ファンの前でW杯について語った香川。充実感とともに自らの課題も感じていることを明かした。写真:JMPA代表撮影(滝川敏之)

写真拡大 (全2枚)

 香川真司がかつてのホームグラウンドに帰ってきた。21日に古巣セレッソ大阪の本拠地ヤンマースタジアム長居で行なわれた西日本豪雨災害チャリティーイベント「#Shinji Dream Special in Osaka」に主催者として参加。小学生低学年の子どもたちとサッカーで触れ合った後、約3000人の来場者を前にワールドカップを振り返り、そして今後への思いを語った。
 
「ブラジル・ワールドカップが終わってからの4年間、厳しい立場、逆境を経験してきた中で、それと向き合ってきたからこそ、今回、こうやってプレーできたのかなと感じています。その経験が今回のワールドカップに対して生きていたと思います」
 
 グループリーグ初戦のコロンビア戦では自らが獲得したPKを決め、チームに貴重な先制点をもたらした。それ以降も不動のトップ下として西野ジャパンの攻撃陣をけん引し、前評判の低かったチームをベスト16に押し上げる原動力となった。だが、決勝トーナメント1回戦ではベルギーに2-3と惜敗。力不足を痛感させられた。
 
「言っても、歴史を作れなかった。負けたので悔しい思いがあります。その中で何を得たかというと、僕も29歳、30歳となっていく中で、改めて自分の新たなチャレンジをしたい。このワールドカップで新たな可能性を感じることができたので。個人的には僕のスタイル、香川真司というものを、より確立させていきたい。結局は、あの舞台で1点しか取れなかった。それを力に変えて、個人技や個人の能力を伸ばして、チャレンジし続けていきたい」
 
 史上初のベスト8を懸けたベルギーとの一戦では、見事なボールコントロールから乾のゴールをアシストしたとはいえ、自らはゴールを奪うことはできなかった。フェライニやE・アザール、ルカクら強烈な個の能力を備えたベルギーに後半途中から圧倒され、2-0からまさかの逆転負けを喫する結果となった。そのショックは計り知れず、再び前を向くまでには時間を要したものの、オフの期間に頭の中を整理してきた。
 
 香川真司の確立――。
 イベント後の報道陣による囲み取材では、より具体的に進化への思いを語った。
 
「あそこ(ワールドカップ)で痛感した、個人個人の強さやスキル、能力の高さ。ベルギー戦もそうだし、感じることが多かった。あそこの局面で僕自身がトライして、もうワンステップ上がるためには、個で局面を打開したり、そういう要素を身につけたい。絶対的なストロングポイントが必要だなと、改めて感じたんで。それを問いただしていきたいし、ドルトムントには個の力が強い選手がいる中で、今後、そういう選手に対しても負けないぐらいの自分のストロングを明確に作り出していきたい」
 
 現在、欧州では香川に対してトルコの強豪、ガラタサライやベシクタシュが獲得に向けて興味を示していると伝えられている。今オフの移籍の可能性を問われた香川は「それは今後。まずドルトムントに帰ってから話しますし、具体的に今はそういうのはないんで。まずはドルトムントに集中して、プレシーズンを送りたいなと思っています」と話すに止めた。
 
 ワールドカップという大きな舞台を戦い終えて、新たな挑戦に打って出るのか。去就に注目は集まるものの、いずれの決断であっても、日本代表の背番号10は成長することを追い求めていく。