「君に、くっつけ!」の冒頭シーン(東亞合成提供)

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 瞬間接着剤「アロンアルフア」のプロモーション動画が話題になっています。「胸キュン接着ラブストーリー『君に、くっつけ!』」と題したアニメで、「接着」を「キス」と読ませる強引さや、登場人物の“いかにも”なネーミングなどツッコミどころ満載の内容に、SNS上では「こういうバカバカしい悪ノリは好き」「オチにめちゃ笑いました!」「アロンアルフアどうしたんだ」といった声が飛び交っています。動画を作った狙いを取材しました。

若年層の認知度を高めたい

 製造販売元の東亞合成(東京都港区)によると、「君に、くっつけ!」は、若年層を対象に「好きな人や友達と親密になりたい気持ちを応援する」というコンセプトの下、制作したもの。アニメのプロモーション動画の制作は初めての試みだそうです。日本で初めて、キスシーンが登場する映画が封切りされた5月23日の「キスの日」に合わせて、同社のホームページにアップされました。

 主人公は、プラモデル作りが趣味の地味な女子高生、今直筑乃(いますぐ・つくの)。学校一の接着(モテ)男、九津剛(くっつ・つよし)のアプローチに最初は反発しますが、徐々にその大胆な“くっつく”ぶりに引かれていきます。そこに、2人の仲を引きはがそうとするライバルの早杉瞬華(はやすぎ・しゅんか)や、筑乃に片思いをする幼なじみの羽賀志太郎(はがし・たろう)が現れ…というストーリーです。

 同社接着材料事業部の新藤茉莉さんに話を聞きました。

Q.制作の狙いは。

新藤さん「若年層のアロンアルフアの認知度向上が目的です。他の世代に比べて認知度が低いため、『ウケる!』『くだらない!』と若者が反応するような動画を制作したい、と広告会社に依頼しました」

Q.なぜ「青春アニメラブストーリー」仕立てなのですか。

新藤さん「高校生や大学生が、永遠の友情を誓うフレーズとして『#アロンアルフア』とインスタグラムなどで投稿しています。この発想を若年層へのアプローチとして生かしたいと考えていました。『(物理的な強力接着だけでなく)情緒的なつながりも強力接着する』ということ自体がある意味フィクションなので、アニメの方が自由で多彩な表現ができ、世界観に入り込めるのではないかと考えたのです」

Q.若年層の認知度に危機感があったのですね。

新藤さん「アロンアルフアのメインユーザーである40代以上の人は『昔から家にあったから知っている』『昔見たテレビCMが衝撃だった』などの理由でアロンアルフアに愛着がある人が多いです。若年層の認知度低下は将来、ユーザーを失う可能性につながります。若いうちから商品を認知してもらうことが重要課題の一つと位置付けています」

Q.企画から完成までどれくらいの期間がかかりましたか。

新藤さん「『情緒的なつながりを訴えたプロモーションをしたい』ということは、かなり以前から検討していましたが、具体的な動画内容を検討し始めてからは約半年で完成しました」

Q.動画の続編の予定はありますか。

新藤さん「今回の反響を踏まえて、検討していきます」