23人のメンバーを発表した西野監督。良くも悪くもその人選は手堅い印象だ。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

写真拡大 (全2枚)

 5月31日、ワールドカップへ挑む日本代表の最終メンバー23人が発表された。リーズの強化スタッフの立場とすれば、今夏にリーズへ合流予定の井手口が落選したのはとても残念な結果となったが、西野監督が選んだ23人は、良くも悪くも「手堅い」、というのが率直な感想だ。

 西野監督は、ゴールキーパー以外のメンバーを“フィールドプレーヤー”というくくりで発表したが、とりわけディフェンス陣の顔ぶれは順当そのもの。ガーナ戦のスタメンをベースに、各ポジションの人的バランスを整えたという印象だ。サイドバックもしくはウイングバックとして、長友、酒井宏、原口、酒井高の4人が入ったのは当然として、対人の強さに定評のある植田を残し、サイドバック、センターバック、ボランチと3ポジションをこなせる遠藤もエントリーされた。考えうるシミュレーションを想定した隙のない陣容。逃げ切り策を含め、3バックでも4バックでも対応可能なメンバー構成と言えるだろう。

 人材過多のボランチ候補では、柴崎、大島、山口が選ばれ、井手口、三竿が落選した。とくに大島はおそらくチームの“へそ”となるのではないか。ガーナ戦でもフル出場を果たしているが、起用法を見ても、ハリルホジッチ前監督よりも重用される可能性が高い。ガンバ大阪監督時代と重ねて言えば、遠藤保仁の存在といったところか。長短のパスを織り交ぜたキック技術の高さは、代表チームにおいてトップレベルにある。“つなぎ役”として、ポゼッションを大事に戦う西野サッカーの戦術のキーマンとなりそうだ。
 
 前線に目を向ければ、大迫、武藤が1トップの候補としてエントリーされ、岡崎は2トップに切り替えた場合のパートナーとして重用されそうだ。そして1トップのシャドー2枚には、宇佐美、本田、原口、香川と4枚のカードが揃った。原口、乾は3トップの時のウインガーとしても使える。
 
 こうして攻守両面で見ても、あらゆるシステムに対応可能な柔軟性のある23人が選ばれた。サプライズと呼ばれる人選はなく、むしろ手堅すぎる人選で、まさにサプライズなきサプライズと言えるだろう。
 
 ベテラン重視とも言える人選。日本サッカーの将来を考えれば、“未来への投資”として若手を何人か残してもよかったかもしれないが、26人の候補メンバーから井手口、浅野、三竿の3人が最後の最後で外された。代表チームは結果を出している現状でのベストな選手が選ばれるべき、というのが私の持論。個人的にはポルトガルで結果を残した中島やオランダでブレイクした堂安は選ばれても不思議ではない選手である。タラレバを言ってもしかたがない話でもあるが、つい考えてしまう。

 ワールドカップで勝つためには、ワールドカップを知る選手中心で戦う――。そんな西野監督のメッセージとして受け取れる23人と言えるのではないか。

 言い換えれば、西野監督は“いまのベスト“を選び、ロシアで結果を残すためにベテランを残した。その意味を考えると、ベテランにかかる責任も大きい。
 
 まさに背水の陣で臨む西野ジャパン。グループステージ突破を成し遂げた8年前の再現となるか。ワールドカップでの成功体験を持つベテラン勢にすべてがかかっていると言っても過言ではない。