ワールドカップで勝点を得るには、守備の徹底は不可欠。長友のような執念深いディフェンスが一人ひとりに必要だ。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 ワールドカップ初戦まで残り10日となった6月8日、日本は格上のスイスとテストマッチを行なった。ガーナ戦の3バックから一転、慣れ親しむ4バックで臨んだ日本だが、スイスのオーガナイズされた攻守の機能性の前になすすべなく敗れた。

 FIFAランキング6位のスイスに対して同61位の日本。格下の日本は、格上のスイスに実力どおりに順当に敗れた。世界的に見れば、2対0というこの結果については、なんのサプライズもない。

 しかし、1点のビハインドを負って折り返した後半、ギアを上げて反撃しなければいけない立場にある日本は70分までシュートすら打たせてもらえなかった。この屈辱的な内容を、サプライズと言わずしてなんと言うのだろうか。

 この試合で、誰が仕事らしい仕事をしていたか。1トップの大迫はシュートを打てたか? 本田はトップ下としてどこまで“違い”を生み出していたか? 吉田や川島はピンチをいくつ防げたのか? 途中出場の武藤をはじめ、チームに変化を与えた選手はいたのか? 残念ながら際立つ存在感を発揮できた選手はいなかった。強いて収穫をあげるならば、あらためて日本が置かれている現状が厳しいという危機感を再確認できたことだろう。試合後のインタビューで選手たちが口にしていたように……。
 
 そもそも、サッカーとはシンプルなスポーツだ。相手より多くゴールを奪ったほうが勝つ。ゴールを奪うこと、守ることが目的であるサッカーにおいて、一度も相手ゴール前に攻め入ることができなかった。テストマッチレベルで、ガーナとスイス相手に1点も奪えていない現実を直視すれば、このままでは日本がワールドカップで勝つことは難しいと言わざるを得ない。

 そうしたなか、西野ジャパンが、この暗いトンネルから光を見出すにはどうすべきか。現状において攻撃に破壊力が感じられないチームが10日後、優勝候補のコロンビアからゴールを奪うのは容易なことではない。それならば残された時間、日本は“守備の徹底”を行なっていくしかない。くどいようだが、まずは失点をしないサッカーに徹するべきである。ガーナ戦でもスイス戦でも、先に失点を許しゲームをより厳しいものにしてしまった。攻撃は“水物”と割り切って、失点しない時間をどこまで増やせるか。可能なかぎり無失点を継続して、できるだけ失点せずに90分間を終えることがベスト。それが日本に残された唯一無二のゲームプランだろう。
 
 しかし、この作業についても、極めてハードルが高いのは、選手たちも百も承知だろう。ワールドカップ出場を決めた昨年10月以降、日本はスイス戦を含め、11試合で合計20失点を喫している。世界レベルの親善試合に限って言えば、東アジアE-1選手権の3試合を除くと、8試合で15失点である。つまり1試合平均2失点に近い。守備力をどこまで改善できるかが大きなポイントとなる。それをクリアできなければ、テストマッチを含めて、このまま西野ジャパンが1ゴールも奪えずに解散してしまう結末も起こり得るだろう。

 崖っぷちに追い詰められた日本が、本番までに徹底すべき作業は3つに絞られる。ひとつ目は、運動量で負けない、球際に負けないことは当たり前として、ハイプレスを駆使したコンパクトな守備構築の徹底。ふたつ目は、攻守両面におけるセットプレーの徹底。そして最後の3つ目は、フィジカル・コンディショニングの徹底だ。火事場のクソ力を発揮するためには、こうしたシンプルな作業が必要なのである。

 そのうえで、日本が過去のデータをいい意味で裏切るためには、“ラッキーボーイ”の出現にかける。西野監督の代名詞でもある、あの“マイアミの奇跡”を振り返っても、スーパーセーブを連発して無失点で切り抜いた川口能活の神懸かった活躍がなかったら、優勝候補のブラジルを相手に大金星を挙げることはなかった。
 
 ならば、今回、コロンビア撃破の立役者として、その大役を守護神・川島に演じてもらうしかない。ガーナ戦、スイス戦では悪い意味でゴール前での活躍が目立ってしまった。名誉挽回の絶好のチャンスとしてとらえて、コロンビア戦での川島の奮起に期待したい。

◆プロフィール
藤田俊哉(ふじた・としや)/1971年10月4日生まれ、静岡県出身。清水市商高-筑波大-磐田-ユトレヒト(オランダ)-磐田-名古屋-熊本-千葉。日本代表24試合・3得点。J1通算419試合・100得点。J2通算79試合・6得点。J1では、ミッドフィルダーとして初めて通算100ゴールを叩き出した名アタッカー。2014年からオランダ2部VVVフェンロのコーチとして指導にあたり、16-17シーズンのリーグ優勝と1部復帰に導いた。新シーズンよりイングランドのリーズ・ユナイテッドでスタッフ入り。また、今年7月より藤田俊哉×H.I.S.ブログ『藤田俊哉サロン』がスタート