「最初は冗談かと思いました。事件はNHKの番組が発端なのに、スクープとして表彰するなんてありえません」

 そう言って眉を顰めるのは、あるNHK記者だ。

 TOKIOの山口達也元メンバー(46)が、女子高生に無理やりキスをするなどして、強制わいせつ容疑で書類送検されたのは4月のこと(起訴猶予処分)。

 被害者は山口が司会を務めていたNHK・Eテレ『Rの法則』の出演者。この事件を “特ダネ” と最初に報じたのは、ほかでもないNHKだった。事件を受け、番組は打ち切りになっている。

 スクープを摑んだ報道局社会部の記者2人に「編集主幹特賞」が授与された。5月14日付の表彰状にはこうある。

<国民的人気グループのメンバーが起こした事件は、新聞・通信社や民放各社が一斉に後追いで報道したほか、事件を伝えたNEWS WEBのネットでの閲覧数が1000万を超えて過去最高となるなど、社会に大きな反響を呼んだ>

 別のNHK記者が言う。

「正直、このネタを表彰することに対して『マッチポンプだよね』と社会部内で話題になりました。報道局と『Rの法則』の制作局は違う部署とはいえ、外部の人が見たら、はたしてどう思うか」

 NHKの大物OBは、匿名を条件に辛辣に指摘する。

「この報道自体がスクープかどうか疑問です。NHK内部で起きた事件をNHK内部で表彰していた。OBとして恥ずかしい話だと思います」

 もっとも、擁護する声もある。

「ネタは社会部が独自で入手したもの。速報を打つ直前に『Rの法則』の責任者に通告したと聞いている。糾弾されるべきは、外部プロダクションとズブズブの関係になって番組作りをしているとされたEテレ側なのでは」(NHK報道局幹部)

 本誌の取材にNHKは「協会内部での表彰に関しては、お答えしておりません」。

「NHKには会長賞をはじめ、表彰制度が複数ある。今回は現場を励ますレベルの賞で、頻繁に出されている。記者は一生懸命に取材しているのだから、表彰する側が考えてほしい」(別のNHK局員)

 これでは、まさにNHKのオウンゴールだ。

(週刊FLASH 2018年7月3日号)