柴崎選手、香川選手はそれぞれ大島選手、本田選手より0.5列ほど前でプレーする選手なので、交代の意図も分かりやすかったと思います。スイス戦では、その時間に2失点目を食らって万事休しましたが、90分を考えたプランとしては悪くなかったと思います。

 あそこで逆に日本が”一刺し”できれば一気に逆転まで、という画は、今の日本代表の勝点の取り方としては大いにアリでしょう。そのために、粘り強く前半から戦っていく。その考え方は、チームとして揃ったのではないでしょうか。
 
 ただ、懸念されるのはコンディションです。スイス戦は調子の良さを感じさせる選手がほとんどいませんでした。もちろんピークは本大会で、スイス戦にベストでいる必要はまったくもってないのですが、頭のコンディションはどうでしょうか。ボールを持った時の判断、受ける時の判断、前に出る時の判断、寄せる時の判断。それらの判断のピントがあまり合っていないように見える選手ばかりでした。

 経験のある選手たちですから、コロンビア戦にはしっかり合わせてくるのでしょうが、「チームのやり方」は一旦置いておいて、ボールコントロールの感触や判断の精度など、個人として詰めるべき部分に目を向けるべきではないかと感じました。
 
 サッカーは難しいようでシンプルなスポーツ。それでいて難しいのですが、一人ひとりのコンディションによって小さな問題は解決できるものです。むしろ、勝負はコンディションで決まるといっても過言ではありません。ここで言うコンディションとは、フィジカルコンディションだけでなく、メンタルのコンディションや頭のコンディションも含めて、です。チームとして、ここからはそれぞれの役割に集中できる環境を整えて準備してほしいと思います。

【著者プロフィール】
岩政大樹(いわまさ・だいき)/1982年1月30日、山口県出身。鹿島で不動のCBとして活躍し、2007年からJ1リーグ3連覇を達成。2010年の南アフリカW杯メンバーにも選出された。現在は、東京ユナイテッドFCで選手兼コーチを務める。