川島永嗣は声が枯れるまで叫び続けた

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 全身を貫く悔しさをこらえ、GK川島永嗣は必死に前を見据えた。第2戦のセネガル代表戦は2-2のドロー。FIFAランクで圧倒的に格上のポーランド代表(8位)に快勝した勢いあるセネガル(27位)から勝ち点1を積み重ねても、川島の表情が崩れることはなかった。

「序盤の自分のミスから、かなりチームが厳しい状況になってしまった。最後まであきらめずに引き分けに持ってこられたのはよかった。失点シーンですか? 完全に自分のミスです。厳しい状況の中でもこういう結果につながったので、チームメートに感謝したい」

 自ら「ミス」と言い切ったのは前半11分、先制ゴールを許した場面だ。ペナルティエリア内でMF原口元気のヘディングによるクリアボールが短く、相手のユスフ・サバリの足元に。右足シュートを、川島は一度は阻止。しかし一瞬、慌てた川島はパンチングが短かった。そこにすかさずつめていたFWサディオ・マネに押し込まれた。冷静な川島であれば、大きくはね返すパンチングで難なくピンチを乗り切れたはずだった。

 この「ミス」を引きづらなかった。前半34分にFW乾貴士の同点弾が生まれた直後の同39分。いきなりピンチが訪れた。アルフレッド・エンディアイェによる浮き球スルーパスで、ムベイェ・ニアンが、並走していたDF吉田麻也より半歩前に出てすかさず左足シュート。シュートを打たれる直前、川島は1対1となる絶体絶命のピンチに陥ったが、前に出ながらシュートを阻止し、追加点を許さなかった。もしこの1点が入っていたら、日本は勝ち点を積み重ねることはできなかった。

 GKの場合、1つのミスが失点につながり、自分の立場まで揺るがす。それでも川島は、素直にミスを認め、頭を下げた。それは川島がこれまで、目の肥えた欧州のメディアやファンの厳しい批判を乗り越えてきた自信によるものだ。2010年7月にベルギー・リールスに渡ってから欧州でプレーを続ける川島は、英語、イタリア語を含めて5か国語を操れる。堀江貴文氏がサッカー関係者との対談をまとめた『なぜ君たちは一流のサッカー人からビジネスを学ばないの?』(ワニブックス刊)の中で、川島はこう明かしている。

〈正直、ヨーロッパでは気持ち的に繊細過ぎるとやっていけないところもありますからね。(中略)練習試合であろうがなんだろうが、ミスに対して「早くここから出ていけ」とか…言葉がわかるからそういう罵声も全部感じられちゃうんですよね(笑)。試合中に、わざと違うキーパーの名前を呼ばれたこともあるし、車だって壊されたこともあります〉

 サッカー後進国の日本から来た選手が欧州の猛者の中で認められるには、ただひとつ、試合のプレーで示す「結果」しかない。ベルギー、スコットランド、フランスの3か国でプレーした川島にとって、批判は日常茶飯事。うまく受け流しながら、反骨心に変え、結果を残してきたからこそ、8シーズンも欧州にいることができている。

 次戦の28日はポーランド戦。相手はグループリーグ敗退が決まったが、欧州予選で最多の16ゴールをたたき出したロベルト・レワンドフスキなど実力者がそろう。川島は言う。

 

「次は結果が大事。次にむけて切り替えたいと思います」

 川島がのぞむのは完封勝利。日本代表としては昨年12月9日の東アジアE-1選手権・北朝鮮戦(〇1-0)以来となる無失点勝利をおさめ、川島にとって自身2度目となるW杯の決勝トーナメントへむけて、弾みをつける。


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