ベルギー戦後に涙する吉田。写真:Getty Images

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 ベルギー戦の翌日、ミックスゾーンで取材対応した吉田麻也が言葉に詰まる場面があった。代表引退を明言した長谷部誠のことを訊かれた時だった。
 
 約15秒間の沈黙のあと、「本当に素晴らしいキャプテンでした」と発すると、天井を見上げるような恰好で涙をこらえる。言葉にならない思いは、やがて涙に変わった。
 
 「はああ……」と嗚咽のようなものを吐き出す吉田の頬を伝う涙──。
 
 およそ1分の静寂の時を経て、吉田が再び口を開く。
 
「7年半、彼と一緒に……やってきましたけど、あれだけチームのことを考えてプレーできる選手は少ないし……」
 
 溢れ出てくる涙が止まらない。
 
「ずっと彼を……、彼の姿勢を見て学ぶことがたくさんあった。この大会が終われば、ハセさん(長谷部)だけじゃなくて、今まで何年もやってきた選手たちとやれなくなるという覚悟はあったので、分かってはいたことですけど……、本当に公私ともに長く一緒にいる時間があって皆と仲良くさせてもらったので、寂しいです」
 
 長谷部なき日本代表を背負う覚悟があるからだろう。吉田は「ちょっと待って」と涙を拭いたあと、こう語った。
 
「ピッチの内外での役割は理解しているつもりです。センターバックとしてチームを引っ張っていかないといけないのも理解している。どうあがいても、長谷部誠にはなれないので、自分のスタイルで代表チームを引っ張っていきたい」
 
 「なかなかああいう選手のあとはやりにくいと思うので、誰か(キャプテンを)やってくれないかな」と最後は記者団の笑いを誘った吉田。長谷部なき、日本代表を牽引するのは間違いなくこの男だろう。
 
取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

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