歩きスマホでの救急搬送の増加は便利な「タッチ操作」と「リアルタム性」の裏返し?

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歩きスマホ」「ながらスマホ」の問題が、年々深刻化してきている。

東京消防庁によると、同庁管内における
「歩きながら」
「自転車に乗りながら」
などの起因する事故は、平成24年から平成28年で201人が救急搬送されているという。とくに平成28年は、58人が救急搬送されており最も多い。

事故事例を見ていくと
・歩きながらスマートフォンを操作していたところ、下り階段に気が付かず踏み外し、5段ほど下に転倒し足部を受傷した(22歳 女性 軽症)
・飲酒後、スマートフォンを使用しながらホームを歩行中、誤って軌道敷に転落し、左半身を受傷した(41歳 男性 軽症)
といった内容が並ぶ。

これらの事故は、誰に起きても不思議ではない。
実際の事故には至っていないが、こうした状況で「ヒヤッ」としたという人も多いだろう。

歩きスマホによる事故に対しては、
一般社団法人 電気通信事業者協会(TCA)が携帯大手3社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)と協力し「やめましょう、歩きスマホ。」の啓発キャンペーンなども展開している。

また鉄道各社では、
啓発キャンペーンを実施するだけでなく、日ごろから構内アナウンスなどでも「歩きスマホ」は危険だと呼びかけている。

歩きスマホによりリスクは、スマートフォンによる便利な生活やビジネスにおける効率化と表裏一体であることは言うまでもない。

歩きスマホが、ここまで社会問題となったのは、なぜか?
もう1度、考えてみたい。

そもそもスマホが普及する前、いわゆるフィーチャーフォンやガラケーと呼ばれる従来タイプの携帯電話が使われていた時代にも、「歩きながらの操作」は存在していたはずだ。

当時も歩きながらの操作で危険はあったはずだが、今ほど社会問題には発展していない。
以前と現在の違いには、
・連絡は、以前はメールや通話、現在はチャットがメイン
・外出先では、地図アプリや店の検索アプリで、位置情報を利用する機会が増えた
・移動中に、電子書籍や動画の視聴、ゲームなどを楽しむことが増えた
などがある。これらに共通しているのが、画面での「タッチ操作」と「リアルタム性」だ。

歩きスマホで多い、LINEやTwitterなどのメッセージのやり取りについて考えてみよう。
スマホが普及する以前のメール利用では、メッセージを送信しても即時に答がくるわけではない。当然、メッセージの返事を待ち、返信通知を確認してから携帯電話を見るという利用スタイルだった。

しかし、現在のスマホでのチャットは、常にリアルタイムで相手と繋がっており、メッセージの返事は瞬時にくることが多い。このため常に画面をみる利用スタイルになりやすい。
地図アプリなども同様に、移動経過をリアルタイムで確認できるため、今、自分がどこにいるか、常に確認しようと画面を見続けてしまう。

一方、今のスマホはタッチ操作も常に必要となる。
メッセージの入力では、以前の携帯電話はキーが固定された物理キーだったため、慣れればキーを見ずに文字入力することも可能だった。しかし、スマホはソフトキーボードで、入力パネルも複数あり、画面を見ずに文字を入力することは困難だ。

また、地図アプリや動画視聴、ゲームなども、操作や開始、終了も、画面で操作ボタンの位置を確認しないと行えない。

こうした「タッチ操作」と「リアルタム性」というふたつの要因により、現在のスマホでの「歩きスマホ」利用が増えたといえるのではないだろうか。

現在のスマホでは、
「タッチ操作」と「リアルタム性」
により、事故が起きるほど画面に集中することを自然に強いられてしまうわけだ。

ただし、「タッチ操作」と「リアルタム性」そのものがダメ、元凶なわけではない。
本質は、「タッチ操作」と「リアルタム性」に利用者が依存している、ことが問題なのだ。

今後、
・「タッチ操作」と「リアルタム性」を必要としない
・「タッチ操作」と「リアルタム性」以外の操作が可能
といったスマホやスマホに代わるガジェットが登場するまで「歩きスマホ」の問題は解消されないのかもしれない。


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