ほぼすべて黒塗りだった長野県の公文書(写真は、山口典久県議提供)

写真拡大

長野県内の森林組合による補助金不正受給事件で、県に公文書の情報公開請求をしたところ、ほぼすべて黒塗りだったとして、共産党県議がツイッターで写真を公開した。

これでは非公開と同じではないかと、驚きの声が上がっている。

補助金不正で、職員へのヒアリング内容の公開求める

表題や日付などのほかは、すべて真っ黒になった公文書がずらりと並ぶ。

 

「これ、海苔ではありません」。山口典久県議は2018年8月1日、ツイッターに投稿した写真についてこう説明した。

この事件では、大町市内の大北(たいほく)森林組合が国の補助金14億円余を不正受給し、組合の元専務理事が詐欺などの罪で懲役5年の実刑判決を17年3月に受けるまでになっている。

県は国に3億5000万円ほどの加算金を納めたが、このことについて、県民から監査請求があり、県監査委員は18年2月、事件に関わったとされる県職員11人に計450万円の賠償責任を認めていた。

共産党県議団では、監査委員による職員へのヒアリング内容について知りたいと、和田明子県議名で7月9日、県に情報公開請求を行い、8月1日に公文書が公開された。

ところが、手渡された277枚のほぼすべてが黒塗りの状態だった。このことに対し、山口県議は、「あまりにもひどすぎる。公文書の管理、公開は国民主権、『知る権利』に関わる重大な問題です」とツイッターで怒りを露わにした。

「事実が語られなくなり、今後の監査業務に支障」

山口典久県議による黒塗り写真の投稿は、8月2日夕現在で1万件ほどもリツイートされており、驚く声が次々に寄せられている。

「これを普通は、『非公開』と言う」「開いた口がふさがらない」「普通は個人情報に繋がる部分だけのはず」「こんな物出さない方がまし、紙とインクがもったいない」...

長野県監査委員事務局の次長は2日、J-CASTニュースの取材に対し、ヒアリングした職員名、日付、公表資料を除き、99%ぐらいを黒塗りにしたことを認めた。

「職員11人の名前や所属など、個人情報に関わることがあります。また、ヒアリング内容がもし公表されれば、事実が語られなくなり、今後の監査業務に支障が出てしまいます」

非公開と何が違うかについては、「ごく一部は公開していますので、公開決定の扱いになります」と説明している。

これに対し、山口県議は、「公開した形にしたいだけで、公開とは言えないと思います。今後については、県議団の中で話し合って、行政不服審査の請求も検討したい」と話している。