昨季までマーリンズでチームメイトだったリアルミュート(左)とイチロー【写真:Getty Images】

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昨オフにファイヤーセールを敢行したマーリンズ、残留したリアルミュートは孤軍奮闘

 マーリンズは昨オフ、次々に主力を放出するファイアーセールに打って出た。主砲で昨季ナ・リーグMVPのジャンカルロ・スタントン外野手はヤンキース、マルセロ・オズナ外野手はカージナルス、クリスチャン・イエリッチ外野手はブルワーズ、不動のリードオフマンだったディー・ゴードン内野手はマリナーズにそれぞれ移籍した。イチローもマリナーズへと復帰し、今季途中には会長付き特別補佐に就任したが、残留したJT・リアルミュート捕手はマイアミで孤軍奮闘の働きを見せている。

 借金16と沈むチームの中で打率.310、12本塁打、45打点の好成績をマークし、マーリンズからただ一人オールスターに選出。走攻守に優れた異色の万能型捕手は、オールスターの前日会見で“イチローロス”を明かした。

「イエリッチとオールスターで再会できてうれしいよ。彼とは同期入団でルームメートだったんだ。球宴で会おうとジョーク交じりに約束していたけれど、まさか実現するとはね」

 かつてのチームメートとはナ・リーグの代表として共闘することになった。

 ヤンキース伝説のキャプテン、デレク・ジーター氏が昨年9月にオーナーに就任したマーリンズは、チーム再建に向けて人件費を削減するため、実力者を次々に放出。最強外野トリオは解体され、4番手外野手だったイチローの契約延長オプションも更新しなかった。リアルミュートも当初はトレード希望を公言していたが、実現せず。マーリンズに残留した。

「あとで振り返っても、イチローと過ごした日々は貴重だと感じるだろう」

「実績のある仲間がいなくなってしまった。それで、クラブハウスでの自分の役割が変わったとは思わない。自分はポジション柄、リーダー的な役割は少なからず昨季以前から託されてきた。若手をけん引していきたい意識は高まったけれど」

 こう語ったリアルミュートだが、“損失”の大きさを感じている選手が3人いるという。イエリッチ、スタントン、そして、イチローだ。

「彼の不在は大きいよ。クラブハウスですごく大きな存在だった。みんなを気にかけて、クラブハウスを盛り上げてくれる最高の人格者だった。みんな若手は彼の一挙手一投足から学んでいた。最高の手本がいなくなってしまった。本当に寂しいんだ」

 背番号51は古巣マリナーズに移籍。今季中は公式戦に出場しないことが決まっている。初のオールスター選出を果たしたリアルミュートは、そんなレジェンドから多くを学んだという。

「彼の日々のトレーニング、試合に対する準備は最高の規範だった。僕のやり方とは違うけれど、いかに日々過ごすのか。プロフェッショナルである部分を体現してくれた。あとで振り返っても、イチローと過ごした日々は貴重だと感じることだろう」

 シアトルに凱旋したイチローの流儀はファイアーセールで解体状態となったマーリンズにもまだ息づいているようだ。(Full-Count編集部)