮っておけばよい。
スーパースローモーション動画は、特に再生機器を選ばないのでメリットだけしかない。
ただしスーパースローモーション動画は、機能ではあるものの、どんなシーンでどう使うのかは完全にユーザーに委ねられている。
したがって使いこなすためには、ハードルがやや高い印象といえる。
とはいえ、短い動画であっても、インパクトの映像撮影ができることから、SNSとの相性もよく、スマートフォンならではの使い方を生み出す可能性を秘めている。
他社の2018年夏モデルのスマートフォンでも同機能を搭載するモデルもあり、今後盛り上がって行ってほしいところである。
さてXperia XZ2の魅力だが、「HDR動画」がある。
他社に先駆けて最新のイメージセンサーによる「HDR」動画の撮影を可能としている。HDR動画は、これまで動画撮影していたときに弱点と感じていた輝度差が激しく明るい部分が真っ白になっていたようなシーンにおいて、白飛びせずに明るい部分の情報も記録できるというもの。
Xperia XZ2 Premiumの説明会資料より
技術的には高速読み出しが可能なメモリ積層型イメージセンサーの最大限に活かし、映像の1コマ1コマに、通常の露光時間で撮影した映像と、短い露光時間で撮影した明るい部分の映像の2枚を合成して、暗い部分から明るい光までを取り込んでいる。
こうした2回の露光と合成処理には高いパフォーマンスが必要とされるため、Xperia XZ2では、1秒間に24回、つまり24コマの動画撮影までしかできない。とはいえ、この機能が手軽に使えるスマートフォンであることが最大の特徴である。
再生にはHDR対応の機器が必要となるが、Xperia XZ2自体がHDR再生に対応しているので、これまでにないリアルな映像体験が楽しめる。また、撮影したHDR動画はそのままYouTubeに投稿することで、HDR動画として共有することも可能だ。
HDR対応のTVや、他社製スマートフォンなどでも視聴可能なのでオススメしたい。
このように4K動画撮影やスーパースローモーション撮影、そして4Kでも撮影可能なHDR動画撮影は、それぞれの機能が実装された時点ではまだまだ業務用の機器およびハイエンドなビデオカメラなどにしか搭載されていなかったものであり、いち早く誰でもがその機能を使った撮影が楽しめるのがXperiaシリーズの強みである。
4K動画撮影は、残しておきたいシーンにすることを勧めたが、4K HDRにすることで例えば、イルミネーションが美しい夜景や、ろうそくの炎のもとで撮影するシーン、そして雲が影を落とすような晴天での撮影など、みたままの明るさを感じることができるリアルな動画撮影が可能となるのでオススメしたい。
Xperia XZ2 Premiumの説明会でのHDR映像(左)とSDR映像(右)との比較。我々がよく目にする映像は、明るい部分が白く飛んでしまっている右の映像だ。これはイメージセンサーの特性によるものだった
乱暴に言ってしまえば、4K HDRで撮影しておけばどんなシーンでも失敗することなく撮影できるのだ。
Xperia XZ2に限った話しではないが、スマートフォンには動画撮影や静止画撮影、そしてハイレゾオーディオ再生など、多彩な機能を搭載している。こうした機能は単体の機器を購入すると数万円以上するものばかりなので、楽しみながら一つ一つ使ってみてほしいと思う。
執筆 mi2_303