「明らかに向こうが目を覚ましたというか、勢いがまったく違ってきた」。長友は1点を返した後のベルギーを、そう表現した。(C)Getty Images

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 最終的に2-3と敗れたベルギー戦だが、後半途中までは明らかに日本のペースだった。前半を0-0で終え、原口元気と乾貴士のゴールで2-0とリードしたのだから、勝ちゲームだったと言えるだろう。
 
 それが追いつかれ、後半のアディショナルタイムに逆転弾を叩き込まれるまでの背景にはいくつかの分岐点がある。そのひとつが、69分の失点だろう。ヴェルトンゲンにふんわりとしたヘッドで決められたあのゴールだ。
 
 2-0から2-1となり、チームにはとてつもなく大きなプレッシャーが伸し掛かった。それは長友佑都のコメントからも分かるだろう。
 
「正直、1点取られて向こうが勢いづいたと思いますね。明らかに向こうが目を覚ましたというか、勢いがまったく違ってきたし。途中で出てきた選手、フェライニと22番の選手は相当なフィジカルとスピードがあって。セットプレーもめちゃくちゃ怖かったし。やっぱり相手を勢いづけてしまったかなと思います」
 
 2-0と2-1では、大きな違いがあるということだ。長友が「セットプレーもめちゃくちゃ怖かった」と言うように、1点差に詰め寄られた時点で、追われる側は余裕がなくなってしまう。こうした心理的なものは、戦術やシステムでは説明できない。
 
 ましてや、最後のカウンターからの失点も「どう守ったら防げるか」というものではないだろう。後半のアディショナルタイム、スタミナも集中力も切れかかっているなかであの速攻を食らって、止めろというのは酷だ。むしろ、あの局面であれだけの攻撃を繰り出したベルギーを褒めるべきだ。
 
 いずれにしても、日本にとって69分の失点は精神的にも追い詰められた“痛恨の一撃”だった。
 
取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)