自身の武器を生かして2ゴールを奪った上田。今大会でさらなる活躍を見せることができるか。写真:佐藤博之

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【トゥーロン国際大会・グループステージ2節】U-21日本代表 3-2 U-19ポルトガル代表/5月31日/トゥーロン 

 U-21日本代表FW上田綺世(法政大)は、今どき珍しいくらいの“ピュア・ストライカー”である。真水ならぬ真ストライカーとでも言うべきか。開催中のトゥーロン国際大会で初めて一緒にプレーすることになったDF冨安健洋(シントトロイデン)も、上田についての印象を問われると、「上田は……ストライカーですね」というシンプルな回答を返してきた。それくらい分かりやすく、そのプレーはストライカーなのだ。
 
 コメントもまた、ストライカーらしい。
 
「自分のやることはどんな状況でも点を取ること」
「チームに数字をもたらすのがFWの仕事だと思っている」
「結果を出すことしか考えていなかった」
 
 大会の第2戦となったポルトガルとの一戦は、1-2とリードを奪われ、さらにGKも退場して一人少なくなっているという絶望的な状況だったが、途中出場で入ってきた上田が考えていたのはシンプルに「点を取ること」。すべてそこから逆算しての動き出しを繰り返した。相手のCBが疲れてきているのは分かっていたので、裏へ飛び出す駆け引きとスピードに秀でる上田にとっては持ち味を出しやすい状況でもあった。

 まずは「予備動作を一個入れて裏。あとは単純に足の速さの勝負」という形から後半37分に同点ゴールを奪うと、さらにアディショナルタイムに入った試合終了間際にも、再び相手DFを出し抜く動き出しから三笘薫(筑波大)のスルーパスを引き出し、PKを奪い取る。
 
 決めれば逆転ゴールだが、外せば決勝トーナメント進出はきわめて厳しくなるこの場面。だが、上田は「緊張というよりワクワクしていた」と笑って振り返る。ストライカーらしく豪快に蹴り込み、逆転勝利の立役者となった。
 昨冬に森保一監督から招集を受けるまで年代別日本代表の経験は皆無。鹿島学園高時代は県選抜からも漏れていた選手だが、現在は代表に呼ばれれば必ず結果を残している。

 本人が「技術的には劣っている」とハッキリ言い切るとおり、ポゼッションに絡んでいって良さが出るタイプではない。このあたりは「練習のテンポについていけていないところがある」とも認めるところ。よって、本人の結論は「周りからもまだ信頼してもらえてないと思う。でも練習ではアピールできないので、短い時間でも試合で結果を出すしかない」というシンプルで、そして実にストライカーらしいものだ。そして実際、その言葉通りのモノを残してみせた。
 
 今大会は1トップに世代の中心選手だった小川航基(磐田)も選出され、ポジションを争う立場となった。「高校の頃から知っていて意識していた」という目標としてきた選手との競争も、本人のストライカー魂に火をつけているようだ。

「いつも大学サッカーでプレーをしている自分にとって、ポルトガルと試合ができる環境は本当に幸せ」と語る法政大のピュア・ストライカーは、貪欲に、誠実に、そして何よりガムシャラに、ひたすらゴールを求め、その結果によって東京五輪世代における確かな地位を確立しようとしている。

取材・文●川端暁彦(フリーライター)

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