原作者の内田康夫が亡くなったり、浅見光彦役の平岡祐太主演が3作目になったり、汚れなき四万十川が舞台だったりして、いささか興味があったので見たが、3時間は長すぎた。不気味な狐の面を被った一団に追いかけられて、男と女が崖から転落してゆくおどろおどろしい場面から始まったので、少し期待したが、長尺物のわりに肝心の事件については平凡。保険金詐欺の話で、平家の落人伝説はただのお飾り程度。原作の魂が上手く脚本化されていない。

四国へ行くフェリーに乗船していた新婚カップルの稲田教由(窪塚俊介)・萌子(矢田亜希子)夫妻の夫の方が船から転落死する。教由の父・稲田広信(篠田三郎)と孫の佐和は平家の末裔で、藤ノ川の集落に住んでいる。教由は11歳の時に14歳の兄と慕う男と出奔し音信不通だったのだが、突然帰郷してくるはずだった。

光彦は佐和に惹かれて事件にのめりこむという設定だが、肝心の光彦役の平岡祐太がボーッと立っているだけの下手くそ。加えて光彦坊ちゃまの家庭の場面も、刑事局長の兄が石丸幹二でさっぱり貫禄がない。フジテレビ版の榎木孝明や西岡徳馬の方がずっと良かった。

最初の方では疑わしかった萌子役の矢田亜希子も、近頃では二流のイメージが染みつき、故郷にも帰れない流浪の女として陰のある大人の女と描きたかったのだろうが、ただの蓮っ葉女に見えて共感を呼ばない。満点だったのは四万十川の美しい風景だけだった。(放送2018年5月21日21時〜)

(黄蘭)