パラグアイ戦で笑顔を取り戻した香川。写真:JMPA代表撮影(滝川敏之)

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 相変わらず人気はある、素直にそう思った。2018年6月8日のスイス戦、77分に本田圭佑に代わって“10番”がピッチに投入されると、スイスのサポーターからも「カガワ‼、カガワ‼」と歓声が沸き起こる。その光景を見て、香川真司がワールドワイドに活躍する選手だということを改めて理解した。
 
 そう言えば、ワールドカップ開幕前にポーランドのスポーツ紙『Przeglad Sportowy』のヤクブ・ラドムスキ記者に「日本で最も警戒すべき選手は?」と聞いたら、「カガワ」と即答していた。日本代表の中で、おそらく香川は名前だけで相手に威圧感のようなものを与えられる数少ない選手のひとりだ。
 
 だからこその背番号10だし、このタイミングで香川と心中してもいいのではないか。確かに懸念はある。2014年のブラジル・ワールドカップのギリシャ戦(グループリーグ2戦目)では屈辱のスタメン落ち、翌15年のアジアカップ準々決勝のUAE戦ではPK失敗となにかと代表ではネガティブなイメージが付きまとう。しかし、どれもこれも過去の話だ。
 
 トップ下を置くシステムなら、本田より香川のほうを起用すべきだろう。単純にパラグアイ戦で良かったからというではなく、カウンターを仕掛けるには本田のキープ力よりも香川の素早いターンや走ったままでのトラップ技術のほうが有効に映るからだ。
 
 
 才能、技術は申し分ない。あとは強靭なメンタルで挑めるかだ。パラグアイ戦後、親友の長友佑都も香川についてこう語っている。
 
「彼が点を取ってくれて、僕自身本当に嬉しかったし、自信を持ってワールドカップを迎えてほしいという気持ちがやっぱりあって、点取った後に嬉しさのあまり、グラウンドの中に入ってしまいましたからね」
 
「やっぱり代表でも一緒に過ごしてきて、とくにこの時期、彼が怪我してドルトムントでも試合に出ていないなかで、代表に合流して、彼自身はポジティブに考えているんだけど、顔が冴えてなかったというか。僕は一緒に(代表で)10年間プレーしてきて、感じていたからこそ、昨日の彼の得点を取っての笑顔とか、終わった後の普通の彼の笑顔が出ていたなという感じがして。ワールドカップもこのままいってほしいなと思いますね」
 
 確かにパラグアイ戦後のミックスゾーンでは以前よりも緊張が解けたような表情をしていた。いわゆる「香川信者」ではないが、ベンチに置いておくようなタレントでは決してない。そこまで戦術が固まっていない現状なら、なおさら個の能力を重視すべきだろう。このタイミングで“笑顔”を取り戻した香川と心中する。悪い選択肢ではない。コロンビアにとっても、香川がいる、いないで日本への警戒レベルが変わるはずだ。
 
取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)