位置付けはベンチだが、植田は虎視眈々とチャンスを狙う。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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「海外のサッカーはあまり見ないので、詳しくないですよ」
 
 日頃からこう公言してはばからない鹿島の植田直通が「レバンドフスキ」の名を挙げて目をギラつかせた。
 
「知らない人がいないくらい有名な選手だし、ぜひ対戦してみたい。僕にとって気になるFWのひとりです」
 
 改めて説明するまでもないだろう。レバンドフスキとは、ロシア・ワールドカップのグループリーグ第3戦で、日本がぶつかるポーランドのエースストライカーだ。所属先のバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)で、途中出場から瞬く間に5ゴールし、世界中を驚かせたのは記憶に新しい。現在29歳。キャリアの全盛期を迎えているといっても過言ではない。
 
「自分のよさは人に対する強さ、激しさ。そこを代表チームでも評価してもらっていると思うので、試合に出たら熱いプレーを見せたいです」
 
 立ちはだかる相手が強ければ強ほど、闘争心をむき出しにする植田だが、早くもレバンドフスキにロックオンだ。世界的なFWと対峙する日を心待ちにしている。
 
「代表メンバーの23名のなかに選ばれて、ひと安心というか、嬉しかった。でも、試合に出て勝利に貢献してこそだと思っているので、そこを目指して日々のトレーニングに打ち込みたい。ロシアにただ行って帰ってくるつもりはない。選手だったら、みんな同じ気持ちでしょうけど」
 
 口調は実に穏やかながら、ワールドカップのピッチに立ちたいという強烈な思いがひしひしと伝わってくる。
 
 大津高校(熊本)時代の恩師である平岡和徳監督から「世界を目指せよ」と、ずっといわれてきた。その言葉を胸に、ひたむきに、ガムシャラに突っ走ってきた。
 
「高校時代が僕のサッカー人生の原点。今の自分があるのは平岡監督のおかげ。サッカーはもちろん、サッカー以外のこともたくさん教わりましたからね」
 
 FWからCBにコンバートされたのも高校時代だった。ポジションに対するこだわりをそれほど強く持っていなかった植田は心機一転、新たなポジションにチャレンジし続けた。そして、大輪の花を咲かせる。
 平岡監督からかけられたさまざまなアドバイスのなかで、今でも大事にしている金言がある。たとえばそれは“一技二万回”や“凡事徹底”、“24時間をデザインしよう”だ。 サッカーに対して生真面目すぎるほど生真面目な植田の姿勢そのもの。異論を挟む余地などないだろう。
 
 外国人選手と並んでも見劣りしない“高さ”を持つ植田はU-17ワールドカップ、リオデジャネイロ・オリンピックと、世界的な大会を主力選手として戦ってきた。いわば、日本が生んだCBのエリート中のエリートでもある。
 
 西野ジャパンにおける現時点での序列からいえば、ベンチスタートの公算が高い。だが、植田は虎視眈々だ。
 
「どんな位置づけであろうと、試合に出るための準備をしっかり続けたい。そういう気持ちがチーム全体の底上げにつながるわけですから」
 
 ロシアの地で、どんな足跡を残すことができるか。
 
「日本を背負って戦えるのは本当に光栄だし、プレッシャーより楽しみのほうが大きい。ワクワクしています」
 
 この“ワクワク”という言葉をいく度となく用いて、現在の偽らざる心境を語っていたのがとても印象的だった。
 
取材・文●小室功(フリーライター)