「戦術は逃げ」と言い切った長友。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 6月12日のパラグアイ戦に向け、長友が一番示したいのは戦えるという“魂”だ。
 
「戦術とかの前に戦えているかというところです。魂を持って本当に一人ひとりが戦って走っているのか、まだまだ皆にも自分も甘さがある」
 
 長友に言わせればその甘えが「戦術」だという。
 
「戦術はもちろん大事です。でも、逃げなのかなと。自分がスプリントで動けてないとか、戦えてないから、戦術という方向に逃げているという捉え方もあるんじゃないかと思っています。戦う、走る、そういう基本的なところ、相手よりもそこを見せたいなというのがまずあります」
 
 戦術はすぐに浸透しないが、“走ること”なら意識を変えるだけで「ある程度は変われる」と長友はそう断言した。
 
「やっぱりフワッと入ったら身体も動かないし、走れなくなるので。でも、一人ひとりが危機感をもってやらないといけない、やるんだという強い気持ちを持っていたら、そのメンタルに身体はついてくるじゃないですか。その方向に一人ひとりが持っていかないと。精神的な部分は凄い大事になってくる」
 
 長友が“走り”を強調するのは、スイス戦でスプリントすべき局面でしてなかったからでもある。
 
「スイス戦では、相手からボールを奪い返した次の展開でスプリントしなくちゃいけない時に全然できていなかった。足もとでもらう意識ばかりでは……。僕がもし相手だったら、(日本は)全然怖くない。嫌なところに前線スプリントしてこないなという感じで。スプリントして高い位置でボールをもらえるからこそゴール前で1対1の状況が生まれたりとか、局面が変わってくるのに……。結局足もとでもらって相手が帰って来たら、攻め手がないですよね。最終的にクロスをあげます、中で弾かれます、では話にならない」
 
 ワールドカップのグループリーグで戦うコロンビア、セネガル、ポーランドは普通に考えれば日本より格上。だから、「ボールを保持して簡単に点が取れるような相手じゃない」と長友は警鐘を鳴らす。
 
 ポゼッションだの、3バックだの、4バックだの、戦術やシステムにこだわる前にもっとやるべきことがある。長友はサッカーの根本的なところを追求してこそ、希望への道が開けると信じているのだろう。
 
取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

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