Samsungが開発に成功していた、落としたり傷つけても割れない有機ELディスプレイ(OLED)が、アメリカの大手認証企業Underwriters Laboratoriesの認証基準「UL認証」を取得したことが発表されました。今後は「落としても割れないスマートフォン」の実現が近づくほか、高い安全性を活かして自動車用の表示パネルなどとしての活用や、「折り畳みスマホ」の実現が期待できそうです。

Samsung Display’s ‘Unbreakable Panel’ Certified by Underwriters Laboratories - Samsung Newsroom

https://news.samsung.com/us/samsung-displays-unbreakable-panel-certified-underwriters-laboratories/

Samsung傘下のSamsung Displayは韓国時間の2018年7月26日、同社が開発してきた「割れないスマホパネル」がUL認証を取得したことを発表しました。この技術はSamsungが過去数年にわたって開発を行ってきたもので、業界では初となる「割れない」という機能が認められたものになるとのこと。

スマートフォンのパネルは「ゴリラガラス」などの強化ガラスで作られていることがほとんどですが、必ずしも「無敵」というわけではありません。実際には、落とした時の当たり所が悪かったりすると画面に大小のヒビが入ってしまい、最悪の場合にはディスプレイとしての機能を果たせない状態に陥ってしまうこともあります。

この問題を解消するために各種メーカーは割れないディスプレイの開発を進めているものとみられますが、その開発に成功していたのがSamsungでした。同社は2017年に開催されたディスプレイ関連の見本市「Display Week 2017」に割れないディスプレイを展示していました。

Samsung shows off its latest flexible and rollable OLED displays - SamMobile

https://www.sammobile.com/2018/05/30/samsung-shows-off-its-latest-flexible-and-rollable-oled-displays/



Samsung to unveil incredible stretchable screen that can sustain dents up to 12mm deep - before springing back

https://www.thesun.co.uk/tech/3627935/samsung-to-unveil-incredible-stretchable-screen-that-can-sustain-dents-up-to-12mm-deep-before-springing-back/

この割れないディスプレイは、最大で12mm程度の変形が起こっても、元通りの形状に復元することが可能であるとのこと。また、折り曲げが可能という特色も備わっており、曲面に沿ったディスプレイを実現することができるというメリットがアピールされていました。



ULによると、この割れないディスプレイは高さ1.2メートルからの連続26回落下試験をクリアし、セ氏71度からマイナス32度までの環境で行われた動作試験でも問題なく性能が発揮されていることが確認されたとのこと。また、アメリカ国防総省によって設定された軍事基準に基づく耐久性テストにも合格しているほか、テスト基準を上回る高さ1.8メートルからの落下試験を行っても、傷1つ確認されなかったそうです。

UL認証を受けたことで性能の高さが確認されたSamsungの割れないパネルは、スマートフォン向けの活用に加えて自動車の車載機器用パネル、さらには軍装備品の電子パネルとしての活用も見込まれているとのこと。また、このパネルは折り曲げることも可能なので、Samsungが特許を取得していた折り畳みスマートフォンがついに実現することにもつながりそうです。

大画面を折り曲げて自在に形を変えられるスマートフォンの特許をSamsungが出願中 - GIGAZINE