船越英一郎、異色の本人役で2時間サスペンス「身を切る覚悟で」

このドラマは、殺人事件に巻き込まれた船越が、主演作100本以上、出演作350本以上という2時間サスペンスで得た知識と経験を駆使して推理に挑むものの、次々と予想もできない危機に襲われ、船越自身が殺人事件の容疑者になってしまうというもの。マネージャー役で夏菜、ドラマのアシスタントプロデューサー役で内山理名、なじみの喫茶店のマスター役で木下ほうかが共演するが、船越以外も、内藤剛志、吉田鋼太郎、萬田久子、山村紅葉、山下容莉枝という名優たちが本人役で登場するため、「何がフィクションで、何がリアルなのかの境が分からない」演出になっている。
ただ、「これでもずいぶん切ったんですよ」と、当初の台本はかなりプライベートな部分に切り込んでいたそう。際どいセリフも「山ほどあった」といい、「お前らいい加減にしろよって言いました(笑)」と一喝したとのことだ。一方で、自分と全く違う性格で描かれている部分は「ないです」と即答し、「この話を編んでくださった皆さんの視点に映る僕はこういうことなんだろうということだと思うんです。それをこの本から教わる部分もあったと思います」と、自分自身を知る作品にもなったそうだ。
芸能生活35年を振り返って「あっという間かなぁ。険しい道のりではあったと思います。ただ、険しいだけではなかったと思うんですよね。必ずそこには楽しさが表裏一体となってありましたので、それがなかったら35年も続けていけなかったと思うんですよね」と、しみじみ語る船越。
劇中には、洋館や崖など、2時間ドラマの定番スポットが登場するが、「いつの間にか2時間ドラマが文化になって、それと同時に皆さんがパブリックイメージみたいなものをどんどん作っていって、『2時間ドラマと言えば崖だよね。崖と言えば、ポニョか船越か』みたいなことになってる」と冗談を飛ばしながら、「もう一度、2時間ドラマの培ってきたエッセンスみたいなものをとにかくぶち込んでいこうという思いで作りました」と意欲を語る。
崖には久々に訪れたそうだが、「断崖絶壁でクライマックスをやるというのは、やっぱりいいもんですね」とご満悦の様子。昨今は2時間サスペンスの本数が激減しているが、「自分のライフワークにしようという思いでずっと携わってきたものですから、もう一度皆さんに見ていただける時代が来るような作品を作っていかなきゃいけない。(2時間サスペンスは)日本が生んだオリジナリティのあるものだと思うんですよね。これが日本のテレビから姿を消すことがないように、40周年のときにも、2時間ドラマで大きな作品をお届けするというのが、1つの夢ですね」と話している。
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