【ジブリ】ハウルの動く城の極秘情報と噂9選「キムタクは練習せず本番」「細田守が監督を務める予定だった」など

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2004年に公開されたスタジオジブリの長編アニメーション映画『ハウルの動く城』。監督・脚本は宮崎駿氏が担当しましたが、原作はイギリスの作家であるダイアナ・ウイン・ジョーンズ氏によるもの。宮崎監督の長編映画では『魔女の宅急便』以来15年ぶりという非常に珍しい作品でした。

『ハウルの動く城』の秘密と噂9選


主要人物である「ハウル」の声優を国民的アイドル・元SMAPの木村拓哉さんが担当するなど、上映前から大きな話題となった作品であり、興行収入は実に196億円にまで到達しました。

今回はそんな名作『ハウルの動く城』にまつわる秘密や噂、隠されたエピソードなどを厳選してご紹介。きっと『ハウルの動く城』の新たな魅力に触れられることでしょう。

1. 監督は細田守のはずだった

『ハウルの動く城』の監督はもともと『時をかける少女』や『サマーウォーズ』で知られる細田守監督が担当する予定でした。しかし母親の病気や、ジブリ側との意見の衝突など、いくつかの理由が重なった結果、『ハウルの動く城』の監督を降板することになったのです。

この降板によって制作が半年間中断してしまい、監督と脚本が宮崎駿監督に変更されて制作が再開。2003年の春に公開される予定だったのに、最終的に2004年11月まで延びてしまったのはこういった事情があったからでした。

2. 犬のヒンのモデルは押井守監督

犬のヒンのモデルは劇場版『攻殻機動隊』の押井守監督がモデルと言われています。宮崎駿監督と押井守監督は旧知の仲で、犬のことでケンカをしたこともあるのだとか。押井監督とヒンを見比べてみると、優しそうな細い目や髪の毛の雰囲気がよく似ています。どうして押井監督をモデルにしたのかはわかりませんが、宮崎監督の遊び心だったのかもしれません。

3. ハウルは女性から逃げるために城を動かしていた

原作ではハウルが手を出し女性達から逃げるために城を動かしています。原作の小説では戦争に関する話はなく、戦争に関する部分は宮崎監督のオリジナルとして描かれているのです。原作ではハウルはイケメンで女好きという設定になっていて、たくさんの女性達を口説き落としてはすぐ飽きてしまい、それに怒った女性たちから逃げているのだとハウルの弟子のマルクルが語っています。

スタジオジブリの映画版では、城はカルシファーの魔法の力によって動かされていることは描かれていますが、そもそもなぜハウルが城を動かしているのかは描いていません。おそらく、荒地の魔女や戦争、師匠のサリマンから逃げるために城を動かしているのだと解釈されています。

4. カルシファーはすべて宮崎駿監督が描いた

ハウルと契約を交わした火の悪魔であるカルシファーの絵は、すべて宮崎駿監督が描いたそうです。カルシファーは火の悪魔なので、常にメラメラと燃えています。このメラメラとした炎を表現するのに、スタッフの中で宮崎監督の御眼鏡にかなう人はいなかったのです。業を煮やした宮崎監督は、結局「全部俺が描く!」とすべてのカルシファーを一人で仕上げたんだそうです。

5. 宣伝しない宣伝で大人気

ハウルの動く城では「宣伝しない宣伝」という変わった宣伝戦略が取られました。もともと宮崎駿監督は「宣伝がよかったから映画がヒットした」と言われるのが大嫌いで、プロデューサーである鈴木敏夫さんも「映画公開前にほとんどの情報をCMや紹介記事などで見せているので、観客は内容がわかってしまい映画館に足を運ばなくなっているのでは」と考えました。

そこでハウルの動く城ではあえて宣伝をほとんどせず、予告をテレビで流したり、宮崎監督がストーリーを語ったりすることはほとんどありませんでした。一方で声優に木村拓哉さんや倍賞千恵子さんを起用など、話題づくりはしっかりと行い、内容には触れずに観客の興味を引くようにしたのです。その結果、公開2日目で観客動員数110万人、興行収入14億8000万円をマークする大成功を収めました。

6. 木村拓哉は練習せずに本番に挑んだ?

ハウルの声を担当した木村拓哉さんは事前に台本を一度も音読することなく収録に挑みました。木村さんは口に出して練習してしまうと新鮮さがなくなり、本番でダメになると考え、事前の練習はすべて小声でつぶやく程度に留め、本番で初めて大きな声で台詞を読んだのです。収録時、木村さんは宮崎監督の指示に順応し、十分な準備をしてきたのだろうと思われていたのですが、それで完璧にこなしてしまうのですからさすがです。

7. 最初のセリフに込められた伏線

ハウルが一番最初にソフィーにかけた言葉「やぁやぁごめんごめん、探したよ」は、ハウルがようやくソフィーと会えたシーンなのだという伏線が張られています。物語の後半、ソフィーはハウルの過去に戻り、カルシファーと契約をする少年ハウルに「未来で待ってて!」と叫びます。このシーンが冒頭のシーンにつながっているのです。

ソフィーは過去に戻っているので、この後にハウルがソフィーに会うのが冒頭のシーン。ソフィーの「未来で待ってて」の言葉の答えがハウルの「探したよ」なのです。ハウルの言葉には、長い間ソフィーを探し待っていた深い思いが込められているのです。

8. 実はハッピーエンドではなかった?

ハウルの動く城は、戦争が終わるように登場人物が動き出し、ハッピーエンドで終わったように見えます。しかし、ラストのシーンの絵コンテには「とはいえ戦いはすぐには終わらない」と書かれていました。映画には戦争がキーワードとして出てきますが、戦争のシーンは原作にはなく、宮崎監督によると「戦火の恋」を描きたかったため追加したエピソードなのだそうです。

9. ソフィーとハウルは結婚して幸せに暮らす

原作は3部作になっていて、映画はその第1作である『ハウルの動く城1 魔法使いハウルと火の悪魔』が原作になっています。これはソフィーの恋物語が中心になっていて、ソフィーとハウルは1作目と2作目の間に結婚し、2作目では子供が生まれています。

また、帽子屋で一緒に働いていた妹レティーはサリマンの弟子に、映画には登場しない三女のマーサはマルクルと結婚します。3部作以降も続編が期待されていたのですが、残念ながら原作者が亡くなってしまったために3部作で完結となってしまいました。

2年連続で興行成績1位を記録した作品


たくさんのヒット作品があるジブリ映画ですが、『ハウルの動く城』は他の作品にはない偉業を達成しています。映画が公開されたのは2004年11月20日と年末だったのですが、わずか1ヶ月程度で2004年の興行成績1位を達成。

2005年も動員数を伸ばし続けたため、なんと2年連続で興行成績1位に輝いているのです。ジブリ史上に残る伝説の映画『ハウルの動く城』。ぜひ皆さんももう一度ご覧になられてはいかがでしょうか。

■執筆・監修:Mr. Fox
執筆、撮影、編集家。日本生まれ、生年不詳、トレードマークはキツネの顔。世界各国を回りながら、メディアに関わる仕事をしてます。人のアイデアを転がします! コンコン。https://twitter.com/im_mr_fox/