「ストレート地名」と呼ばれる地名と聞いて、どのような地名だと思い浮かべるだろうか。

ツイッター上で2018年7月24日、次のようなツイートに関心が集まっているのだ。

「自衛隊川」「排水橋」など、その土地の歴史よりも周囲にある風景をもとに名づけたような地名のことを指す。どういった経緯で生まれたのだろうか。

雨水で苦労していた

iskwsさん撮影、Flickrより

自分が住む地域、あるいは行ったことのある地域で、「どんな由来でこうなったの?」と不思議に感じるような地名を見たことはないだろうか。

筆者がつい最近、川崎市に住む知人と散歩をしていた時のことだ。東急田園都市線・溝の口駅付近(川崎市高津区)の国道246号線上の交差点で「切通し」と書かれた地名標識を見かけた。

思わず「切通し...」。筆者がつぶやくと、知人は「なんていう意味ですかね?」と尋ねてきた。「わからない」と言って会話は終わったが、後日気になって意味を調べてみた。

「切通し:山・丘などを切り開いて通した通路(広辞苑より)」

意味を知ると、そういえば道の左右両端に山のようなものがあったことを思い出し、それを切り開いてこの道路ができたんだろうな、と思いを馳せた。

さて、本題に戻り、ツイートにある「自衛隊川(北海道・猿払[さるふつ]村)」。いかにも、自衛隊が近くに駐屯しているから名づけられたようだが、実際はどうなのか。猿払村に聞くと、「そのままか」と思わずにはいられなかった。

「川沿いに、自衛隊の演習場があるからだと思います」(猿払村総務課)。

猿払村には駐屯地はないものの、名寄駐屯地(名寄市)から同村にある鬼志別(おにしべつ)演習場(1965年開場)に泊まりかけで訓練に参加することがあるというのだ。

後日、担当者から再度連絡が来た。過去の河川担当者に話を聞いて詳しく調べてくれたのだ。

「演習場の開場当時、場内は雨水が蓄積されやすい場所だったそうです。その対策のため河川改修が必要でしたが、河川名がなければ防衛庁(現防衛省)に改修の補助金申請ができないということで、便宜上この名称にしたのではないか、とのことでした」(上記担当者)。

実際、同村は1972〜73年頃、防衛庁に自衛隊川改修の補助金を申請している。

同村に限らず、道内の河川名はアイヌ語由来のものが多いのだが、自衛隊川は日本語であるため、それまでは名前がなかったのではないか、との見解を過去の河川担当者は示したという。

自衛隊川は、同村にある知来別(ちらいべつ)川の支流。演習場内からオホーツク海に流れる川として、猿払村が管理する普通河川に分類されることから、命名は猿払村が行ったものと考えられているのだそうだ。

ツイッター上では、

と興味津々の様子だ。