日本代表は新システムの3バックで臨んだが、相手の戦い方に対して、上手くハマっていたとは言い難かった。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 日本代表のロシア・ワールドカップに向けた壮行試合のガーナ戦は、0-2で完敗の結果に終わったね。大会の2か月前に監督交代のドタバタ劇があったり、新監督が新しいシステムを導入したりと、試合前からいろいろと話題の多かった西野ジャパンの初陣だったけど、結局まだまだ周囲の期待に応えられるようなチームにはなっていないことが分かった。

 確かに、こういう状況になって、西野監督に対して周りからの期待が大きくなるのは頷けるよ。日本人らしいスタイルとか、日本的なサッカーというのを再び掲げて、システムも複数を使い分けて、「何かやってくれるんじゃないか」という期待を抱くのは分かるけど、そう簡単にいくものではなかったね。

 内容を見れば分かるように、攻撃の組み立て方に多少の差はあれど、やっていることは以前とほとんど変わっていなかったし、逆にチームが混乱しているようにも見えた。

 正直、ガーナ戦に関しては3バックをずっと保つ意味はなかったと思うよ。ガーナはそんなに前から来る相手じゃなかったけど、長谷部は両センターバックの間にずっと収まって、相手の守備を崩すような動きはほとんど見せなかったし、誰も積極的にプレスにもいかなかった。ボランチは3バックでのやり方に慣れていないせいか、まるでぎこちなかったし、原口も残念ながら右サイドで消えてしまう時間が多かった。
 
 かわいそうだったのは大迫で、ガーナ戦の3-4-2-1のフォーメーションは、彼を孤立させるばかりで、まったくいいシステムだとは思わなかった。システムを変えて後ろから組み立ようという意識が強すぎたのか、大迫へのサポートが足りなかった印象だ。

 それでいて前半の失点シーンでは、ゴール前で人数は足りているのに相手にフリーキックを与えて、壁の造りの不味さから直接決められてしまった。どこか、3バックにして自ら混乱していたのが、前半の日本だったように思う。選手は目の前のガーナを相手に戦っているというより、このシステムでも出来るんだよってところを監督に見せたかったのかもしれないね。
 
 終盤、日本は0対2にリードされて、最後の15分あたりで長谷部を交代、4バックにして敵陣にどんどん攻め込んでいく積極性を見せた。武藤、柴崎、酒井高、あるいは長友が絡んだ連係から、ゴールの匂いを感じさせる攻撃もあった。

 疑問に思うのは、なぜそういう攻撃をもっと早くやらないのか、ということだよ。相手は決して早いタイミングで背後に蹴ってくるようなチームではないのだから、どんどんプレスをかけて押し上げていかないと、前でボールを奪ってからの効果的な攻撃にはつながらないし、逆にチームの重心は下がっていってしまう。それなのに、日本は1点取られても、2点取られても、ちゃんと新しいシステムを守っていたよね。

 結局、3バックにしろ、4バックにしろ、相手に隙があるなら監督の判断なんか待っていないで、ピッチ内の選手たち自身で攻撃的なやり方に変える判断力を持つべきなんじゃないかな。監督が言っていることだけをやっているなら、それは代表チームなんかじゃない。与えられたシステムを従順に守って何もやり方を変えられないなら、相手だってこれほど楽なことはないよ。
 
 じつは、こういう問題こそが日本サッカーの大きな弱点だと思っている。臨機応変に自分たちのやり方をピッチの中で変えるような柔軟性がない。選手たちが、そういう戦術的な目を持っていないんだ。これはハリルが監督をやろうが、西野が監督をしようが変わる問題じゃない。つまりは質の問題だ。

 日本のサッカーは質が落ちてるね。ガーナ戦はそういうことを露呈した試合だったと思うし、逆に出なかった選手のほうが得をしたんじゃないかな。