これまでの経緯を踏まえれば、是か非かの話は同時発生するのが自然だ。森保でいいのか。それは名前が出た瞬間、語られるべきものだ。不自然と言わざるを得ない。

 いま協会が注目しているのはメディアと世論の反応だ。このニュースがどう報じられ、ファンはどう反応するか。様子を見ている気がする。まずはメディアがどう報じるか。是か非か論に踏み込めば、半々に割れそうな選択だ。世の中に多くの反対意見が席巻することになる。だが、そこに踏み込まず、経過だけ、コメントだけ伝えればそれは既成事実化し、世論形成の役割を果たすことになる。

 反対するならいましかない。決定してからでは遅い。意見を述べなければ、それを肯定したも同然であるにもかかわらず、是非を問う報道はほぼゼロ。それを報じるメディアは、ともすると中立を装っているように見えるが、積極的かつ意図的に思考停止に陥ろうとしている様子だ。結果的に、森保ジャパン誕生の推進役、協会のお先棒担ぎの役を果たしている。

 口にするのが当然なのに、口にしない。肝心なことは議題にしない。意見を述べようとしない。メディアのこうした腰の引けた姿勢に、不自然さを通り越し、いかがわしさを感じるのは僕だけではないはずだ。