パラグアイ戦で先制ゴールを決めた乾がベンチの控えメンバーに祝福される。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 ワールドカップまでの最後のテストマッチとなった6月12日のパラグアイ戦で、日本は後半に4ゴールを奪って4対2の逆転勝利を飾った。

 ワールドカップ対策のスパーリングパートナーとしては、この日のパラグアイはあまりにも力不足だった。ワールドカップに向けた“強化試合”というより、むしろ“調整試合”と捉えたほうがいい。

 この結果を受けて、初戦のコロンビアから勝点を奪える保証はまったくないが、しかし、対戦相手の強度に目をつぶったとしても、いかなる試合においてもなかなか4ゴールを奪えるものではない。日本のパフォーマンス自体も決して悪くなかった。間違いなく言えるのは、現体制での初勝利を手にしたことで、チームとして一歩前進した。停滞していたチームの風向きが変わる1勝になる。

 欲を言えば、パラグアイの攻撃を無失点に抑えたかった。自分たちのミスで失点したガーナ戦やスイス戦とは違って、シュートした選手を褒めなければならない。GKとしては2失点とも味方ディフェンダーが影になり反応がワンテンポ遅れてしまったのだろう。それでも日本代表は無失点ゲームを目指していたはずだから、その点においては、本番への修正点としたい。
 
 しかし、チームとしての戦い方に目を向ければ、とくに攻守の連動性という点で、これまでのテストマッチのそれとは違っていた。ひと言で言えば、相手よりも走り、相手よりもアグレッシブに戦っていた。攻撃では数的有利を作って“仕掛け”が多く、守備でもコンパクトフィールドを保ち、網をかけてボールを奪うシーンが多かった。チームとしての活動量がパラグアイよりも上だった証拠だろう。

 選手のパフォーマンスに目を向ければ、2ゴールを挙げた乾をはじめ、岡崎、香川、武藤ら、前線の動きが活発だった。パスコースも多く、柴崎の縦パスも生きていた。この日のスタメンの活躍度を見れば、誰がコロンビア戦のピッチに立ってもおかしくない状態になったと言える。敵を欺くにはまずは味方から、という諺があるように、おそらく、この試合をスカウティングしていたコロンビア代表スタッフに的を絞らせない試合になった。
 
 西野監督にとっても、ワールドカップで戦えるオプションが増えたことは、嬉しいことだろう。とはいえ、コロンビア戦はグループリーグ突破に向けた大事な初戦であるのだから守備的に戦わざるをない。ワールドカップの戦いを知るベテランを中心としたメンバー構成と見るのが普通だろう。

 コロンビア戦でのシステムは慣れ親しんだ4-2-3-1で戦うはずだ。現状でスタメンを選ぶなら、GKは川島で、最終ラインは左から長友、槙野、吉田、酒井宏。2ボランチは長谷部、山口で、2列目のサイドは左に宇佐美、右に原口。トップ下が岡崎で、ワントップは大迫になる。おそらく西野監督は、対戦相手の強度や試合状況によって、長谷部のパートナーとして柴崎や大島、トップ下の人選として本田、香川を併用していくのではないか。
 
 まずは初戦のコロンビア戦でどんな展開が待ち構えているのか、非常に楽しみだ。日本が先制するのか、それともコロンビアに失点を許してしまうか。初戦で勝点を取りたいが、そうでなければ、第2戦のセネガル戦は先制点を奪いに行かなければいけなくなる。グループリーグを戦うなかで、日本が置かれる状況というのは“分単位”、“1試合単位”で変わってくる。そういった意味で考えると、今回のパラグアイ戦では、とくに攻撃面でのオプションが増えた実りのある一戦となった。絶対にゴールが欲しいシチュエーションを迎えた時、乾と香川のコンビネーションが、日本に歓喜をもたらす強力なセットになる。

◆プロフィール
藤田俊哉(ふじた・としや)/1971年10月4日生まれ、静岡県出身。清水市商高-筑波大-磐田-ユトレヒト(オランダ)-磐田-名古屋-熊本-千葉。日本代表24試合・3得点。J1通算419試合・100得点。J2通算79試合・6得点。J1では、ミッドフィルダーとして初めて通算100ゴールを叩き出した名アタッカー。2014年からオランダ2部VVVフェンロのコーチとして指導にあたり、16-17シーズンのリーグ優勝と1部復帰に導いた。新シーズンよりイングランドのリーズ・ユナイテッドでスタッフ入り。また、今年7月より藤田俊哉×H.I.S.ブログ『藤田俊哉サロン』がスタート