パラグアイ戦では前半の45分間のみ出場。十分なアピールとは言えなかった。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 ゴールキーパーは、因果なポジションだなと思う。

  ひとつしかポジションがなく、その責任は重大だ。

 また、ワールドカップのような大きな大会で「正GK」が決まってしまうと、怪我などの特別な事情がない限り試合出場のチャンスがなくなる。正GK以外はサブであることの悔しさを噛み締めながら出番の可能性の少ない試合に向け、自分の気持ちに折り合いをつけながら日々の練習に取り組む。
 
 それは決して容易なことではない。

「GKには、GKにしか理解できないいろんな難しさがあるんですよ。特にサブの場合は、難しい。自分のメンタルと葛藤の日々が始まります」
 
 フランス大会とドイツ大会ではワールドカップの舞台に立ち、南アフリカ大会では第3GKとして招集された経験を持つ川口能活は、そう言った。
 
 日本代表には川島永嗣、東口順昭、中村航輔の3人のGKがいる。

 東口は、今まさにその難しいポジションに置かれそうな状況にいる。
 
 パラグアイ戦には出場できたが、前半だけで交代し、西野朗監督にアピールとはいかなかった。ロシアのカザンに入ってからは主力組のGKには川島が入っている。コロンビア戦を前に、正GKは決まったような空気が流れている。
 
 東口は、何かしらの覚悟を決めたように清々しい表情をしていた。
 
「GKは、ポジションがひとつしかないんで、そのひとつを奪うために練習からしっかりやりますけど……。まぁ(試合に)出えへんかったら出えへんかったで違う役割があると思うし、GKならではの役割があると思う。試合に出れへんかったら終わりやとか、そういうのを出していると個人としてもチームとしても成長していかないんでね。GK陣としてチームとしてひとつにまとまるのも大事なこと。ワールドカップで日本代表として戦っているんで、試合に出た人を全力でサポートしようと思っています」
 
 年齢的には35歳の川島、32歳の東口は近いが、中村は23歳と少し離れている。一番下の中村は、まだ若く初めてのワールドカップで経験しながらチームのサポートをする意識で日々を送れるだろう。だが、東口はGKとして一番、脂の乗った年齢であり、もう経験という年ではない。3人の真ん中にいて、下からは中村の突き上げを喰らい、上の川島は指揮官の信頼が非常に厚い。東口は上下に挟まれ、難しいポジションにいる。
 
「そうですね。航輔がグイグイきているし、永嗣さんもしっかり結果を残しているんで、そういうところでは焦りはあります。正直、試合に出たい気持ちが強い。もう32歳ですし、サブでいることのいろいろ難しさは感じています」
 
 その難しさを感じながら日々、自分の気持ちとどう向き合っているのだろうか。
 
「自分のやることを練習で100%出切ることしかない。それをやらないことには自分に納得がいかない。まぁ結果がどうあれ、毎日しっかり全力でやっています」
 
 張りつめた日々を送る中、東口のリラックス方法は卓球だという。
 
 カザンでは4人1組で2グループに分けてトーナメント大会を開催。東口はひとつも勝てず、「逆にストレスがたまりました」と苦笑した。ちなみに決勝戦は本田圭佑と遠藤航の対決になり、第1回大会は遠藤が優勝したという。
 
 また、リラックスルームではワールドカップの試合をみんなで観戦している。前日の夜はスペイン対ポルトガルの試合を観て、盛り上がったという。
 
 この試合ではスペインのGKダビド・デ・ヘアが注目の的になった。
 
 クリスチアーノ・ロナウドのシュートを後ろに逸らして失点、3失点目もC・ロナウドにFKを決められるなど散々な内容だった。