立ちはだかる「壁」とは?(画像はイメージ)

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衣料品チェーンしまむらの株価が低調だ。足元の業績が振るわないため2018年5月24日に一時、1万1500円と1年9か月ぶりの安値をつけた。その後も反転上昇へのきっかけがつかめず、6月1日には一時、1万830円まで下げた。かつての「デフレの優等生」は正念場を迎えているのか。

5月24日、しまむらの株価が急落した材料は、前日に発表された5月度の売上高速報(しまむらは毎月23日に「度」をつけてグループ3チェーン別の売上高速報を発表)。主力である「ファッションセンターしまむら」の既存店売上高は前年同期比7.7%減と大きく落ち込んだ。

5月度は「夏物の販売が伸び悩んだ」

しまむらは「ゴールデンウイーク以降の寒波による大雨や低温により、夏物の販売が伸び悩んだ」と説明している。5月については、「ユニクロ」の国内店舗も4か月ぶりに既存店売上高が前年割れとなった。やはり雨続きに肌寒さが重なり、夏物商品の売れ行きが鈍ったわけだが、減少率は2.7%で、「ファッションセンターしまむら」の落ち込みは、より大きい。

もっとも、カジュアル衣料品チェーン「マックハウス」の5月の既存店売上高が16.3%減なので、しまむらだけが苦境にあるというわけではない。ただ、しまむらは2019年2月期連結決算の業績予想を売上高は前期比4.0%増の5875億円、純利益を17.8%増の350億円と見込んでいる。これに投資家から疑問の目が向けられていることが株価を軟調にしていると言える。実際、5月23日の速報発表以降、みずほ証券やドイツ証券などいくつかの証券会社がしまむらの目標株価を引き下げた。

人手不足や原材料高

さらに、4月2日に発表された2018年2月期連結決算も、しまむらにとってやや厳しいものだった。売上高は前期比0.1%減の5651億円、営業利益は12.1%減の428億円、純利益は9.6%減の297億円。幅はわずかだったが減収となったのは9年ぶり。純利益の減益は3年ぶりと振るわなかった。主力チェーン「しまむら」がヒット商品に恵まれなかったことなどが要因で、成長力に陰りも垣間見えた。ただし当時、株価はむしろ持ち直し、4月4日には一時、今年の最高値である1万4280円をつけた。終わった期の結果を踏まえ、品質の高い商品で稼ごうとするしまむらの業績予想への期待があったとみられる。その期待が剥げていったのが、この2か月余り、ということになるようだ。

主力チェーン「しまむら」の既存店売上高は4月度こそ前年同期比1.4%増だったものの3月度は5.6%減で、第1四半期(3〜5月)としては3.9%減だった。株価を反転させるには、恐らく実績をあげていくしかないが、人手不足や原材料高といった壁も依然として立ちはだかっており、「局面を打開するのはなかなか難しい」との見方も出ている。