無駄な会議を減らし、長い会議を効率化するには?(写真:Yagi-Studio/iStock)

「会議が長いし、多すぎる」

「会議さえなければ、もっと早く仕事を終えて帰ることができるのに……」

「でも、自分ではどうすることもできない」

会議に費やされる無駄な時間について、多くの人が感じることの最大公約数は、おそらくこんな感じではないでしょうか。会議は長時間労動の原因になっている。でも、どうにもならない、とあきらめているのです。


この連載の記事一覧はこちら

以前、ある企業の方に言われて驚いたことがあります。「そもそも目的を決めて、結論をしっかり出すための会議は少なくて、定例報告か、とりあえず集まって”この件どうする?”という打合せがほとんど」と言うのです。これはさすがに極端ではと思います。けれども、「会議を効率化するのは日本の企業風土ではむずかしい」と感じている人は多いのではないでしょうか。

いったい、どのようにして無駄な会議を減らし、長い会議を効率化していけばいいでしょうか。外資系コンサルタントとして働いてきた筆者の経験などから、具体的に考えていきます。

口頭で説明するというムダを省く

まず会議で多くの時間を費やしている、情報共有の時間をカットしましょう。方法は実は単純で、「口頭で説明する時間をなくすこと」。

そのための方法として、会議資料を事前配布して参加者が読み込んでくることにしましょう。読んでこない人がいる……ということもよくありますので、その場合には会議の冒頭で読み込みの時間を取るとよいでしょう。たとえば会議の始まりに5分間の時間をとり全員が資料を黙読するのです。

口頭での説明時間をなくしたほうが良い理由は2つあります。1つは、説明を聞くよりも黙読のほうが速度が速いこと、もう1つは大抵の人は説明が得意ではなく長くなりがちだからです。

ある経営者の方は説明専用のスタッフを置いており、専任スタッフがあらかじめ資料を読み込んだり、担当者から説明を受けてから説明させることで理解する時間を短縮し会議の時間を短くしているそうです。ここまで極端なことはできないでしょうが、情報共有の効率化として考えると一考の価値があります。

会議タイプ別に時短を考える

次に会議タイプ別に時短を考えてみましょう。

…衫磴諒鷙隹餤

やったことを延々と述べる活動記録の読み上げや成果自慢大会になっていることも多いのではないでしょうか。これが続くと本質的な議論ができず、会議が形骸化していきます。

私が数十名の部門のマネージャーをしていた際には、報告資料のフォーマットを統一し、会議日の前日までに共有データベース上に提出してもらっていました。報告資料はテーマや活動ごとに赤・黄・緑と信号カラーで状況を示してもらい、黄と赤のみ問題と解決策候補を説明してもらうことにして、会議時間を半分で済むようにしました。

とはいえ、通常以上の成果があった場合には全員で共有したいので、報告の最後に「今週のハイライト」という欄を設け、各自に1行だけ記載してもらい、お互いを称え合うようにしました。このようにメリハリを持たせることで活動記録の読み上げ時間を減らすことができます。

意思決定をするための会議

意思決定をしてもらう会議では複数案を準備することで効率化できます。初めから「どうしよう?」と大勢でゼロから考えるよりも対象が複数案あったほうが比較検討が進みます。

1つの案だけが出てくると、その粗探しが始まることも少なくありません。複数案でてくると、粗探しではなく、どれを選ぶかということに意識が変わります。 意思決定ができないのはほかにもっといいやり方があるのでは?と考えてしまい、決めきれないことが原因です。必ずしも1つの案に決まらないかもしれませんが、複数案を出すことでそれぞれの良しあしが比較しやすく、検討の時間が短くなります。

アイデア出し会議

新規企画など参加者のアイデアを出すための会議。その場合、案を出す「発散」の時間と、どうするかを決める「収束」の時間を分けると効率的です。

まず発散。いきなり「何かアイデアを出してください」と言ってもシーンとしてしまったり、特定の人に発言が偏りがちです。そうならないためには、事前にアイデアを3つ考えてきてもらったり、会議の場で各自が付箋などにいくつか書き出すとよいでしょう。こうすることで、パワーがある人の案に忖度しにくくなりますし、発言が苦手な人のアイデアもしっかりと引き出すことができます。

その際には「30分で50個の案を出す」など時間と数を決めましょう。発散の時間は案の良しあしやできるかどうかなど実現可能性は考えずに、まずはたくさん出すことに集中することで時間が短縮されます。

次は収束ですが、同じ会議内で時間を分けるよりもいったん時間をあけてアイデアを寝かせることも効果的です。翌日や翌週まで時間をあけることで、冷静な見方ができたり、必要な情報を集めたりできるので、アイデアがふるいにかけられ、不確かな推測に基づいて議論して決めるよりも効率的です。 

会議の数を減らすには?

次は会議の数を減らすやり方です。

・同じ部門や担当からの出席者を1人にしぼる

次は参加者の人数制限です。特に意思決定をする会議は10人を超えると効果的な議論ができません。

ある企業2社の統合プロジェクトに入っていた際に会議をする際に、両者の参加者数の違いに驚いたことがあります。1社は参加者は担当者1人のみ、もう1社は5人もいたのです。これは企業規模の違いや権限委譲されているかどうかによるものではありません。関連ありそうな人を“とりあえず”呼ぶという企業文化でした。参加者が多数の企業は日中はほとんど会議のため、残業も多く、会議が多い割には、物事が決まるスピードが遅かったのです。

同じ部門や同じ担当としては1人だけ参加することにしてみましょう。部門代表として1人で参加することで当事者意識も高まります。

出席していながら、実は参加していない人が減り、個人が参加しなくてはならない会議数が減ります。会議中にいろいろなテーマがある場合でも、最初から最後まで関係者全員を拘束するのではなく、自分のテーマの時間だけ来てもらうほうがよいでしょう。

・緊急会議でやたら集まるのをやめる

問題が起きて、緊急招集がかかる……これもよく見られる光景です。予定されていない緊急会議は多くの調整コストや仕事を中断するスイッチングコストもかかり、個人の仕事の段取りを崩す要因です。


緊急会議を減らすには、リスクマネジメントが必要です。リスクが顕在化してから慌てて対応のために人を集めるのではなく、できるだけ初期の段階で「どんなことが起こりそうか?」というリスクを関係者で洗い出して、対応方針を決めておきましょう。実際にリスクが顕在化したら、決めておいた対応計画にしたがって動けば、とりあえず関係者を緊急招集することも減ります。

「事件は会議室で起きてるんじゃない。現場で起きているんだ!」という映画の決め台詞がありましたが、今こそ会議時短をして現場で本来の仕事をする時間に集中することが生産性向上につながるのではないでしょうか。