北海道シリーズがいよいよ開幕する。

 その開幕週に行なわれる重賞は、GIII函館スプリントS(6月17日/函館・芝1200m)。開催時期は何度か変更されているが、6月中旬に開催されるようになった2012年以降、全6回の3連単はすべて5万円超えの万馬券となっている。そのうち4回は、10万円超え(平均約60万円)の高配当をつけており、まさに”夏のボーナスレース”と言える。

 その大きな理由は、毎年GI馬やGIで好走実績のある馬が参戦しているが、そのほとんどが人気を得ながら馬群に沈んできたからだ。

 また、ここ最近はタイムが速い傾向にある。昨年は、勝ちタイムがついに1分6秒台に突入。洋芝の函館では時計がかかりやすいイメージがあるが、決してそうとは言えないようだ。その点については、日刊スポーツの木南友輔記者がこんな情報を教えてくれた。

「函館の開幕週は、とにかくレコードが連発します。そこで昨年、日曜日の最終レース終了後にJRAの馬場造園課を取材したのですが、関係者からも戸惑いの声が上がっていました。JRAとしても、高速馬場を望んでいるわけではなく、『(競走馬が)走りやすい馬場を追求した結果が、今の馬場』と話していました。そのスタンスがこの1年で大きく変わるとは思えないですから、今年の函館開幕週も、ある程度は速い馬場になると見ています」

 そうは言っても、実はその高速馬場における適性の見極めが非常に難しい。洋芝=パワー型向き、という要素がまったくないわけではないからだ。単に「東京や京都などの高速馬場に強い」というだけでは、最後にパワー負けしてしまうのである。それが、波乱の要因のひとつにもなっている。

 そうなると、やはり「コース実績が重要になってくる」とデイリースポーツの大西修平記者は言う。

「本州の競馬場に比べて(北海道の競馬場は)芝丈が長く、密集しています。その分、パワーを要するのですが、今はスピードも求められるコースになっています。おかげで、より適性がモノを言う舞台だと言えます。

 そうした条件にあって、今年は過去に結果を残している軽量の3歳馬が出走しないため、例年以上に北海道の洋芝実績を重視して予想を組み立てる必要がありそうです。状態などをしっかりと見極めながら、狙いを定めていかなければいけませんね」

 そこで、大西記者が注目するのが、10歳馬のエポワス(せん10歳)。昨年のこのレースでも7番人気で3着に入り、さらにその後のキーンランドC(札幌・芝1200m)では、12番人気で大金星をゲット。洋芝の適性が高いうえ、”穴実績”が豊富なのは魅力だ。

「近2走はふた桁着順と不振続きですが、3走前にはキーンランドCを制し、昨年のこのレースでも3着。函館では6戦して1勝、2着3回、3着1回、着外1回と好成績を残しており、コース適性はかなり高いです。

 今回はおよそ3カ月ぶりのレースになりますが、しっかりと乗り込まれており、仕上がりは上々。10歳馬でも馬体に張りがあり、衰えはまったく感じられません。昨年より1kg増となる斤量57kgを克服できるかどうかがポイントになりますが、過去にも同斤量を背負って結果を出しています。この斤量増で人気が落ちるようなら、ますます狙い目となるのではないでしょうか」

 そして、大西記者はもう1頭、「穴馬」の名前を挙げた。

「アドマイヤゴッド(牡6歳)にも魅力を感じています。昨年の1600万下・函館日刊スポーツ杯(函館・芝1200m)では、好位から鮮やかに抜け出して勝利。函館では連対率5割と、こちらも舞台適性は高いです。

 その後、昨年のGIIセントウルS(阪神・芝1200m)では、勝ち馬からコンマ2秒差の5着。前走のGII京王杯スプリングC(5月12日/東京・芝1400m)でも、着順は9着ながら、レコード決着のレースで勝ち馬とはコンマ4秒差。重賞でも差のない競馬を続けており、着実に力をつけています。

 今回鞍上を務める岩田康誠騎手も、この馬で2勝を挙げており、特徴や持ち味は十分に把握しているはず。流れが向けば、大いにチャンスはあると思いますよ」


昨年のレースでも2着と好走したキングハート

 一方、木南記者もコース適性を考慮しつつ、「展開面や状態面も考慮したい」として、キングハート(牡5歳)を推奨する。

「昨年のこのレースで2着となっているように、コース適性は十分。このレースでは、先行して押し切る強さや、後方からの切れ味といった、わかりやすい強さを持っている馬よりも、流れに乗って抜け出してくるような”したたかな”タイプの馬のほうが好走する傾向にあります。

 そして、2走前のGIIIオーシャンS(3月3日/中山・芝1200m)での、この馬の競馬がまさにそれ。そのオーシャンSの勝利については、馬自身が完成してきている、ということも勝因だったと思います。

 そのあと、GI高松宮記念(3月25日/中京・芝1200m)は10着に敗れましたが、今ひとつ競馬に参加できていませんでした。力負けではなかったと思いますから、巻き返しに期待したいですね」

 木南記者ももう1頭、今回が重賞出走2走目となるライトフェアリー(牝6歳)をオススメする。

「今年に入ってから出走したここ2戦が、これまでのこの馬と比較しても、見違えるほど強い内容を見せているんです。前々走の1600万下・船橋S(4月1日/中山・芝1200m)で先手を奪って快勝すると、続く前走のオープン特別・鞍馬S(5月6日/京都・芝1200m)でも、押して、押して先行したにもかからず、直線でバテることなく、力強く抜け出してハナ差の2着と奮闘しました。

 昨年の函館では、1000万条件の馬でしたけど、今や完全に別馬。もう一発あるかも……という気持ちにさせてくれています。鞍上は今週から復帰する柴山雄一騎手。同馬に騎乗して2戦2勝と相性がいい点を含めても、注目したい1頭です」 はたして、今年はどの馬が”ビッグボーナス”をもたらしてくれるのか。ここに挙げた4頭の中に、大金を運んでくる”波乱の使者”がきっといる。

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