2失点後に高さのあるフェライニを入れてきたベルギーの攻撃に日本は耐えられなかった。(C)Getty Images

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[ロシアW杯決勝T1回戦] 日本2-3ベルギー/7月2日/ロストフ・アレーナ(ロストフ)
 
 原口元気は、試合後にこう言った。「力負けだった」と。その通りである。2-0になって以降の試合運びが良くなかったとか、そういうのは結果論だろう。実際、記者席から観るかぎり、試合運びは悪くなかった。
 
 立ち上がりに香川真司がファーストシュートを打ち、そのあとも日本がボールを保持する時間は少しあった。10分過ぎから押し込まれる展開になるも、日本はよく踏ん張った。昌子源、長谷部誠、吉田麻也をはじめ、選手全員が身体を張り、前半を0-0で凌ぎ切ったのは素晴らしかった。
 
 なかでも光ったのがCBの吉田麻也だ。的確なポジショニングとカバーリングでゴール前に壁を作り、ベルギーにあまり良い形でシュートを打たせなかった。ルカクへの対応も丁寧かつ冷静で、前半に限ればパーフェクトに近い出来だった。
 
 早い時間帯にゴールを与えず、膠着状態を作る。アップセットを起こすうえで日本は理想的な状況を作り上げていた。そして、0-0で迎えた48分に原口元気が柴崎岳のスルーパスから右足で先制弾を蹴り込む。これで流れは日本へと傾いた。
 
 焦るベルギーを横目に、その4分後には乾がミドルシュートでチームの2点目を決める。これ以上ない展開で2-0とリードを広げた日本は、その後もしばらく落ち着いた試合運びを見せた。ここまでは完璧だった。
 
 敗因のひとつを挙げるなら、69分にヤン・ヴェルトンゲンにゴールを決められる前に川島永嗣のパンチングミスだろう。あそこで中途半端なプレーをしていなければ、おそらく失点にならなかったはずだ。
 
 1-2になって、日本は流れを失った。この時の状況を長友はこう振り返っている。
 
「正直、向こうは勢いづいたなって。1点取られて明らかに目を覚ましたというか、勢いが全く違って、途中で入ってきた選手、フェライニと22番の選手。相当なフィジカルとスピードがあって、セットプレーもめちゃくちゃ怖かったし、1点で勢いづけたかなと思います」
 
 長友の言うとおり、勢いづいたベルギーの攻撃はテンポもよく、74分にはエデン・アザールのクロスからマルアン・フェライニのヘッドで2-2に追いつかれた。
 
 テクニシャンのアザールへの対応はFWの大迫で、194センチのフェライニと競ったのは180センチの長谷部と、ミスマッチだった。大迫にアザールを止めるというのは酷だし、あそこで長谷部がフェライニを阻止するのも難しい。アザールにあそこまで持ち込まれた点で、ある意味、あの失点は防ぎようがなかった。
 
 ふたつ目の敗因を挙げるなら、守備固めで投入したはずの山口蛍が思いのほか試合に入れなかったことだ。珍しく相手に簡単にかわされる場面が多く、彼らしくなかった。プレッシャーがあったのか、本来の動きでなかったことは残念だった。
 
 日本が悪かったというより、ベルギーを褒めるべきだろうか。後半アディショナルタイムに、あれだけのスピードでカウンターを仕掛けることができるフィジカル、スタミナは驚愕のひと言。原口が「力負け」というのも納得で、惜しかったというよりも、これが日本の限界だった。褒めるべきはベルギーの底力のほうだろう。
 
 長友は言う。
 
「夢見ましたね。行けるんじゃないかなって。でも、それが甘さかなって。向こうが本気になって、点を取りにきた時はセットプレーを含めて点が入るんじゃないかって思ったし、怖さを感じたし、そういった意味でベスト8の壁は遠いなって改めて思いました」
 
 その甘さがなくなった時、日本はベスト16の壁を突き破れるはずだ。
 
取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

【日本代表PHOTO】日本 2-3 ベルギー|原口、乾のゴールで2点リードも…。 試合終了間際に逆転を許しベスト8進出ならず