精力的にプレスをかけた本田。相手の司令塔をマークし、守備で貢献した。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 スイス戦で日本代表は、従来の4バックに戻して戦いました。西野監督は、ワールドカップ前最後のテストマッチとなる12日のパラグアイ戦では、スイス戦でベンチスタートだった選手を使う意向を示していますので、ここまででひとまず当初考えていたプランはやってきたということでしょう。
 
 4バックは選手たちにとって慣れ親しんだシステムで、心地良さはあるのだろうと感じました。そもそも4バックはピッチ全体を均等にカバーできる利点もあり、迷うことなくプレーできているように見えました。ただ、それによって、非常にオーソドックスなチームになったという印象です。相手からすると”何者か”が分かりやすく、与し易かったのではないでしょうか。
 
 切り替えやプレッシングは全体としては悪くないレベルで維持されていたと思います。特徴的だったのは、本田選手が相手のボランチに位置する司令塔・ジャカをマンマーク気味に見ていたことです。スイスの攻撃ができるだけジャカを経由しないように、彼をマークしたり、パスコースを消したりしていました。こうしたキープレーヤーを抑えにいくやり方は、ワールドカップでも見られるかもしれません。
 
 ただ、初戦のコロンビア戦でそれをやろうとした場合の懸念材料が、スイス戦で見られました。日本代表の中盤は、右のボランチが長谷部選手、左のボランチが大島選手、少し右寄りのトップ下に本田選手が立っていました。
 
 これはスイスの形とよくマッチしていてハメやすかったと思います。本田選手と逆のサイドに位置した大島選手が遅れ気味でもうひとりのボランチにプレスにいくことで、長谷部選手が残る形が作れていたからです。
 
 しかし、コロンビアのキープレーヤーは、トップ下のハメス・ロドリゲス。彼は左サイドにも下りてボールを引き出します。それに対応するのは長谷部選手です。スイス戦でも長谷部選手が前につり出された時は、ディフェンスラインの前の守備に問題を抱えていました。ここはコロンビアもスカウティングしてくるはずですから、長谷部選手をハメスの見張り役とするなら、その周りの選手には微調整が必要でしょう。
 
   また、4バックの場合に構造的な問題となるのがディフェンスラインの判断です。4バックは、前線からの守備が効きやすくなる反面、ディフェンスラインにスペースができてしまいます。特に、ゴール前では「ボールを奪う」のか「ゴールを守る」のかの判断をより緻密に行なわなくてはなりません。
 
 日本代表は、中盤のゾーンでは判断に大きな問題はありませんが、ゴール前に関しては決して「良い」とは言えません。失点にこそ繋がりませんでしたが、相手に意図的にスペースを作られ、使われそうになっていました。4バックのそれぞれの間のスペースをいかに埋めて、ゴール前を空けないようにするのかは、初戦まで早急に詰めておくべきでしょう。
 
 相手ゴール前での攻撃に関しても同様です。「決定力」という話にいく前に詰めるべきところがあるように感じます。日本代表とは対照的に、スイス代表のディフェンスラインはゴール前で動かされていませんでした。確かに、スーパーなシュートが生まれれば得点は取れたのでしょうが、残り3分の1の崩し方はいくつか整理しておく必要があると思います。
 
 ゲームの回し方、90分の考え方としては、ワールドカップでもスイス戦のような戦い方になると思います。すべてがうまくいく必要はありません。0-0、最低でも0-1で時間が推移していくことを狙い、最後の15分でペースアップしていく。スイス戦でも、大島選手を柴崎選手に、本田選手を香川選手にスイッチすることで、4-4-2のように見える形にして勝負をかけました。