当初はなかったツートーンカラーも用意され、バリエーションが広がっている(写真:トヨタグローバルニュースルーム)

トヨタ自動車のコンパクトクロスオーバーSUV「C-HR」を街中で見かけることが増えた。

SUVジャンルで1位に輝いた「C-HR」

日本自動車販売協会連合会(自販連)の統計によるとC-HRは2017年度(2017年4月〜2018年3月)に10万2465台(月間平均約8500台)を売り、乗用車ブランド通称名ランキング(軽自動車除く)で全体4位、ホンダ「ヴェゼル」(6万1378台で全体15位)に4万台以上の差をつけてSUVジャンルで1位に輝いた。


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C-HRは2016年12月に登場。排気量1800ccエンジンとモーターを併用するハイブリッド車と1200ccのターボエンジンを搭載する2タイプのパワートレーンを擁する。従来ハイブリッド車は前輪駆動(FF)、ターボは4WD(4輪駆動)のみだったが、今年5月7日には一部改良に併せてターボにもFF車が設定された。車両本体価格は229万〜292万9200円となっており、全長4360×全幅1795×全高1550〜1565mmという車体サイズだ。レクサスを除くトヨタ4系列(トヨタ店、カローラ店、トヨペット店、ネッツ店)の販売店すべてが取り扱っている。

そんなC-HRは発売当初、販売現場から「売りにくいクルマになるかもしれない」という声が出ていた。趣味性の高いクーペSUVスタイルのため、後席の居住性や積載性能、後方視界が犠牲になっており、実用性を重視するユーザーには受け入れられない可能性があった。

また、当初はターボにFFがなく車両本体251万円台が最安だった価格設定によって、競合のコンパクトクロスオーバーSUVであるヴェゼルやマツダ「CX-3」と比べたときの割高感や、トヨタの上級SUV「ハリアー」との価格差が少ないことから、C-HRを検討するユーザーの一部が、競合車やハリアーに流れかねないことなどが懸念されていた。

そんな心配もなんのその。C-HRは順調に販売台数を積み上げている。東京都内のほか地方都市で走っているC-HRのドライバーを見ると、意外にも「プリウス」や「カローラ」あたりにでも乗っていそうな年配の男性が少なくない。トヨタがガッチリ抱えている優良顧客をつかんでいる印象がある。トヨタの販売現場で聞いても「販売は底堅い」と話すセールスマンが多い。もともとC-HRは過去にトヨタがラインナップしていたスポーツクーペのユーザーも取り込んでいるようだ。

自販連の統計によると2017年度に、日産自動車のSUVでもっとも売れたエクストレイルが5万0653台、ホンダ「ヴェゼル」が6万1378台。現状の月販目標6000台前後のペースを維持できれば、2018年(暦年)や2018年度のSUVナンバーワンを再び獲る可能性は十分高い。

初速ほどの勢いはなくなっている

一方で、さすがに初速ほどの爆発的な勢いはなくなっている。

2017年4〜6月は当初の月間販売目標6000台の2倍以上を売ったが、発売から約半年でバックオーダーを消化したのか2017年7月以降は月間1万台には達していない。今年4月は前年同月比65%減の4531台と、自販連の乗用車ブランド通称名ランキング(軽自動車除く)は15位、同5月も同57%減の5536台で同12位まで後退した。

新車効果の一巡と言ってしまえばそれまでだが、前年同月から半減以上の落ち込み幅は小さくない。

自動車販売業界では、C-HRの登録済み未使用中古車をチラホラ見かけることが増えたようだ。トヨタ系の中古車センターに展示しているならまだしも、トヨタから見れば第三者となる中古車専売店などでもそのようなケースがある。

レンタカーやカーシェアリングといった法人向けのフリート販売もジワリと増えている。トヨタレンタカーのホームページにはC-HRの特設ページが用意され、カーシェアリング業者のホームページをのぞくと、C-HRが置いてあるステーションがいくつも見つかる。

それでもC-HRは、4月に4047台で同17位、5月に3860台で16位だったヴェゼルを抑えている。従来よりも割安なターボFFモデルの追加もあって、トヨタはこの先もC-HRの月間販売目標6000台前後を死守していくのだろう。

ただし、来年春以降はC-HRにとって「内なる敵」が加わる。トヨタがクロスオーバーSUV「RAV4」を日本で復活させるからだ。C-HRよりも多少ボディサイズは大きいが、SUVブームの中で新型車として登場すれば、C-HRとの比較検討でRAV4にユーザーが一部流れる可能性はある。実際、C-HRの上級モデルはハリアーとの価格差が少ないので、ハリアーが相乗効果で売れている側面もある。

C-HRがSUV王者を続けていけるかというと微妙

RAV4は、最近の流れからトヨタ4系列すべてで取り扱うことになるだろう。トヨタにとってはオールトヨタでさまざまなSUVを売っていける態勢が整うのは喜ばしい半面、ハリアーやRAV4などのトヨタ内での選択肢が増える中で、C-HRが単独車種としてSUV王者を続けていけるかというと微妙になるかもしれない。

日産やホンダは「新車販売でクラスナンバー1になりました」などと、テレビコマーシャルでのフレーズなどとして積極的に使用している。トヨタとしてこのような動きを意識していないとすれば、それは嘘になるだろう。しかし、それに付き合う必要はないと考える。すでにトヨタがグループ全体で見れば、国内販売シェアナンバー1であり、トヨタ車が日本で一番売れているのは誰でも知っている。いまさら「クラス販売ナンバー1」などというフレーズがトヨタに必要なのかと思ってしまう。

このようなフレーズ争いに付き合えば、自社登録やフリート販売などの、“行儀の悪い販売”がどうしても目立ってくる。それは中古車相場の下落を招いてしまいかねない。

個人的には2017暦年でC-HRがSUV販売ナンバー1になったのだから、この流れで新型RAV4をタイムラグなく日本市場へ導入して、次の一手を打ち、さらにラインナップの拡充を進め(可能ならばインドネシアで販売されている新型ラッシュなども日本に輸入してしまうとか)、「SUVならトヨタ」というアピールをする手もあると思う。それはマーケティングなどの面で見れば“素人の浅知恵”なのだろうか。