岡崎は「相手の弱さを突く、サッカー本来のプレーを追及していい結果が出ている」と手応えを語った。(C)Getty Images

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 過信なき自信。
 
 グループリーグ3試合を終えて、このチームに感じることだ。
 
 コロンビア戦は、まだ地に足がついていない状態だった。
 
 ところが神風が吹き、思いがけず11対10という状況で90分間戦えた。先制されるまでは落ち着かない感じだったが、そこから日本は冷静さを取り戻し、同点、そして大迫勇也の決勝ゴールで勝利した。なんとなくふんわりしていたチームが凝縮されてひとつに固まり、チームや自分たちに対して朧気だった自信をハッキリと手につかむことができた。
 
 それは過去のワールドカップの時と同じ傾向だ。
 
 2002年日韓大会の初戦のベルギー戦、2-2で引き分けたが勝てる内容だったので「これからイケる」という感触を得た。2010年南アフリカ大会ではカメルーン相手に1-0で勝利し、直前のチーム大改革でお互いに疑心暗鬼だったチームがひとつになった。
 
「この勝利がもたらす効果は、計り知れない」
 
 長友佑都は、コロンビア戦後、そう言ったが、勝利した後、ロッカーで沸き立ったチームを見て、8年前を思い出したのであろう。
 
 セネガル戦もグループ最強と言われる相手に一歩も引かない戦いを見せた。
 
 この試合もミス絡みで失点し、先制されたが、そこから落ち着いていた。2度突き離されたが、2度追いつき、日本の底力を感じた。これまでの日本なら2-1になった時点で焦り、うまくいかないまま敗れていただろう。
 
「4年前のような自分たちのサッカーはないけど、勝つためのサッカーをやれている。それが前回とはまったく違うところで相手を知り、相手の弱さを突く、サッカー本来のプレーを追及していい結果が出ているので、こうやれば勝てるという自信はみんな持っている」
 
 岡崎慎司は、ブラジル大会の時と比較して、そう言った。
 
 スカウティングされた情報を分析し、勝つために必要な情報を選手に伝え、それをベースに戦い方を考えていく。形はないが、いかようにも変化できて、臨機応変に対応できることが逆に強みになり、それがこのチームの特徴になった。
 
 勝点を積み重ねたが、選手に過信はなかった。
「勘違いしていけないのは、僕らは11対11の試合に勝てていない。コロンビア戦も結局、相手が10人という中で90分戦っての結果。勝つことは大事ですけど、結局真っ向勝負をして勝ったわけじゃないんで。そこは自分たちの実力を忘れてはいけない。勝っていないところは自分たちをちゃんと見つめ直さないといけない。ポーランドは、世界8位のチームなので、自分たちの足下を見て戦わないと、足をすくわれてしまう」
 
 長友は、勝点4を取って過信してしまうところをあえて締めたわけだが、他の選手たちも冷静だった。吉田麻也も同じことを言っていたし、岡崎もだ。試合に出ていない若い選手はもうひとつピンと来ないかもしれないが、先輩たちが過信も油断もしない緊張感を漂わせていれば、自然とそういうものが伝播していく。代表チームの中で引き継がれていく大事なものは、そういう経験なのだ。
 
 長友の言葉を借りれば、日本はポーランドに敗れ、足をすくわれた形になった。ただ、長谷部誠が入ってから8分間にはチームと選手たちの自信が見えた。
 
 この試合で日本が最終的に勝ち取らないといけないのはポーランド戦の勝利ではなく、決勝トーナメント進出という結果である。ブーイングが出たとか、戦術的に消極的だと言われても、目的がある以上、それを優先し、そのために手段を遂行するのが優先すべきこと。それを見事に、安全にやり切ったのは、ここまで勝点を積み上げてきた選手たちの力であり、勝点4を掴んできた自信である。
 
 それはイコール指揮官への信頼でもあろう。
 
 指揮官の動じない、やり切るんだという姿勢は、選手にとって分かりやすい。しかも結果が出ているので、選手は信じてプレーできる。すべてを管理的にやっているわけではないので、選手たちも楽しそうにプレーしている。そこがアンカーを置いてまず守るというひとつのやり方しかなかった南アフリカ大会との決定的な違いだ。
 
 ポーランド戦、ここまで自分たちが結果を積み上げてきたことで最後は負けているのにボールを回し、敗れても大きな果実を手にした。
 
「やったという突破ではないが、突破したことが大事。割り切って目的を達成できるチームは強いし、選手はみんな自信を感じていると思う」
 
 岡崎は、そう言った。
 
 3試合でチームは成長し、4試合目を戦う権利を勝ち取った。選手たちは上のステージで戦うために必要な自信を得た。
 
 だが、11対11での勝利はまだない。
 
 その試合に勝てた時、彼らはさらに大きなものを手にするだろう。それがベルギー戦になるはずだ。
 
取材・文●佐藤俊(スポーツライター)