ファミリーレストラン各社の業績が好調です。これを受け、「ファミレス戦国時代が再び到来」とするのは、店舗経営コンサルタントの佐藤昌司さん。佐藤さんは自身の無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』で、先日出揃ったファミレス大手6社の2017年度決算を丁寧に読み込み、各社の「好調の理由」を分析しています。

ファミレス戦国時代が再び到来。各社が勢力拡大に躍起

ファミリーレストラン主要6社の2017年度決算(サイゼリヤが17年8月期、すかいらーく、ジョイフル、ロイヤルホールディングスが17年12月期、セブン&アイ・フードシステムズが18年2月期、ココスジャパンが18年3月期)が出そろいました。

【17年度売上高】

※ロイヤルホールディングスのみ外食事業売上高、カッコ内は主力ブランド

すかいらーく(ガスト):3,594億円(前年比1.4%増、国際会計基準)サイゼリヤ(サイゼリヤ):1,483億円(同2.3%増)セブン&アイ・フードシステムズ(デニーズ):801億円(同2.7%減)ジョイフル(ジョイフル):656億円(同1.7%増)ロイヤルホールディングス(ロイヤルホスト):621億円(同0.3%減)ココスジャパン(ココス):582億円(同0.4%減)

【17年度既存店売上高前年比】

すかいらーく:100%サイゼリヤ:102.6%デニーズ:101.0%ジョイフル:99.3%ロイヤルホスト:102.0%ココスジャパン:98.5%

17年度は各社とも概ね好調でした。

すかいらーく

すかいらーくは全社売上高が前年比101.4%、既存店売上高が同100.0%でした。店舗数が77店増えたほか、全店舗の1割にあたる295店で改装を実施し店舗環境が改善したことが寄与しました。また、働き方改革の一環として、全店舗の2割にあたる581店で深夜営業時間の短縮を実施しましたが、1%程度の売り上げが減少したものの、利益への影響は限定的だったといいます。

サイゼリヤ

サイゼリヤは全社売上高が前年比102.3%、既存店売上高が同102.6%でした。店舗数が51店増えたほか、年度末まで15カ月連続で既存店売上高が前年同月を上回るなど1店1店の収益力が向上したことが寄与しました。また、自社株を使ったインセンティブプランを導入するなどで従業員の意欲や士気を高め、顧客視点でのサービス強化などに努めたことが奏功したといいます。

セブン&アイ・フードシステムズ

セブン&アイ・フードシステムズは全社売上高が前年比97.3%、デニーズの既存店売上高が同101.0%でした。全店舗の1割弱にあたる66店が減ったことが響きました。そのうち主力のデニーズは9店減っています。また、既存店客数が1.7%減った一方で既存店客単価が2.8%上昇したことで既存店売上高はプラスとなりました。

ジョイフル

ジョイフルは全社売上高が前年比101.7%、既存店売上高が同99.3%でした。主力のジョイフルを中心に店舗数が22店増えたことが寄与しました。一方、全店舗の1割強にあたる108店で改装を実施するなど店舗環境の改善を図ったものの、既存店客数が2.3%減ったことが影響し、既存店売上高はマイナスとなりました。

ロイヤルホールディングス

ロイヤルホールディングスは外食事業の売上高が前年比99.7%、ロイヤルホストの既存店売上高が同102.0%でした。既存店客単価が3.7%増加したことが寄与し、既存店売上高はプラスとなりましたが、ロイヤルホスト店舗が3店減ったことなどが影響し、外食事業の売上高はわずかにマイナスとなりました。

ココスジャパン

ココスジャパンは全社売上高が前年比99.6%、既存店売上高が同98.5%でした。店舗数が3店増えたものの、夏期商戦期間中の天候不順や10月の台風、冬期の全国的な雪の影響などで既存店客数が4.2%減ったことが響きました。

各社主力ブランドの現在の国内店舗数は以下の通りです。

【現在の国内店舗数】

ガスト:約1,370店サイゼリヤ:約1,080店ジョイフル:約790店ココス:約580店デニーズ:約370店ロイヤルホスト:約220店

各社の17年度における12年度からの売上高増減率は以下の通りです。

【17年度における12年度からの売上高増減率】

すかいらーく:9%増サイゼリヤ:42%増セブン&アイ・フードシステムズ:3%増ジョイフル:12%増ロイヤルホールディングス:10%増ココスジャパン:2%増

すかいらーくの17年度における12年度からの売上高増減率は9%増でした。すかいらーくの強みは様々な飲食店ブランドを抱えていることにあります。現在、3,000店を超える店舗を展開しており、ファミレス「ガスト」および「ジョナサン」、中華レストラン「バーミヤン」、和食レストラン「夢庵」などあらゆる分野の飲食店があります。

すかいらーくの主力は、全店舗の4割強にあたる約1,370店を国内で展開するガストです。599円(税抜、以下同)の「チーズINハンバーグ」や449円の「ハンバーグステーキ」などの洋食メニューが人気です。チーズINハンバーグを定期的に期間限定で399円に値下げするなど低価格販売を売りにしています。1992年に1号店を出店し、11年後の03年に1,000店を達成しました。消費者の節約志向が続くなか、低価格路線が支持を集めています。

サイゼリヤの17年度における12年度からの売上高増減率は42%増でした。サイゼリヤはコスパが良いことで人気を博しています。277円の「ミラノ風ドリア」や277円の「ペペロンチーノ」など低価格のメニューが豊富です。国内では約1,080店を展開し、5割強が関東にあります。中国を中心に海外でも出店を進めており、18年2月末時点で375店を展開しています。

セブン&アイ・フードシステムズの17年度における12年度からの売上高増減率は3%増でした。全店舗の5割にあたる約370店を国内で展開するデニーズは「デニーズオムライス」(799円)や「ハンバーグカレードリア」(799円)などの洋食メニューが人気です。ファミレスの中ではやや高めの価格設定です。関東と中部を中心に出店しています。

ジョイフルの17年度における12年度からの売上高増減率は12%増でした。ジョイフルは九州を中心に約790店を国内で展開しています。低価格が売りで、一例として、日替わりのハンバーグ定食「日替りランチ」が459円、「チキンドリア」が459円となっています。

ロイヤルホールディングス外食事業の17年度における12年度からの売上高増減率は10%増でした。主力のロイヤルホストを国内で約220店展開しています。「黒×黒ハンバーグ 190gレギュラー」(1,180円)や「ロイヤルアンガスサーロインステーキ」(225g/2,480円)などの洋食メニューが人気です。ファミレスの中では高めの価格設定です。

ココスジャパンの17年度における12年度からの売上高増減率は2%増でした。ココスを国内で約580店展開しています。「ココスのハンバーグ」(690円)や「ビーフハンバーグステーキ」(690円)などの洋食メニューが人気です。ファミレスの中では中価格帯です。

景気回復感が強まるなか、ファミレス各社が気勢を揚げています。牛丼チェーンや回転ずしチェーンなどが台頭したことで一時は元気がなかったファミレス業界ですが、ここにきて再び勢力拡大競争を繰り広げています。今後の展開に注目が集まりそうです。

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