高精度のパスとミドルを備えたデ・ブルイネは要警戒だ。(C)Getty Images

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 今年のベルギー代表の中盤には絶対的なゲームメイカーがいる。ケビン・デ・ブルイネだ。
 
 マンチェスター・シティに所属するMFの絶対的な武器はその視野の広さと両足から放たれる正確なキックだ。単純なサイドチェンジや裏に抜け出すFWに対してのロングフィードも抜群なのだが、彼の怖さはボールを動かしながらのピンポイントクロスにある。
 
 カウンターの場面でスピードに乗ると、スピードを一切落とさずに、そのままGKとDFの間を通すグランダーの高速クロスを上げる。一方でバイタルエリア付近でボールを持つと、対面する選手をいなしてエースストライカーのロメル・ルカクが頭で押し込むだけの、正確な山なりの優しいクロスを上げることもできる。
 
 彼がただのパサーなのであれば、パスコースをケアすれば止めれたかもしれない。ただし彼には両足から放たれる正確かつ球威のあるミドルシュートまで持っている。バイタルエリアでフリーにすると、日本代表はその直後に後悔することになる。
 
 そんな万能型のMFの対処法としては、相手が低い位置でボールを持っている時は突っ込みすぎないこと。ポジション的にマッチアップするであろう、香川真司や柴崎岳は、ボールを奪いに行くというよりウイングの乾貴士、原口元気と連動しながら中央のパスコースやドリブルコースを消すことを優先すべきだ。
 
 サイドチェンジはある程度仕方がない。スピードアップのきっかけになる縦パスやドリブル突破のほうが脅威だ。ある程度自陣にまで攻め込まれた段階になれば、全体的にコンパクトな陣形を保ちつつ、デ・ブルイネとの距離感を詰めるべき。デ・ブルイネに自由を与えず、横パスを出した後の選手がミスを犯すようにプレーしなければならない。
 
 赤い悪魔のゲームメイカーと日本代表の中盤の攻防はこの一戦を左右する重要な注目ポイントだ。
 
 もうひとり、中盤で気を付ける選手をあげるとすれば、トッテナムに所属しているムサ・デンベレだろう。ここまで、スタメンでの出場はイングランド戦のみで、先発出場するかは分からないが、日本代表にとって相性の悪い選手だ。途中交代で入ってくる場合でも要注意だ。
 
 デンベレの武器は高い技術とワールドクラスの当たりの強さを生かしたキープ力。滅多なことがない限りボールを失わない。サイドに追い込み奪ったと思わせた瞬間、左足一本で巧みボールを操りつつ身体を強引にぶつけてプレスの網を突破する。
 
 セオリーでは奪える瞬間が訪れたとしても、持ち手がデンベレだった場合は飛び込んではならない。対処の方法はデ・ブルイネと同様で、ある程度、縦のパスコースやドリブルコースを切っておけば怖くない。デ・ブルイネ対策との差はエリア全体でこの対応をする必要がある点だろう。
 
 いずれにせよ日本代表は、この試合において、「相手にボールを持たせる」コンパクトかつ粘り強い守備がチーム全体に求められる。90分間持続することは難しいかもしれないが、やり続けることができれば勝機が見えてくるかもしれない。
 
文●内藤秀明