西野監督は本田と岡崎の投入で流れを変えた。((C)Getty Images

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 西野朗監督の采配が冴えている。
 
 前半を1-1で折り返すと、ハーフタイムに「点を取りにいくぞ。勝ちにいくぞ」とメッセージを与え、意識付けした。
 
 瞬発的な動きに凄さはあるが、組織立ったプレーの動きと精度が落ちてきたセネガルに対して、西野監督はサイドチェンジを使い、ボールを回して相手を動かし、さらに疲労度を上げていった。
 
 相手の体力を奪うのはガンバ大阪時代もよくやっており、後半の30分以降に西野ガンバがスコアを挙げる確率が高かったのはその成果だった。
 
 セネガル戦でも同じことしていたのだ。
 
 だが、71分に失点をすると、すぐに動きの落ちた香川真司に代えて本田圭佑を投入した。その3分後、原口元気に代えて岡崎慎司を投入した。
 
 岡崎は、こう思っていたという。
 
「サコ(大迫勇也)とはお互いにこれまで2トップをやってきているし、トップ下の選手との関係じゃなくて、お互いが横並びになる感じで相手のセンターバックに対してふたりでやれる。ふたりで相手に対して脅威になれる可能性が増えてくると思っていた」
 
 西野監督曰く「本田、岡崎の投入は最初から考えていた」ということだが、相手に与えるインパクトは絶大だった。セネガルは明らかに警戒し、本田の周辺に選手が集まった。その存在感は、4年前ブラジル・ワールドカップでドログバが出てきてコートジボワールのムードが変わったようなインパクトがあった。
 
 そして、この本田と岡崎の投入がゴールに結びつく。
 
 乾貴士からのクロスに岡崎が反応しようとしてGKと衝突して潰すと、本田の前にボールが転がってきた。そのまま本田は難なく左足で同点ゴールを決めた。これでワールドカップ3大会連続ゴールだ。
 
 本田はアフリカ勢に滅法強い。南アフリカ・ワールドカップのカメルーン戦、ブラジル・ワールドカップのコートジボワール戦、そしてロシア・ワールドカップのセネガル戦といずれもアフリカ勢からゴールを挙げている。そういう相性の良さも西野監督は理解しており、大事にしていたのだろう。
 同点になってからも西野監督は攻めた。
 
 ベンチにいた宇佐美貴史は、「引き分けでいいとか雰囲気はまったくなかった。点を取りにいく、強気な姿勢を感じた」という。
 
 そして、残り5分になった時だ。山口蛍は、呼ばれるかなと思っていたという。
 
「コロンビア戦のこともあり、クローザーとして呼ばれることを想定して準備していました。2-2でドローもありと思っていたんで」
 
 しかし、西野監督が切ったカードはドロー狙いではなかった。
 
「攻撃的に点を取りにいくのか、どうするのか、考えて最後のカードを使いました」
 
 その答えが、宇佐美だった。
 
 セネガルの動きが完全に落ちていると見た西野監督は、残り3分で宇佐美に「点取ってこい」と声をかけ、最後の勝負に賭けたのである。
 
 残念ながら勝利には結びつかなかったが、チームに与える影響は大きかった。
 
 ドロー狙いはしない、常に勝ちに行く監督というイメージを改めて選手に与え、そのことをしっかりと選手に意識付けした。こういう監督の下でプレーする攻撃的な選手のテンションは非常に上がり、結果を出しやすい。実際、途中で出場した本田が結果を出した。サブの選手が出て結果を出すとチームは盛り上がる。チームは極めていい流れができている。
 
「まだ、これでは上のレベルに勝てない。自分たちはただ試合に勝つだけだけはなく、1試合ずつ成長しながら進んでいくことが、自分たちが勝ち上がっていくための条件だと思います」
 
 岡崎はそう言った。
 
 綿密なスカウティングで相手を裸にし、今回は4-3-3でくることをピタリと当てた。こうした情報戦も勝ち、ゲームでは一歩も引かない。常に勝ちに行く西野監督の采配に選手が乗っかり、チームは着実に成長している。
 
取材・文●佐藤俊(スポーツライター)

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