乾は左サイドの、香川はトップ下の一番手に浮上。再び激戦区になったのはボランチだ。

写真拡大 (全2枚)

 6月8日のスイス戦からスタメン10人を入れ替える大シャッフルで勝負に出たパラグアイ戦は4-2と勝利。いわゆるサブ組が、ベンチに座るレギュラー組の前で結果を出したことで、ポジションによっては序列が分からなくなかった。
 
 最大の激戦区はボランチだろう。パラグアイ戦でパスワークとプレースキックの精度を見せつけた柴崎岳、持ち前の運動量を取り戻してアグレッシブに戦った山口蛍の活躍により、コロンビア戦のスタメンがまるで読めなくなった。
 
 パラグアイ戦前日も別メニューだった大島僚太のコンディションから判断して、現状で柴崎を長谷部誠のパートナー候補としたとはいえ、そもそも長谷部もレギュラー確定というわけではない。どちらかと言えば攻撃的な柴崎は、がっちり守ってくれる山口との相性が良く、長谷部が相棒の場合はどうなるかという部分が未知数である。個々の能力を見ても誰かひとりが突出しているわけではなく、ボランチ4人はほぼ横一線と言えそうだ。
 
 同様にトップ下の争いも面白くなってきた。“本田圭佑ありき”の4-2-3-1システムのように捉える向きもあったが、パラグアイ戦での1得点・2アシストという活躍で香川真司が昇格。現時点でこのポジションの一番手となった。
 
 本田はフリーキッカーとしても柴崎に差をつけられており、窮地である。コロンビア戦までテストマッチもない状況下でどう巻き返すのか、“プロフェッショナル”としての意地を見せてほしい。
 
 パラグアイ戦では昌子源と植田直通のCBコンビの活躍も見逃せなかった。前者は声を張り上げて味方を動かしながら最終ラインを整え、後者は蹴るところは蹴るという割り切ったディフェンスでアピールした。さすがに“守備陣のボス”吉田麻也の牙城は揺るがないものの、CBの残る1枠を巡る戦いは激化しそうだ。昌子か、槙野か、はたまた植田か。カザンに入ってからのコンディションが定位置争いを左右するだろう。
 
 武藤嘉紀の立ち位置も難しい。普通に考えれば、パラグアイ戦でも1トップとして存在感を示した大迫勇也のバックアッパーだ。しかし、同試合で右サイドハーフとして健闘していた姿を見ると、ここに固定するのも悪くないアイデアである。
 
 実際、フィジカルとスピードを利した武藤のドリブルは良いアクセントになっていた。もちろん、スイスとパラグアイの実力が同等ではないため、単純に原口元気よりも機能していたなどとは言えない。ただ、これで右サイドのバトルも興味深くなったのは事実だ。
 
 その武藤も関係しているCFでは、岡崎慎司がパラグアイ戦でアピールできなかった。献身的な守備が素晴らしい半面、オフェンスでの貢献がいまひとつだったこのベテランFWは、ストライカーとしての“怖さ”がなく、大迫、武藤に次ぐ3番手で落ち着きそうか。
 
 左サイドハーフは、パラグアイ戦で2ゴールを決めた乾貴士が間違いなく一番手。スイス戦で先発しながら結果を残せなかった宇佐美貴史は、途中出場したパラグアイ戦でもプレーのテンポが遅く、しかも2失点目に絡むなど厳しい出来だった。余程のことがない限り、コロンビア戦では乾がスタメンを張りそうだ。
 
 右サイドバックはやはり酒井宏樹が序列のトップ。パラグアイ戦の出来で判断するかぎり、遠藤航は攻撃面でのアイデアが不足している。クロスやパスのタイミングも少し遅いせいで相手に引っかかる場面がだいぶ見受けられた。オフェンスでの貢献度だけなら遠藤よりも酒井高徳のほうが上だろう。
 
 左サイドバックとGKは無風地帯か。前者は長友佑都が後続を大きく引き離しており、ライバル不在の状況。後者はパラグアイ戦でチャンスをもらった東口順昭と中村航輔がいずれも失点しているので、川島永嗣が依然一番手と見ていい。
 
 パラグアイ戦の勝利で、全体的にポジション争いが活発化してきたことはポジティブ。西野監督はどんなメンバーをコロンビア戦に送り出すのだろうか、ようやく面白くなってきた。
 
取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

【日本代表PHOTO】日本4-2パラグアイ|乾が2ゴール! 西野ジャパンが W杯本大会前ラストマッチを勝利で終える