夏の福島の名物レース、GIII七夕賞(福島・芝2000m)が7月8日に行なわれる。

 実力馬が休養に入る夏場の古馬のハンデ戦ということもあって、かつては「1番人気が勝てない重賞」と評判のレースだったが、過去10年の結果を振り返ってみると、1番人気は3勝を挙げている。それでも、”荒れる”イメージは依然として強い。

 というのも、頻繁に高配当が生まれているからだ。3連複でも過去10年中8回が万馬券になっており、3連単は過去10年すべて万馬券。うち5回は10万円超えで、2015年には3連複が29万610円、3連単が100万6440円という高配当をつけている。穴党にとっては、まさに”腕が鳴る”レースといえる。

 だからといって、闇雲に人気薄の馬を狙っても高配当を手にできるわけではない。では、どういった馬が狙い目になるのか。スポーツニッポンの「万哲」こと小田哲也記者は、ここ数年で変化してきた”ある傾向”に目をつけている。

「少し前までは開催4週目に行なわれていましたが、2013年から開催2週目に移行。それによって、荒れるレースでも”性格の異なる荒れ方”をするようになりました。

 具体的にいうと、以前は馬場がかなり荒れていて、時計も2分以上かかることが多く、外差しの追い込み馬や、軽ハンデの馬が突っ込んできて波乱になることが多かったんです。それが、ここ最近は開催2週目で馬場管理の技術も向上しているため、おおよそ1分58秒台の速い決着となり、近走不振でも、ある程度の斤量を背負った実績馬が好走するケースが目立っています」

 確かに2013年以降の勝ち馬を見ると、5頭中4頭が57kg、もう1頭が56kgと、それなりの斤量を背負っている。さらに2着馬も、斤量55kgが1頭、56kgが1頭、57kgが1頭、58kgが2頭という内訳になっている。

 ちなみに、勝ち馬はいずれも4コーナー4番手以内の位置取りだった。

「ということで、”他力”に頼った差し馬はちょっと厳しい状況。逆に、ピークを過ぎたように見える実績馬が、穴という意味では狙い目になると思います」

 そこで、小田記者が推奨するのが、マイネルミラノ(牡8歳)である。勝ち星からは1年以上遠ざかっているが、2016年のGIII函館記念(函館・芝2000m)の勝ち馬で、他にもオープン特別を2勝している実績馬だ。


七夕賞での「激走」が期待されるマイネルミラノ

「前走のGIIIエプソムC(6月10日/東京・芝1800m)は、決してベストとはいえない距離のレースで、しかも休み明け、58kgの別定斤量、重馬場とマイナス要素が多く、苦戦覚悟の一戦。11着という結果は、度外視していいと思います。

(マイネルミラノは)自力でレースを作れる脚質で、実績も十分。2000mに距離が延びることを考慮すれば、3着に入った前々走のGIIアメリカジョッキークラブC(1月21日/中山・芝2200m)や、コンマ2秒差の4着と善戦した昨年のGIIオールカマー(中山・芝2200m)のような粘りも見せられると思います。

 懸念材料となるのは、今週末の雨予想。ただ、道悪になったとしても、まだ2週目の馬場で、先週も好時計が続出するコンディションでしたから、なんとかこなしてくれるのではないでしょうか。むしろ、後続に2馬身差をつけた函館記念のような馬場(時計が出やすいやや重)になれば、一段と期待できます」

 マイネルミラノの今回の斤量は57kg。前走より1kg軽くなるのもプラス材料だ。

「GII戦とはいえ、昨年の3歳馬同士の京都新聞杯(京都・芝2200m)を勝ったにすぎないプラチナムバレット(牡4歳)と同斤量というのは、いかにも恵まれた印象があります」

 そして、小田記者はそう言ったあと、続けて「それは、マイネルフロスト(牡7歳)にもいえるのではないでしょうか」と、同馬も七夕賞の穴馬としてオススメする。

 マイネルフロストも今回、およそ9カ月ぶりの休み明けで前走のエプソムC(9着)を叩いての参戦となる。斤量はそこから1kg増の57kgとなるが、昨年も同斤量を背負って2着と好走した。

「マイネルフロストは、基本的に道悪は”ド下手”の部類。マイネルミラノ以上に週末の雨は歓迎できないのですが、やや重ぐらいなら十分にこなしていますし、昨年ぐらい走れば『今年のメンバーなら……』と思えます。マイネルミラノ以外に警戒すべき先行馬はいませんし、展開面も向くのではないでしょうか」

 一方、スポーツ報知の坂本達洋記者は、高速決着になるか、道悪決着になるか、週末の天気の動向で大きく結果は変わると予測する。

「開幕週だった先週の福島・芝コースは、全体的に時計が速い傾向で、日曜のGIIIラジオNIKKEI賞は、勝ったメイショウテッコンが1分46秒1の好時計をマーク。最近10年では、2番目に速い勝ちタイムでした。

 しかし、今週末は雨予報で馬場が渋りそう。その分、時計がかかる道悪を前提と考えている陣営が多く、開幕週とは傾向が変わる可能性があることも、頭に入れて置いたほうがいいと思います」

 そうした状況にあって、坂本記者はどんな馬場になっても対応できそうな1頭をピックアップする。

「注目したいのは、前走でオープン特別の福島民報杯(4月15日/福島・芝2000m)を勝ったマイネルサージュ(牡6歳)です。ハイペースも味方しましたが、最後に前で粘る実力馬マイスタイルをきっちり差し切ったのは、力がある証拠でしょう。

 そこから、ここに目標を絞った調整で仕上がりもよさそうです。同馬を管理する鹿戸雄一調教師も、『ある程度構えていったほうがいい脚を使える。自分の競馬に徹して』と話しているように、決め手勝負になれば面白いと思います。

 フルゲート割れの手頃な頭数(12頭が出走予定)ですし、重馬場でも、かつて福島の500万特別で2着と好走。やや重のレースでも何度か上位に入っていて、馬場が渋っても対応できると見ています」

 マイネルサージュは前々走でGII中山記念(2月25日/中山・芝1800m)に出走。10頭立ての9着に敗れているものの、勝ったウインブライトとはコンマ5秒差で、GI馬のペルシアンナイト(5着)やヴィブロス(8着)とはほぼ差のない競馬を見せた。重賞勝ちはないものの、一発の可能性は十分に秘めている。

 さらに坂本記者は、「混戦だけに、大穴なら……」ともう1頭、来れば”大波乱間違いなし”という馬の名前を挙げた。

「バーディーイーグル(牡8歳)です。年齢的に大きな変わり身はありませんが、今回は初めてブリンカーを着用するようです。攻め専(※調教を専門に行なう人)の佐藤勝美助手によれば、『そんなに切れるわけではないし、自分のペースで積極的に競馬を作るくらいの感じで……』と積極策も示唆しています。

 2走前のメイS(5月19日/東京・芝1800m)では、ダイワギャグニー(1着)やサトノアーサー(3着)ら強豪4歳馬相手に勝ち馬からコンマ2秒差の4着。今回の七夕賞のメンバーであれば、見限れないと思います。

 夏競馬は、体調面も大きなカギを握ります。佐藤助手が『短期放牧明けでも太くないし、夏バテもしていない。引き続きいい状態』とも話しているように、気配のよさもプラス材料になるでしょう」 七夕の短冊ならぬ、マークカードに記す”大穴の願い”は天に届くのか。ここに挙げた4頭なら、その願いを叶えてくれるかもしれない。

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