【ジブリ】『もののけ姫』の知られざる極秘情報と噂の話7選

写真拡大 (全4枚)

数々のヒット映画を生み続けている「スタジオジブリ」。中でも宮崎駿監督作品は世界中から高い支持を集める人気作品ばかりですよね。数あるジブリ作品の中でも、特にバイオレンスな描写が多く、視聴者に大きな衝撃を与えた『もののけ姫』についてのトリビアを紹介していきます。

公開から20年が経過



もののけ姫』が公開となったのは1997年7月。原作・脚本・監督・絵コンテまですべて宮崎監督が担当した作品としては、1992年の『紅の豚』以来5年ぶり。そのため、『もののけ姫』は公開前から大きな話題となりました。そして、興行収入は193億円を記録。『もののけ姫』はスタジオジブリ作品の歴代興行収入第3位に入る大ヒット作品になりました。

そして、今までに何度もテレビ放映もされましたが、毎回高視聴率をマーク。話題性だけでなく、作品としての評価の高さを物語っています。

今回紹介するもののけ姫の秘密や裏話、エピソードなどをチェックしていただき、今なお色褪せないもののけ姫の魅力を確かめてみてください。

1. ジブリ最後のセル画作品



もののけ姫』はスタジオジブリの最後のセル画作品です。制作当時は、アニメがアナログからフルデジタルに移行する過渡期でした。『もののけ姫』にもデジタル彩色は使用されていますが、サンの顔に付いた血糊や、でいだらぼっちなどの一部のみ。この後の作品からはフルデジタルで制作されるようになっています。

ちなみに、133分の上映時間で描かれたセル画は約14万4000枚。すべてアナログで作業したのかと思うと気が遠くなります。また、最後にサンが微笑むシーンのセル画は、オークションで100万円もの価値がついたそうです。



2. アメリカでは残酷映画の位置づけ



もののけ姫』は、アメリカでは「年齢制限PG-13」が指定され、残虐映画という扱いで公開されています。アメリカは暴力描写に対して規制が厳しく、ジブリ側に残酷な戦闘シーンをカットしてほしいと要望したのですが、ジブリ側は原則ノーカットでの上映を望んだため、結果的にPG-13での公開となったのです。

3. タイトルは『アシタカ聶記』になるかもしれなかった



宮崎監督は『もののけ姫』のタイトルを『アシタカ聶記(せっき)』にしようと考えていたことがあります。映像が完成間近のある日、宮崎監督が鈴木敏夫プロデューサーに「タイトルを『アシタカ聶記』に変えようと思う」と言い出したのです。

「聶記」とは「草に埋もれながら人の耳から耳へと語り継がれていく物語」を意味する宮崎監督の造語で、話し合いの最後に宮崎監督は「アシタカ聶記で行こう」と断言までしています。

しかし、鈴木プロデューサーの一存で宮崎監督の意見を無視し『もののけ姫』で押し通したそうです。

4. モロと乙事主は元恋人だった



300歳の犬神であるモロと、 500歳の最長老である巨大な白い猪神の乙事主は、かつて“いい仲”であり、100年前に別れている元カレ・元カノの関係なのです。

アフレコ時、モロ演じる美輪明宏さんの声に「何か違うな」と違和感を覚えた宮崎監督は、美輪さんに対して「二人は昔、いい仲だったんです」と伝えました。すると、美輪さん演じるモロの声が“女”に変わったのだそうです。言われてみると、乙事主と話している時のモロにはどこか色っぽさが感じられます。



5. エボシは死ぬはずだった



腕を食いちぎられてもしぶとく生き残るシーンが描かれたエボシですが、制作時点では途中で死ぬ予定でした。制作中に宮崎監督は音楽担当の久石譲さんから「エボシは殺したほうがいいのではないか」という指摘を受け、タタラ場を炎上させ、エボシも死ぬ流れに変更したのです。

ところが、物語の制作中にエボシが物語の中でエボシの死は描ききれないと感じ、スタッフとの議論の末にエボシを死なせないストーリーに変更したのです。

6. キャッチコピー制作で糸井重里がノイローゼになりかけた



もののけ姫のキャッチコピー「生きろ。」は、決定するまでに時間がかかり、コピーライターの糸井重里さんは「もののけノイローゼ」になったそうです。糸井さんはこれまでにいくつもジブリ作品のキャッチコピーを手掛けてきて、もののけ姫以外はすんなりと決まっていました。

ところが、もののけ姫は20本以上のコピーがボツになるという苦労を重ね、鈴木プロデューサーからも「再考を!」「違うと思いました」などと厳しい言葉を浴びせられ、糸井さんは手紙に「もののけノイローゼです」と書くほど辛い作業になったようです。

7. トトロはコダマの進化系



宮崎監督は、物語の最後に登場する木の精霊・コダマが数百年後にトトロになるというイメージを持って『もののけ姫』を制作しました。物語はシシ神が死んだ森の中で、芽吹いた新芽の間にコダマが一匹いるシーンで終わりますが、一度死んだ森が長い年月をかけて復活し、そしてコダマに耳がついてトトロになった、そんなイメージなんだと宮崎監督は語っています。

もののけ姫』の舞台は室町時代で、現在から500年程度前の物語。小トトロの年齢は109歳という設定があるため、コダマが白い小トトロになったというのは見事につじつまが合うのです。



根強いファンが多い作品



もののけ姫』はアメリカでPG-13となったように、他のジブリ作品のように子どもたちと一緒にほのぼのと楽しめるような作品ではないのかもしれません。しかし、他のジブリ作品とは一線を画した魅力が強く、根強いファンが多い作品でもあるのです。今回紹介したトリビアを頭に入れた上で、ぜひもう一度『もののけ姫』を見返してみてはいかがでしょうか。

■執筆・監修:Mr. Fox

執筆、撮影、編集家。日本生まれ、生年不詳、トレードマークはキツネの顔。世界各国を回りながら、メディアに関わる仕事をしてます。人のアイデアを転がします! コンコン。https://twitter.com/im_mr_fox/