会心の勝利に喜びを爆発させた長友。この男の粘り強い守備は日本に勇気を与えた。(C)Getty Images

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 原口元気や吉田麻也が「ラッキーだった」と言うように、日本はいきなりPKという幸運に恵まれた。しかも、コロンビアのMFカルロス・サンチェスが一発退場(香川真司のシュートを手で止めたとして)というオマケつき。開始2分に大迫勇也がGKダビド・オスピナとの1対1を外した直後は失望感に包まれたが、そこで決まらなかったことでむしろ大きなアドバンテージを得た。
 
 アップセットに不可欠な“運”を立ち上がりから一気に手繰り寄せた日本は、香川のPKで先制したあとも冷静に試合を進めた。そこからコロンビアに押し込まれる時間帯がありながらも絶好機らしい絶好機を作らせなかったのは、サイドの攻防で原口と長友が踏ん張ったところが大きい。
 
 原口がモヒカとの、長友がファン・ギジェルモ・クアドラードとの1対1をほぼ制したことでコロンビアの足を止め、スピーディな攻撃を許さなかった。とりわけ印象的だったのが、18分のシーン。日本の左サイド、ペナルティエリア内で、長友がJu・グアドラードをガッツリ止めると、「どうだ、見たか」と言わんばかりのガッツポーズを見せる。
 
 長友に代表されるように、この日の日本は球際の戦いで負けていなかった。コロンビア戦でワールドカップデビューを果たしたCBの昌子源も身体を張って対応。空中戦でも強さを見せつけるなど緊張を微塵も感じさせないパフォーマンスを披露した。
 
 加えて、見逃せなかったのが柴崎岳のゲームメイクだ。相手がプレスをかけない局面では、その場で止まってボールをキープ。ドリブルで無暗に突っ込んだり、無理な縦パスを通そうとしたりするようなチャレンジはあまりしなかった。まずは同点に追いつきたいコロンビアを焦らすようなキープ、パスワークでチームに落ち着きをもたらした点がなにより素晴らしかった。
 
 前半の日本は少し引き気味で守備に軸足を置く時間帯もあったが、決して受け身になっているわけではなかった。その証として、ファン・エルナンド・キンテーロのFKで1-1に追いつかれたあともリズムを崩さず、拮抗した状況に持ち込めた。
 
 4年前のブラジル・ワールドカップ、コートジボワールとのグループリーグ初戦で逆転負けを喫した経験が生かされたのだろうか、1-1になっても日本は陣形的にも、精神的にも崩れなかった。吉田麻也は言う。
 
「焦らないように、前掛かりになりすぎてカウンターを食らわないように、1-1でも最悪OKというくらい割り切ってやっていました。それも伝えていましたし、仮に1-2になった時も2-2になった時も焦らずにやろうと声かけていました」
 
 後半になると、時間の経過とともにコロンビアの足が止まり始める。一人少ないうえに、前半から相当なパワーを傾けてゴールを狙いに来ていたのだから、そうなるのは当然だった。C・サンチェス退場の恩恵を受けるのは、実はここからだった。
 
 コロンビアの動きが鈍ったおかげで、日本も冷静に試合を運ぶことができた。もちろん、小さなミスはあり、乾貴士や酒井宏樹がシュートチャンスをものにできないなど、もどかしい展開に映ったと、そんな見方もある。
 
 ただ、吉田が軸の最終ラインはびくともしなかったし、コロンビアの10番ハメス・ロドリゲスが途中出場してきても動揺せずゴール前に強固な守備ブロックを築いた。
 
 結果的に本田圭佑のCKから大迫がヘッドで決勝ゴールを決めて2-1と勝利した。殊勲者の大迫の活躍にスポットが当たりがちだが、この日の一番の功労者は長友と原口ではなかったか。

 長友も原口ももちろんミスはあった。長友に関して言えば「あれ?」と思うようなクリアミスも何本かあった。原口にしてもゴールチャンスに絡んだわけではない。

 それでも、見た目以上にタフで難しい、"走る、戦う"というサッカーの根本的な部分を体現したふたりの頑張りは称賛に値した。
 
「きつかったけど、勝てて良かった」
 
 原口の笑顔が、この日の彼の充実ぶりを物語っていた。
 
 決して運だけで勝ったわけではない。戦う気持ちがチームとして前面に出たからこその勝利、そう言えるだろう。
 
取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

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