本音を明かした松岡茉優

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 第71回カンヌ国際映画祭最高賞のパルムドールを獲得した是枝裕和監督作「万引き家族」の特別講義が6月2日、東京・新宿区の早稲田大学で行われた。出演した松岡茉優が、同大学の基幹理工学部表現工学科で教授を務める是枝監督とともに登壇。学生約500人を前に、これまでのフィルモグラフィや今作について語った。

 映画は、万引きで生計を立てながら東京の片隅に暮らす“家族”の切実な絆を描き出す。その表現力が映画人から高く評価され続け、今作ではJK見学店でのバイトに励む亜紀役に扮した松岡。「『勝手にふるえてろ』と今作では、演技設計は違う?」と問われると、「私は不遇の子役・女子高生時代を過ごしていて。同世代が主演をやっていくのを見て、苦虫を噛みまくっていました。その時からお芝居に対して『こうしたほうが効果的だ』など、固い考え方が私の中にめぐっていました。それの最終形態が『勝手にふるえてろ』です」と切り出し、「『万引き家族』では、ちょっとでも作為的な何かが出ると、1回もOKがでなかった。今までの経験は捨てるしかなく、“私”本体でいるとOKが出たんです。初めてでした」と振り返った。

 芸歴は15年を迎えたものの、「ギュッとしたら5年くらい」。“不遇の時期”を過ごしたが、今作や、三谷幸喜作・演出の舞台「江戸は燃えているか」に出演した経験が、松岡の人生に変化をもたらしたという。「恵まれなかった10年間、三谷さんや是枝監督とお仕事することが、ずっと目標だったんです。私の人生の“チャプター1”は終わった、と思っています。“チャプター2”の始まり。今後、是枝監督の現場で得たものと経験則を組み合わせたら、もっといい仕事ができると思っています」と明かした。

 一方で是枝監督は、「『万引き家族』は各世代で一番うまい役者を集める、がコンセプトだった」。松岡は共演した安藤サクラの表現力について「サクラさんの存在は、誤解を恐れずに言うと、全女優にとって絶望的な存在なんです。『嘘でしょ……』というくらい、サクラさんはこの映画で素晴らしいお芝居をなさっています」と言及し、「サクラさんと私は10歳くらいしか違わないんです。10年後、私はサクラさんのレベルに達しているのか……。(カンヌの)赤い絨毯を歩く上で、この方と同じ笑顔で歩けないと思ったんです。10年か20年か、もっとかかるかも知れないけど、この人と同じ笑顔でカンヌを歩きたいと思った」と決意を固めた。

 是枝監督も「彼女は本当にすごかった。『お芝居で、ここまでたどり着くのか』と思った。何かを超えちゃっている。授賞式の後のパーティーで、審査員の女優さんたちが『安藤サクラがすごい』と言って帰っていった。『とんでもないものを見た』という顔だった」と、脱帽の様子で述懐。松岡は樹木希林にも触れつつ、「『万引き家族』で、樹木さんとサクラさんの女性としての豊かさを痛感しました。人としての年輪が分厚くないと、あのお芝居は絶対にできない。チャプター2では、年輪を厚くするために、新しいものをどんどんインプットしたい。第二次成長期のように臨みたいです」と語っていた。

 「万引き家族」は、6月2、3日に先行上映を行った後、8日から東京・TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開。