機能性表示食品関連セミナーは立ち見が出る関心の高さ(第18回日本抗加齢医学会総会より)

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スタートから4年。あなたは機能性表示食品を手に取ったことはありますか? 買った方は何が決め手になりましたか?
健康で若々しく日々を過ごすために欠かせない重要な要素「食」。その中で年々存在感を増している感のある機能性表示食品。第18回日本抗加齢医学会総会で行われた複数のセミナーから現状と課題、そしてこれからの展望がうかがえました。

届け出数トクホ越え
2年間で売り上げが4.3倍の商品も!

日本では口から入るものは薬と食品の2つに法律上分類され、本来、食品にはその効果効能を表示することが出来ません。しかし、例外的にその機能性の表示が認められているのが「保健機能食品」と呼ばれるもので、三種類あります。「特定保健用食品(トクホ)」(1993年〜)、「栄養機能食品」(2005年〜)、そして2015年に登場した「機能性表示食品」です。

スタートして既に4年目に入った機能性表示食品は、届け出内容をすべて公開することや生鮮食品へも表示できることなど、世界に例を見ないいくつもの新しい仕組みでできています。2018年5月30日現在、届け出件数も1316件とトクホの商品数をすでに超えて順調に市場も伸びてきています。

こうした機能性表示食品の現状や問題に最も早く触れられるのがこの学会の特徴。機能性表示食品制度の誕生前の検討段階から誕生後のフォローアップまで全面的にバックアップをしてきた経緯があるからです。今回も所轄官庁の消費者庁や健康食品業界団体、企業、そして実際に機能性食品を臨床に使っている医師参加のもと、活発な議論が展開されました。日本抗加齢医学会と日本抗加齢協会との共催で開催された2件のセミナーには、延べ250人以上の参加と、関心の高さがうかがえました。

実は、日本の健康食品業界全体の売り上げはここ数年伸びに陰りが出て、「踊り場状態」とも表されています。しかしながら、機能性表示食品に関しては、具体的に2年間で売上が4.3倍になった商品もあり、更には、消費者にわかりやすい商品が投入されたことによって他の商品の売り上げまで相乗的に売り上げが伸びたといった成功事例も紹介されました。
次のステップとしては、外食や中食(調理・加工された食品を持ち帰り食べる食品)での機能性表示も検討されていること、さらに、他の食品素材にも新たな機能性表示の可能性の模索が始まっていることが発表されました。
世界に先駆けて超高齢社会を迎えた日本が、食品の機能性を上手に使った健康長寿モデルを実現できれば産業的にも世界に展開できる可能性が期待されているのです

これまでの問題、現状の課題は?
医療現場での利用がまだまだ少ない現実

一方、これまでに見えた様々な制度上の問題についても率直な意見交換が行われました。
届け出が完了するまでに1年以上を要したり、機能性の科学的な証明である臨床試験や研究レビューのレベル差が指摘されたり、ということもこれまで指摘されてきた事実。
また、届け出た内容を超えたり、届け出表示の一部を省略した広告は、健康増進法や景品表示法に抵触することから、昨年11月には16社に景品表示法違反で措置命令が出て、一部には販売終了に至ったケースもありました。

実際、消費者庁の阿部洋介氏(表示対策課食品表示対策室長)は、実際の広告についての措置について言及しました。

「著しく消費者に誤認を与えていないか?という一点が焦点です。届け出内容を超えたり届け出表示の一部を省略したりすると、健康増進法、景品表示法に抵触する恐れがあるために注意が必要です。平成28年4月以降の販売に関しては措置命令と同時に、当該期間の販売が5000万円を超える場合は課徴金も課せられます。」

もう一つの問題は、実は医療現場でのサプリメントの利用はなかなか進んでいない現状。サプリメント等の栄養療法に積極的な医師は全体の1%もいないのではないかという発表もありました。これに対し、セミナーの座長を務めた森下竜一日本抗加齢医学会副理事長の、医師、アカデミアの立場としての言葉が印象的でした。

「機能性表示食品を含めた健康食品は、健康な人が使うより未病段階の人にとってよりメリットがあるのですが、実は未病とはいったいどこからどこまでを指すのかといった境界域等の問題がまだ十分に議論が尽くされていません。また、研究の質に関しては、一番重要なことは、やはり十分な研究であるかということであり、被験者の条件や数、試験デザインなどを検証しないと意味がないと思います。健康食品業界の中だけで解決できる問題ではないことが多いのが現実です。」

超高齢社会においては、特に慢性疾患とどう付き合っていくかが大きな問題です。慢性疾患に対しては決定的な治療法がないために、日々の生活習慣を改善し、いかに「食」を活用できるかがポイント。今後、医療現場においても機能性表示食品などが積極的な利用され、より安心して使えることが望まれるところです。(取材 継田治生)

医師・専門家が監修「Aging Style」