日本最大級の競走馬セール(セリ市)・セレクトセールが、7月9日、10日に北海道苫小牧市のノーザンホースパークで行なわれる。

 このセールは今年で21回目。三冠馬ディープインパクトなど過去の多くの名馬のほか、今春もGI大阪杯のスワーヴリチャード、GI皐月賞のエポカドーロ、GI天皇賞・春のレインボーライン、米GIターフクラシックSのヨシダ、GI宝塚記念のミッキーロケットと、国内外でセレクトセール出身馬5頭がGIレースを勝利している。


種牡馬としても圧倒的な人気を誇るディープインパクト

 セールの模様は、主催者である日本競走馬協会のWebサイトなどで生配信されている(セリ開始は10時から)。馬を見る目が鍛えられ、数カ月前に生まれたばかりの可愛い当歳(0歳)馬を見るのも楽しい。また、当歳馬は母馬と一緒に上場されるため、好きだった牝馬(メス馬)が母になった姿を見られるのも嬉しいものだ。

 さらに、1億、2億……と、どんどん金額が上がっていくセリの動きを見るのも面白い。昨年の最高額落札馬は6億2640万円(税込、以下同)という驚くべき額で、今年はどこまで上がるのかに注目だ。

 とはいっても、2日間で約500頭の馬が上場される大規模なセールで、1日で8時間を超えることもあるため、すべての馬を見るのは大変だ。そこで今回は注目馬をピックアップ。上場番号を参照しながら、注目馬だけチェックするのが賢い見方だろう。

 その前に、競走馬セールの基礎知識を確認しておこう。セリでは一般的に、牡馬(オス馬)のほうが牝馬よりも高い価格で取引される。一般的に牡馬のほうが体が大きくて能力が高く、競走馬として計算しやすいのに加え、GIを勝てば種牡馬(しゅぼば)入りして数十億円で取引されることもある。”当たり”を引いたときの見返りが大きいのだ。

 種牡馬(父馬)と生産者にも傾向があり、最近はディープインパクトとノーザンファームが圧倒的な人気を集め、”ノーザンファーム産のディープインパクト牡馬”は7年連続でセレクトセールの最高額落札馬を送り出している。

 ディープインパクトは今年、日本ダービーを制したワグネリアンなどを出し、海外でも2頭のGI馬を出している。ノーザンファームは今春のGIを6勝し、2年連続で生産者ランキングのトップを走っている。海外バイヤーの注目度も上がっているため、さらにこの傾向が強まる可能性は高い。

 今年は1歳に6頭、当歳に2頭の”ノーザン+ディープ+牡馬”が上場される。それらの馬をチェックしつつ、今年の注目馬を上場番号順に見ていこう。

7月9日(月)1日目(1歳馬)

 まずは21番・キングスローズの2017。”ノーザン+ディープ+牡馬”で、全兄(父馬と母馬が同じ)のサトノアーサーは2015年の同セールで2億1060万円で落札された。母はGIニュージーランド1000ギニー(日本の桜花賞にあたる)を勝っており、現2歳のロードカナロア産駒も1億9440万円で落札されている。サトノアーサーは6月10日にGIIIエプソムCを勝ったばかりで、今後はGI戦線での活躍が期待されるだけに、この馬もかなりの高額馬になりそうだ。

 52番・ジンジャーパンチの2017も”ノーザン+ディープ+牡馬”。母は米古牝馬チャンピオンで、姉ルージュバックはGIIオールカマーなど重賞4勝を挙げている。全兄ケイブルグラムが1000万下クラスの3勝馬なのが割引だが、また大物が出てもおかしくない血統だ。

 72番・クリスプの2017(牡)は米三冠馬アメリカンファラオの初年度産駒で、母は米GIサンタアニタオークス勝ち馬。これもノーザンファーム生産の牡馬で、父は米国繋養(けいよう)で希少性が高いだけに高額が予想される。

 116番・アゼリの2017も”ノーザン+ディープ+牡馬”。母は米年度代表馬で、日本でいうとジェンティルドンナやブエナビスタのような存在。ただ、過去に上場された全兄ロイカバード、アドマイヤアゼリも2億円を超える高額で落札されているものの、出走条件がつけられているレース条件戦での勝利にとどまって大成はしていないのが気がかり。

 132番・ホットチャチャの2017は、ディープインパクト産駒の牝馬でノーザンファーム産馬。母は米GIクイーンエリザベス2世C(芝9F)の勝ち馬で、現3歳の兄エタリオウは今年のGI日本ダービー4着の実力馬だ。

 144番・ウォッチハーの2017も”ノーザン+ディープ+牡馬”。母はアルゼンチンのGI馬で、全姉で母の初仔ダノンアモーレは1戦未勝利だが、競走馬は2番仔以降が大成することが多く、この馬は狙い目だろう。

7月10日(火)2日目(当歳馬)

 当歳馬セールの楽しみのひとつが、新種牡馬産駒が初めて登場することにある。今年は日本ダービー馬ドゥラメンテや、香港CなどGI6勝のモーリスの初年度産駒が登場する。

 336番・ダイワパッションの2018(牡)はドゥラメンテの初年度産駒にして、今年の皐月賞馬エポカドーロの半弟(父馬が違って母馬が同じ。父はオルフェーヴル)。兄は2015年のこのセールで3672万円だったが、この馬は”皐月賞馬の弟”という大きな付加価値が加わり、高額落札が予想される。新ひだか町・田上徹氏の生産馬。

 348番・スノーパインの2018(牡)は、イギリスで14戦14勝の世界的名馬フランケル産駒。フランケルは日本でもソウルスターリング(オークス)、モズアスコット(安田記念)といったGI馬を出している。本馬の兄タワーオブロンドンは現3歳で、GII京王杯2歳Sなど重賞2勝の活躍馬だ。ノーザンファーム生産。

 364番・シルヴァースカヤの2018は”ノーザン+ディープ+牡馬”。全兄シルバーステートは重賞勝ちはないものの、圧倒的な強さで5戦4勝の成績を残し、”幻のGI馬”と呼ばれた逸材だった。現2歳の全兄リストも2億8080万円という高値で落札されている。

 375番・レーゲンボーゲンの2018(牡)は今年のGI天皇賞・春を勝ったレインボーラインの半弟。父はキタサンブラックの父ブラックタイドなので、兄同様に中長距離戦線での活躍が期待される。ノーザンファーム生産。

 400番・リアアントニアの2018も”ノーザン+ディープ+牡馬”。母はカナダ2歳牝馬チャンピオンで、米GIのBCジュヴェナイルフィリーズの勝ち馬。初仔で現2歳の全姉リアオリヴィアは未出走だが、牝馬にしては高額の総額7000万円がついたシルクレーシングの募集馬だけに、全弟のこの馬の評価も高くなりそうだ。

 401番・シュガーハートの2018(牡、父ブラックタイド)は、昨年引退したキタサンブラックの全弟。昨年上場された現1歳の全兄は1億5660万円で落札されている。1年前に比べ、キタサンブラックはGI2勝を加え、史上最多賞金獲得馬という肩書きを加えており、この馬の価値も上がっている。日高町・ヤナガワ牧場生産。

 422番・フリーティングスピリットの2018(牡)は前述のモーリスの初年度産駒。母は全欧チャンピオンスプリンターという一流馬で、世界レベルのスピードが期待できる配合馬だ。

 以上、2日間の注目馬を紹介したが、ほかにも多くの良血馬が控えているため、それらは文末の一覧表にまとめた。この中から最高額落札馬が出てくる可能性もあるため、大いに注目いただきたい。

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