長友はグアドラードを止めた時、自然とガッツポーズが出たという。写真:JMPA代表撮影(滝川敏之)

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 31歳のおっさんが日本の左サイドを疾走している。
 
「おっさん、おっさんだと言われていたので、若い選手よりも走ろうと思っていた。走るだけが全てではないけど、僕も大会が始まる前から言っていましたけど、とにかく走って戦わないと話にならない。それを自分自身が示したいと思って大会に入っていたし、誰よりも気持ちは入っていたと思う」
 
 金髪のおっさん、長友佑都は立ち上がりからエンジン全開。ブラジル・ワールドカップで敗れた借りを返そうと、がむしゃらに走っていた。
 
 なにより痛快だったのは、18分にファン・ギジェルモ・グアドラードを止めたシーンだ。イタリアのセリエAで何度も対峙した相手には絶対に負けたくなかった。だから、彼を止めた時、自然とガッツポーズが出た。
 
「ちょっと出ていましたね(笑)。グアルダードには絶対に負けたくない、これ以上負けたくないという想いが自分の心にずっとあったので。彼が得意な1対1で勝負してきたので、本能的に(ガッツポーズが)出てしまいました。1プレーでガッツポーズをすることはあまりないので、言われて気付くというか確かにやったなという感じです」
 
 そのガッツポーズに魂を揺さぶられたサポーターは多かったのではないか。実際、長友はワールドカップの大舞台で“見られていること”を意識していた。
 
「ワールドカップ前にあれだけ叩かれた。おっさんと言われていたので、そこは意地でもおじさん連中は頑張らないといけないし、若い選手に示したかった。今日、メンバーに入った選手だけではなく、若い選手で外れた選手や(浅野)拓磨もそうですし、夢を見ている少年たちがテレビの前で見ている。だからこそ、おじさん連中が、経験がある選手たちがみせないといけない、戦わないといけない」
 
 長友にとって、8年前のワールドカップでカメルーンを破った試合よりも、今回のコロンビア戦のほうが格別だったという。
 
「ブラジル・ワールドカップが終わってからの4年間は自問自答しながら、本当に自分自身と戦ってきた。だからこそ、神様がご褒美をくれたのではないかと思っている。ただ、まだ2試合ある。一瞬たりとも気が抜けない状況ですし、これに勝ったからと言ってグループリーグ突破が出来るわけではないので、ちょっともう1回気を引き締めたいなと思う」
 
 戦うおっさんは、そう力強く語って、すでに次のセネガル戦を見据えていた。
 
取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)