プロレスを語らせたら芸能界で右に出るものはいないと言われる水道橋博士。今年の上半期の芸能界を騒がせた「オフィス北野問題」では、数々の発言で渦中の人でもあった彼が、騒動と並行して今春からプロレス界のレジェンドである長州力にインタビューを敢行していました。しかも、長州力サイドからインタビュアーとして指名を受けて。そのインタビューが早くも書籍になって登場しました!

『長州力 最後の告白』
著者:長州力 聞き手:水道橋博士

当初、「長州力のレスラー人生における『10大事件』について、これまで謎とされてきた真実を語ってもらう長州初のインタビュー集」を目論んだ本書。しかし、最初のインタビューで開口一番「そんなことを聞かれても『お前になにがわかる!』ってことです」と、編集側の意図はもろくも崩れさりました。「ただ、こうして博士さんといろんな、お喋りすることは、僕はなにも問題ないですけどね……」との言葉に企画は大きく変更。

水道橋博士が、長州力を中心にプロレス史をふりかえり、一観客として長州力に何を聞きたいのかを語り、それを踏まえて本人に断片的に話を聞き構成。いわば、長州力と水道橋博士、二人の証言録といえる書になりました。

「プロレスファンなら、誰もが長州力に夢中だった時代というものが確実にあるよね」
水道橋博士の発言で始まる第1章から、長州力を中心にしたプロレス史を丹念にたどり、その時々の事件を当事者である長州力が振り返る構成となっています。

各章のタイトルには、プロレスファンにとって、どれもが当時を振り返りたい、真相を知りたい話題が並んでいます。

第1章 プロレスへの苦悩と「噛ませ犬」発言
第2章 前田日明と「長州顔面蹴撃」の先
第3章 90年代ドーム興行連発の“インパクト”
第4章 「1・4事変」と橋本真也への思い
第5章 長州力引退と「大仁田劇場」の結末
第6章 格闘技と「新日本暗黒時代」の長州力

「新日本にいるかぎりは、みんな猪木会長の手のひらの中ですよ。(中略)結局は会長が“インパクトの粉”を振った結果」
「チンタというのは、芸人にたとえたらどうなんだろうな。ダウンタウンさんが上がってきたときの感覚ですかね。」

水道橋博士のプロレス愛あふれる、しかも核心をついた質問、疑問にのせられ、長州力も思わず真相や自説を開陳。長州力ならではの名言、名解答が、各章に次々と出現するのが大きな特徴です。

巻末には「長州力×水道橋博士 対談『プロレス芸人論』」を特別収録。

「引退したら毎日テレビを観る」と断言するテレビ魔の長州力。水道橋博士を相手に、独自の芸人論を展開します。お笑いとプロレスの共通点や相違点、オフィス北野問題、はては日大アメフト事件まで、縦横無尽に語り合っているのも読みどころです。

text: P.M.A. Tryangle