本田のCKに合わせて決勝点を決めた大迫(15番)の働きは秀逸だった。(C)Getty Images

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 6月19日に行なわれたロシア・ワールドカップ、グループH第1戦のコロンビア対日本は、2-1で日本が勝利を収めた。
 
 開始3分にカルロス・サンチェスの退場と、香川真司のPKによる先制点。このまさかの立ち上がりを予想した人間がいただろうか。
 
 おそらく前任者ヴァイッド・ハリルホジッチなら、綿密なゲームプランと、それに合うスペシャリストをメンバーに加え、万端の準備で試合に挑んだはず。ところが、それがわずか3分で吹き飛ぶ。それもまた、サッカーだ。
 
 残り87分間は、選手とチームの『対応力』が試されることになった。この西野朗監督が掲げたキーワードも、ポゼッション志向も、試合の流れにピタリと当てはまっていた。
 
 それでも、前半はデリケートな展開だった。長谷部誠が最終ラインの間に入り、3バック化させつつ、ビルドアップする場面が多い。コロンビアに対する、リスクマネージメントを含めての配置だ。ところが、長谷部が下がり、酒井宏樹も低い位置に留まるバランスは、10人のチームを相手にするには、あまりにお尻が重すぎた。わざわざ互角の戦いをしている。
 
 そのバランスを、ハーフタイムに修正。酒井宏のポジションを高い位置へ上げ、原口元気を中に入れる。柴崎岳も、より広くポジションを取り、乾貴士のカットイン一辺倒でパターンが読まれていた左サイドの攻撃をサポートした。
 
 前半の終わりに1-1に追いつかれたものの、後半は見事な修正力を見せた日本が試合をコントロールし、2-1で勝利した。
 
 西野ジャパンにとって、初戦で勝つことは大事だった。もしも結果が出なければ、誰を変えたほうがいい、システムを変えたほうがいいと、チームは混乱に陥ったはずだ。ブラジル・ワールドカップを思い出す。初戦の勝利は、必須条件だった。
 
 その逆の例として、南アフリカ・ワールドカップのスペインのように、初戦で負けた後に盛り返し、躍進を果たしたチームもないわけではない。しかし、それは積み上げがあるチームの話。当時のスペインは初戦でスイスに敗れた後、監督のデル・ボスケがロッカールームで「何も変える必要はない」と選手に伝えたそうだ。その安心感が、スペインを迷わず前に進ませたのであり、積み上げのないチームにそれは出来ない。
 
 だからこそ、すべての親善試合をコロンビア戦に向け、準備してきた西野監督の方針は正しいものだった。インスタント・ジャパンだけに、早期の結果と、手応えを得ることは何より大切。
 
 コロンビア戦は、試合の立ち上がりから、日本代表が良い集中力を保っていた。緊張で力が出せなくなっている様子の選手は見当たらなかった。さらに上記のスムーズな修正も、うまく実践している。
 
 様子がおかしかったのは、逆にコロンビアのほうだ。前半3分、今シーズンのトッテナムで主力として活躍していたセンターバック、ダビンソン・サンチェスが、大迫勇也に対してまさかの入れ替わりを許した。退場もPKも、この22歳の将来を嘱望されるDFのまさかの乱調が招いたものだ。その後も、D・サンチェスは自陣ゴール近くで不用意にボールを生かそうとするなど、不安定なプレーが見られた。技術に自信がある故か、あるいは若さ故にゲームに入ることができなかったのかもしれない。
 
 いずれにせよ、日本のほうがチームとして、良い状態で試合に入ったのは確かだった。コロンビア戦の後、キャプテンの長谷部誠は、試合の前々日の夜、前日の夜に、選手同士でミーティングを行なったことを告白している。
 
「そこで話し合ったのは、みんなの思いとか、みんながどういう思いを抱いているか。もちろん思いも違えば、ワールドカップに対するものも、それぞれある。そういうものについて、お互いの気持ちを理解し合えたのは、大事なことだと思います。それは2010年、2014年もやっていて、もちろん2014年は結果が出なかったですけど、個人としては、ああいう話し合いはやったほうがいいと思う。とにかく、そこでやりたいなと思った。